「新富裕層」が日本を滅ぼす の商品レビュー

森永卓郎【監修】,武田知弘【著】

2021/03/14

テーマは面白いが、主張を貫こうとする意思が強すぎて、客観性に欠けるような印象を受けた。
勿論データは示しているが、都合よく解釈しているようにも感じ取れ、論理展開にも若干気になる部分はあった。（勿論、著者にもいろいろ都合があるのかもしれないが。）

しかし、新たな視点を得る機会にはなり、勉強になった。

2017/01/08

富裕層がより富を蓄えていく社会構造は、ある意味必要だと思います。アメリカではそうした人たちが、国を発展させているわけですから。第6章「無税国債」の提案にはあまり納得ができませんでした。
巻末の「モリタク」のコメントは富裕層を何の根拠もなく、犯罪者のごとく悪者扱いしているのが腹立たしい。

2015/05/15

非正規職員が激増し、子育てはおろか、結婚や恋愛さえできる状況にない若者。今、巷に溢れかえっている。日本の市場は縮小する一方であり、それは企業の存在基盤が縮小していくということ。億万長者が激増している一方で、まともに働いてもまともに生活できない低所得者層が激増している。企業は儲けを内部に留保するだけで従業員の賃金は減らし続けている。経済規模を縮小させ生活を苦しくし、日本を息苦しくさせている。今の状況は健全とは決して言えないし、これが続けば治安も悪くなるであろう。著者は一つの方策として無税国債の導入を提唱する。金持ちにもメリットがあり検討するにしくはなし。今の日本に必要なのは成長ではなく循環。失われた２０年の中で個人金融資産は１．５倍に膨れ上がっている。この膨れ上がった個人金融資産にメスを入れない限り日本の経済、財政問題は解決しない。

2022/06/01

【oblesse obligeの反対】

日本経済は低空飛行だ墜落寸前だ再生をという話に耳タコであるが、実は金持ちは増えているのだ、そいつらのところに金を溜めておいたらよろしくない、世の中に還流する無税国債を提案する、が、それをしたいから、というわけではなくて、国民の無知が招いた結果だよ、という話。僕は自分の財布には若干関心があるが、他人の財布にはあんまり興味が無いので、本書に書かれているような税の抜け道だとか名目と実態の違いによって、金持ち優遇である、ということを定量的に知ろうとしたことがなかった。だが世の中はつながっている。金持ちだって、本来は社会が健全だから富を得ることが出来たのだ。その世の中が崩壊に向かっても自分だけ金があればよいのか、違うだろう、という話。金持ち側の立場で読んだらどういう気持ちになるのかまったく想像がつかないが、ゲーテッドシティが実現しているようなアメリカでさえ、金持ち自身が税率を上げろと言ったり寄付をしたりということも行われている。我が国はアメリカ以下なのか。そういうはっきりした色付け自体が間違った考えか。世の中を変えたい(号泣)。