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ことばの散歩道 の商品レビュー

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2016/02/19

 言葉もいろいろな角度から眺めるといろいろなことが浮かんで来る。社会言語学・方言学が専門の著者にかかると身の回りにあふれる言葉が題材になる。  駅名アクセントでは、山手線の車内と駅ホームのアナウンスで、男女に違いがあるのではないかと書いている。女性のアナウンスでは平板アクセント...

 言葉もいろいろな角度から眺めるといろいろなことが浮かんで来る。社会言語学・方言学が専門の著者にかかると身の回りにあふれる言葉が題材になる。  駅名アクセントでは、山手線の車内と駅ホームのアナウンスで、男女に違いがあるのではないかと書いている。女性のアナウンスでは平板アクセントで、男性のアナウンスでは、女性が平板化している駅名に関して起伏アクセントを使っているというように、違いがみられると述べている。どうしてなのか、決まりがあるのかわからないが違いがある。言語学者はちょっとした違いがあると気になってしまうようだ。  営業用方言では、どうして行商の人が近隣の方言を使うのかと著者が考えた。その結論は近郷の方言を使ったほうが売れるのだということだ。例に挙げているのが「とうきび」だ。「とうもろこし」でもよさそうなのだが、あえて「とうきび」と北海道の言い方にしている。買い手に何か訴えるものがあり、売り上げがアップすると売り手側が思っているのだろうか。  「○○じゃね」という言い方に関して、使ったり聞いたりすることがあると答えた学生が多かったそうだ。女子学生に対して「あこがれている男性の前で、自分もおしとやかに見せたいときにも使うんですか」と尋ねたら、「使う」と答えたと述べている。いろいろな言い方やニュアンスを含む言葉が誕生しては消えていくが、「○○じゃね」は長持ちするのだろうか。5年後が楽しみだ。  他にもいろいろ言葉にまつわる話が載っている。一般の人なら気づかない、あるいは気づいてもそれ以上深入りしないが、学者だけに深入りした結果、今回の本が誕生した。

Posted byブクログ