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統合失調症の母と生きて の商品レビュー

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2014/06/06
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ローラ・フリン『統合失調症の母と生きて』みすず書房、読了。未治療の統合失調症患者の母親に育てられた著者(次女)が、幼少期から見守りつづけた世界、感じた現実を綴った回想録。統合失調症とは何かを教えるものでも対応のヒントになるものではないが、体験を読むことで理解を深めるきっかけになる。 小説の如き回想は「ほかに方法がなかったのか」とか「どうしてそうしまうのか」と読み手を多様な世界へ誘う。「本人たちの物語を通して読み手自身の世界のことを、態度を考えることができる」「読み手の成長を補助する」一冊(森川すいめい)。 私には浮力がある。 「私のまわりの世界、喜びも悲しみもある世界、この個人的喪失感よりもずっと大きな悲しみのある世界が私に圧力をかけてくる、しかし、ずっと前からそうだが、私をかんじがらめにするのは自分自身の悲しみだけだ」。 脱施設化が進む中で、先進国で最も精神科医院が多いのが日本。経済的困窮と偏見の中で家族だけで支え囲い込む世界。無理矢理入院させる訳でもない制度の少なさの記録は、可能性として治療を再考させる促しにもなるだろう。多くの人に手にとってもらいたい一冊。 http://www.msz.co.jp/book/author/16262.html

Posted byブクログ