昭和・東京・ジャズ喫茶 の商品レビュー
「ジャズ喫茶が僕を歩かせる」という著者の今年(2015年)の新著がある。それを図書館で借りて読もうとしたら、まだ蔵書はなく、その代わりその前に出ている本が2冊ほどあるので、こちらを読んでみた。1冊目?の「東京ジャズメモリー」は既に無くなったジャズ喫茶の想い出(メモリー)を語ってい...
「ジャズ喫茶が僕を歩かせる」という著者の今年(2015年)の新著がある。それを図書館で借りて読もうとしたら、まだ蔵書はなく、その代わりその前に出ている本が2冊ほどあるので、こちらを読んでみた。1冊目?の「東京ジャズメモリー」は既に無くなったジャズ喫茶の想い出(メモリー)を語っているというので、それよりは、今も訪れることのできる店の紹介の本書のほうが楽しそうでよい、ということで、なんとも中途半端な3冊あるうちの真ん中から読んでいるのだが、かなり当たりな1冊だった。 本書、個々のジャズ喫茶のお店紹介というより、その店を語ることをきっかけに、見事なエッセイになっていて、どの章も味わいの異なる話題が軽妙洒脱にリズミカルに展開。ジャズ風に言えばSwingしているのだ。 それほどJAZZにどっぷりのめり込もうとは思ってない身にとって、店や地域にまつわるエピソード、それを入り口に転がっていく話題の拡がりが心地よい。 大井町のImpro.では「時代屋の女房」の夏目雅子を語り、新宿DUGでは延々と村上春樹考察だ。赤坂見附の坂の下ではランチがボリューミーで美味いと言う(会社が赤坂にある間に行っておけば良かった!) おそらく年代も近い(自分より3つ年上?)、同じ時代の空気を吸ってきた著者の感性に親近感があるのが大きいのかもしれない。 たっぷりのアドリブ(余談)だけで終わったかのような東京のジャズ喫茶巡り(10店舗)だったけど、不思議と、どのお店も行ってみたいなという気持ちにさせる。実にうまいなぁ。楽しい1冊でした。
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