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都市の環境倫理 の商品レビュー

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2017/09/02

日本に入ってきて間もない環境倫理学の現状を知ることが出来た。加藤尚武さんと鬼頭秀一さんの意見は食い違っているが、同じ環境に対する姿勢というものは重ねることが出来ると論じている。例えば、一つの種を保全するのか、それとも自然全体を保全するのかである。前者の場合は一つの特定の種を守るた...

日本に入ってきて間もない環境倫理学の現状を知ることが出来た。加藤尚武さんと鬼頭秀一さんの意見は食い違っているが、同じ環境に対する姿勢というものは重ねることが出来ると論じている。例えば、一つの種を保全するのか、それとも自然全体を保全するのかである。前者の場合は一つの特定の種を守るためにはほかの種をいくらでも迫害してもいいという理論がまかり通ってしまうのである。後者の場合は外来種も含めて保全してしまうことになるのである。また、人間中心主義VS非人間中心主義でも火花が散らされていた。霊長類としての人間が自然の管理をするという立場を守るのか、それとも他の動植物と同じ種という立場でほかの種と平等になるのか。この問題でも双方ともに問題を抱えていた。人間中心主義を肯定してしまうと人間の都合のために何をしてもいいという理論が成立してしまうし、人間非中心主義では人間があたかも自然にとって完全に不必要であるというイメージを抱きかねないのである。この問題を考えるには様々な角度から考えてみることが必要であろう。例えばプラスチックの街路樹である。人間と自然は切っても切れない縁で結ばれている。豊かさを求めつつ自然との友愛を保つというアンチノミーを抱えながら人類はどこまで歩むことが出来るのか、その可能性について考えさせられる書籍だった。

Posted byブクログ