日露戦争史(3) の商品レビュー
奉天会戦から日本海海戦を経て講和にいたるまでを解説。前巻までの陸上戦での悲惨な戦況は幾分かはやわらいだが、相変わらず、紙一重の状況で、なんとか勝機をものにしている様子が語られる。一等国との戦争の勝利に酔いしれる国民に対して、国力を使い果たして、何とか講和に持ち込めた事実を周知のも...
奉天会戦から日本海海戦を経て講和にいたるまでを解説。前巻までの陸上戦での悲惨な戦況は幾分かはやわらいだが、相変わらず、紙一重の状況で、なんとか勝機をものにしている様子が語られる。一等国との戦争の勝利に酔いしれる国民に対して、国力を使い果たして、何とか講和に持ち込めた事実を周知のものとしなかったために、持たざる国の日本が大国主義に突き進まざるを得なくなり、太平洋戦争での敗戦につながっていく歴史の流れに、今こそ、学ぶべき点が多いように思える。
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日露戦争史。 第3巻は奉天会戦から日本海海戦、そしてポーツマス条約まで。 陸軍の薄氷の勝利から、世界が見守る中での世界初の近代艦隊決戦。 そして後にも先にもない完全勝利。あまりにも派手に勝ちすぎたため、世論をコントロール出来なくなった日本政府。 真実を知らされていない国民と勝利に...
日露戦争史。 第3巻は奉天会戦から日本海海戦、そしてポーツマス条約まで。 陸軍の薄氷の勝利から、世界が見守る中での世界初の近代艦隊決戦。 そして後にも先にもない完全勝利。あまりにも派手に勝ちすぎたため、世論をコントロール出来なくなった日本政府。 真実を知らされていない国民と勝利に驕る陸海軍(特に陸軍)は神国日本、負けない日本、アジアの盟主日本、に向かって突き進んでいく。 読み応えありました。特に「東郷ターン」の真実に迫る!と小村寿太郎とウィッテの丁々発止の駆け引き、には驚かされました。ポーツマス講和会議だけで1冊の本が出来るんじゃないでしょうか。 読み終えると「坂の上の雲」の最終章「雨の坂」が頭の中に浮かんできてしまいます。 余韻を残す、と言う点ではやはり小説にはかないませんよね。
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薄氷を踏むように辛うじて勝利を得た日露戦争。 この戦争の目的は「南下するロシアの脅威を排除」することであった。 明治の指導者たちは、小国日本の内情を冷静に見つめながら世界情勢を総合的に判断し、熟慮に熟慮を重ねて目的を達成して戦争終結に持ち込んだ。 一方、当時の民草は誇張された新聞...
薄氷を踏むように辛うじて勝利を得た日露戦争。 この戦争の目的は「南下するロシアの脅威を排除」することであった。 明治の指導者たちは、小国日本の内情を冷静に見つめながら世界情勢を総合的に判断し、熟慮に熟慮を重ねて目的を達成して戦争終結に持ち込んだ。 一方、当時の民草は誇張された新聞報道に駆り立てられて、実情とはかけ離れた「強国日本」の勝利に酔いしれる。 まあ、指導者がしっかりしていても、国民が狂喜乱舞するというのは古今東西よくある話だが、この後が良くなかった。 国民の人気に押されて東郷、乃木が神格化されただけでなく、大艦巨砲主義、大和魂、白兵戦などの戦の要素も是非なく美談となり、その後の軍部の方針にこれらがじわじわと染みてゆく。 日清戦争以降、欧米列強の日本に対する風当たりが強まったことを割り引いても、昭和初期の指導者たちの驕りと狭い視野によって亡国に向かったというそしりは免れないだろう。 まやかしの美談に隠れてしまった数々の清廉な日本人の物語が、今では聞こえなくなっている。
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壮大なる日露戦争の終焉に向かう最終巻である。読了後、持病の幻聴さんが何やら騒いでいるが知らぬ顔で通そう。日本海海戦等事細かに綴られている。至極の一冊。
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