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夢違 の商品レビュー

3.6

82件のお客様レビュー

  1. 5つ

    14

  2. 4つ

    22

  3. 3つ

    31

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    1

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2025/02/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

とても不思議な小説だった。文章は平易でわかりやすいのに、展開や描写が突然切り替わるので混乱する。が、得てして夢ってそういうものなのでわざとそうなっているのかもしれない。 夢は外からやってくる…とても面白い考え方だと思う。大学の哲学の授業で、集合的無意識について何となく聞いたことがあったが、人々の深層意識下で共有されるイメージのようなものらしい。大洪水の伝説や、巨大樹や、巨人伝説、そういったモチーフは遠く離れた世界中の国々になぜか共通した伝承として残っている。国同士が繋がる手段のない時代に共通した話が生まれるのは、記録に残ってないだけで本当に実在していたからだと唱える人もいるが、私は人種問わない人類の無意識下に共通したイメージがあるというほうが納得できる。 作中で、夢札を引くようになった世代とそれ以前の世代感の【無意識】に差異が発生するという描写があるが、これまさに昨今のデジタルネイティブ世代とそれ以前の世代との間の意識のギャップと同様なもののように感じる。SNSが発達し、物理的に一人でもいても常に他人と繋がっていられるようになったことで、孤独の時間は大きく失われたように思う。言葉に言い表すことは非常に難しいが、明らかに感覚の差が世代間に存在している。 もし、作中のように自分だけが見る【夢】が可視化され他人に共有されるようになったら、本当に一人になれる時間が大きく減ることになる。それはかなり人をおかしくさせるだろうなと感じた。 また、夢札酔いの描写も非常に恐ろしい。夢日記をつけると現実と夢の区別ができなくなる、という怪談があるが、脳を通して感じ取っているという意味では現実も夢も同じ。自分にしか見えていない景色に従って行動すると、他人とのズレが発生し、行き過ぎると統合失調症のようになってしまう。自分も深く考え事をするタイプなので、読書後や長い夢を見た後などは軽い夢札酔いみたいな状態になる。 終わり方も、スッキリしない。夢の途中で突然目が覚めたみたいな、中途半端な感じのする終わり方だった。でも、この作品に関してはこの終わり方で正解な気がする。

Posted byブクログ

2025/02/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読み終わって第一声 「な、なんだ~~~~~~~~~~~~~~~!?」 夢を変える方法を探した結果、自分自身が夢そのものになることで害のないものに操作できるようにしよう!に落ち着いた?野田は夢札酔いが悪化し、他のベテランたちと同じように夢と現実の境が完全に溶け込んでしまった?だから最後には古藤と会話を交え触れることさえ叶ってしまった?じゃあこれまでの八咫烏の集団白昼夢は?神隠しは?あの黒い霧は?どうして彼らは戻ってきたの?山の中で彷徨っていたのはなに?古藤が見えて聞こえたというホンダ君のあの言葉はなんだったの? もー全部わかってないよわたし。 それは私が理解できていない、ちゃんと気づけていない部分で語られていたのかもしれない。 でも少なからず、意図して語られなかったものもあった気がする。 だって、夢ってそういうものだからだ。 明確でない。いつだって抽象的で、反対に明瞭であったとしても、目が覚めると朝のひかりの中に溶けるように消えてしまう。散り散りになって、自分の中に返って来ることさえそうそうない。 『何かの夢をたくさん見ていた気がするのに、カーテンの隙間にあさのひかりを見たとたん、すべてが淡いバラバラの欠片となって、両手の指のあいだをあっさり滑り落ちていってしまった。』 この感覚がわかるのは、きっと私だけじゃないんだろうと思う。 物語は、すべてに対して「気がする」というだけで話が進んでいたことが、気持ち悪くてたまらなかった。 現実と夢の境が曖昧になるということで言えばこの気持ちの悪さは正解で、寧ろそれを呼んでいるだけの読者にまで感じさせるのは見事な手腕というやつかもしれない。でも気持ちが悪かった。 ずっとずっと曖昧模糊としたまま話が進み、決定的なことはほとんど明言されない。しかも、それは最後の最後まで。 これは個人的な感覚だけど、あまりにずっと明確な事象が起きないからメリハリが感じられなくて読むのに集中できなかったな。 まぁ、そう思うとなんとも芸術点の高いお話だったなぁとも思う。

Posted byブクログ

2024/09/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

久々に出たー! 伏線回収しきらないタイプの恩田陸作品だー! なにも解決していないしわからないしで泣けちゃう。 これはきっとあれかな、現実と夢の境目があいまいで、どこからどこまでが夢札酔いなのかわからないように…なっているのかなと思った。 子供たちの集団白昼夢、集団神隠しの謎くらいは解けてほしかった…

Posted byブクログ

2024/07/13

自分の心の中にある想いと浩章さんの想いが重なって凄く幸せな読後感でしたが沢山泣いてしまいました。 この本を選んで読むことが出来た事に感謝します。

Posted byブクログ

2024/07/04

死んだはずのあの人がいる!夢なのか現実なのか…。 この世界観は大好き。結末は読者に委ねられてて、すっきりはしないけど、想像は膨らむ。 誰かが夢に出てくるのは、自分がその人に会いたいからではなく、その人があなたのことを思ってるから。これが本書のテーマでもあるのかな。 二人の想いが伝...

死んだはずのあの人がいる!夢なのか現実なのか…。 この世界観は大好き。結末は読者に委ねられてて、すっきりはしないけど、想像は膨らむ。 誰かが夢に出てくるのは、自分がその人に会いたいからではなく、その人があなたのことを思ってるから。これが本書のテーマでもあるのかな。 二人の想いが伝わったんだな、と思った。

Posted byブクログ

2024/07/01

恩田陸を好きになったきっかけの小説。10年ぶりまた読んでみました。1回目はSF&ホラー感に衝撃的を受け、2回目は結衣子の気持ちになって読めました。 最後の再会シーンは…幽霊としてなのか、タイムスリップしてきたのか??色々と想像していると、夢の中みたいにふわふわぐるぐるして...

恩田陸を好きになったきっかけの小説。10年ぶりまた読んでみました。1回目はSF&ホラー感に衝撃的を受け、2回目は結衣子の気持ちになって読めました。 最後の再会シーンは…幽霊としてなのか、タイムスリップしてきたのか??色々と想像していると、夢の中みたいにふわふわぐるぐるしてきます。 それがこの小説の魅力だと思います。

Posted byブクログ

2024/06/19

久々に恩田陸ワールドに浸ったが、これは正直、途中からついていけなくなった。 近未来、夢を解析できるようになった時代の物語だが、通常の物語だと読者が着いて来られるように様々な工夫がしてあるが、本作は「ついてくんな」と言われているようだった。トップランナーの作家でこうした作品への挑戦...

久々に恩田陸ワールドに浸ったが、これは正直、途中からついていけなくなった。 近未来、夢を解析できるようになった時代の物語だが、通常の物語だと読者が着いて来られるように様々な工夫がしてあるが、本作は「ついてくんな」と言われているようだった。トップランナーの作家でこうした作品への挑戦をやめないのは凄いと思う。

Posted byブクログ

2024/02/03

世界設定がツボ。とにかく展開が気になるしわくわくしっぱなし。 いろんな伏線だたくさん張られてどう回収するのか楽しみにしていたら、結局回収されぬままほったらかして終わってしまった…。 設定は大好きなのにちょっと残念。

Posted byブクログ

2023/10/26

2023.8.20頃-10.24. 久しぶりに(ふわふわしたほうの)(結末手放し型の)恩田陸読んだー!という感想が真っ先に出てきた。 少し先、人の夢が可視化できるようになった時代のお話。夢、という人の脳内でしか存在できない、けれども確かに人の中には存在している曖昧な題材を中心に据...

2023.8.20頃-10.24. 久しぶりに(ふわふわしたほうの)(結末手放し型の)恩田陸読んだー!という感想が真っ先に出てきた。 少し先、人の夢が可視化できるようになった時代のお話。夢、という人の脳内でしか存在できない、けれども確かに人の中には存在している曖昧な題材を中心に据えるところが恩田陸らしいなぁと。

Posted byブクログ

2023/08/14

強烈なカタルシスを得られるような話ではなかったので、賛否両論ありそうな作品。 ラストまでふわふわと、夢と現実の間を漂うように進んでいきます。

Posted byブクログ