パタン・ランゲージによる住宅の生産 の商品レビュー
メキシカリにおけるプロジェクトをベースに、パタンランゲージをいかに実践してゆくかが綴られる。 実際の記録を多分に含むため、類型としてのユーザーではなく生の人間としてのユーザーがそこにいる。 途中でやる気をなくしてしまったり、意図が伝わらなかったり。 (その、モデル化の範疇にない不...
メキシカリにおけるプロジェクトをベースに、パタンランゲージをいかに実践してゆくかが綴られる。 実際の記録を多分に含むため、類型としてのユーザーではなく生の人間としてのユーザーがそこにいる。 途中でやる気をなくしてしまったり、意図が伝わらなかったり。 (その、モデル化の範疇にない不確実性との向き合い方についてもっと詳しく知りたくなった。) 建築の過程自体、門外漢でも興味を持てるようなものだ。家をつくるという行為が、このようにイテレーティヴかつインクリメンタルに行えるというのは衝撃的だ。 パラダイムの変化に苦しむ終盤は非常にリアルだ。 当事者である居住者の満足度ではなく、出資者の理解や尺度で評価がなされてしまう。 このようなイノベーションを阻む風景はそこかしこに見られる。 パタンランゲージとはなんぞや、をもっと知りたくて手に取ったわけだが、読後に得られたのは具体的な事物に対する理解ではなかった。 本質を追求する考え方と意思、そしてそれを貫くために伴う困難さだ。 「思考の軌跡」などと併せて読むことで、事象に対しての立体的な理解が得られるのでそちらを未読の方はぜひ。
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