デリリウム17 の商品レビュー
アメリカの作家「ローレン・オリヴァー」の長篇SF作品『デリリウム17(原題:Delirium)』を読みました。 「ヒュー・ハウイー」の『シフト』に続きSF作品です。 -----story------------- 愛が病と認定されて64年、その治療法が確立してから43年―。 ...
アメリカの作家「ローレン・オリヴァー」の長篇SF作品『デリリウム17(原題:Delirium)』を読みました。 「ヒュー・ハウイー」の『シフト』に続きSF作品です。 -----story------------- 愛が病と認定されて64年、その治療法が確立してから43年―。 17歳の「レナ」は、病への感染を規制する政府の手術の日を迎えようとしていた。 ある日、すでに治療を受けた「アレックス」と出会い、彼女の気持ちに変化が訪れる。 恋愛は違法と知りつつもどうしようもなく“病”に侵されていく。 治療の日まで95日間。 「レナ」の孤独な闘いが始まる。 全米騒然、超弩級、近未来SF青春小説、上陸! ----------------------- 高校卒業を控えた17歳の少女「レナ」の体験を描いたSF青春小説… でも、舞台となる近未来のアメリカでの生活は、現在とは大きく異なっているんですよね、、、 アメリカは国境を封鎖して鎖国状態のうえ、国内の移動は制限され、町は高圧電線のフェンスで覆われてワイルドと呼ばれる町の外には出ることができず、インターネットのコンテンツや、音楽、本、芸術は規制され… そして、恋愛は精神に作用し、ものが明確に考えられなくなり、幸福な生活のための合理的判断ができなくなる との判断から病(アモル・デリリア・ネルウォサ──愛による神経性せん妄症)と定義され、18歳になると愛を引き起こす脳の動きを封じる手術を行い、治癒者(キュアド)となることが義務付けられていた。 それにより、犯罪率は低下し、離婚率は飛躍的に下がり、家庭内の虐待はほぼ消え、諍いや戦争は一切なくなり、国民は穏やかで平和な日常を手に入れていた… 「レナ」は、過去に愛が原因で母親を喪っており、手術を受ける指折り数えて日を待っていた、、、 手術が成功すれば、愛に翻弄されることはなく、政府が決めたパートナーと結婚し、永遠の安全を手に入れることができると信じていた… しかし、手術を95日前に控えたある日、「レナ」は「アレックス」という青年に出会い、彼を愛してしまう。 しかも、彼はワイルドに住む不法民(インバリッド)だった… 「レナ」は、〈大爆撃〉により不法民たちは根絶やしにされたと教わっていたが、不法民は厳しい環境でコミュニティを築き、規制されない生活を営んでいたのだ。 安全だが、恋愛まで規制されている動物園の檻の中のような町での生活を守るのか… それとも、町を出て自由を手にするのか、、、 「レナ」は迷いますが、「アレックス」とともに5万ボルトの電留が流れていると信じ込まされていたフェンスを越え、ワイルドへ踏み込み、「アレックス」のお気に入りの場所であるオープンカー・ハウスで一緒に星空を眺め、町では規制されている詩集を朗読してもらったこと等に感動したことから、手術を受けて治癒者になる前に町を出る決心をしますが… 町を出るために二人が待ち合わせた場所には取締官たちが待ち構えていた。 その後、「レナ」は捕らえられ、手術日まで自宅で軟禁されてしまう… そこへ、「アレックス」が救出に現れ、二人でワイルドに逃亡しようとするが、、、 終わり方が、やや中途半端な感じがしましたが… 実は三部作の第一作らしく、続篇があるようですね(翻訳されていないようですが… )。 子どもから大人まで世代を跨って愉しめるクロスオーバー・フィクションというジャンルの小説らしく、読みやすかったのでボリューム(約600ページ)の割りには早く読めました、、、 特異な世界観… 愛が欠落した世界を描くディストピア小説ですが、切ない恋愛を描いた青春小説としても愉しめる印象深い作品でしたね。 以下、主な登場人物です。 「レナ(マグダレナ)・ハロウェイ」 17歳の高校生 「レイチェル」 レナの姉 「ウィリアム・ディドル」 レナのおじさん 「キャロル・ディドル」 レナのおばさん 「マーシャ」 レナのいとこ 「ハナ・テイト」 レナの親友。17歳 「ジェニー」 マーシャの長女。9歳 「グレース」 マーシャの次女。6歳 「アンドルー・マーカス」 おじさんの店の手伝い 「アレックス」 レナの友人 「ハーロウ・デイヴィス」 ハナの友人 「ドルー」 ハナの友人 「ウィロー・マークス」 レナとハナの同級生 「ブライアン・シャーフ」 レナのペア 「フレッド・ハーグローヴ」 ハナのペア。市長の息子
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架空の近未来、舞台はアメリカ。 ディストピア小説は数冊読んだことがあるけど、たまたまなのか、乾いた筆致が共通しているように思う。 なんと言えばいいのか、淡々と、死んだ目で、心のどこかが閉ざされている、みたいな。 それは、今の価値観で見れば「良くない」世界がテーマになっているのだから、ある意味当然かもしれないが。 この本はティーンが主人公ということもあり、最初から何かが秘められていて、それが少しずつ顔をのぞかせて、という、そのカーブがとても良く。 決して望んでいた結末ではなかったけれど、心臓をつかまれるようなシーンの連続だった。
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SF嫌いなんだけど、これは面白かった。 設定も細いし入りやすい。 ただ、恋に落ちるまでの経緯が唐突すぎたのは残念。ページ数あるのに前半は内容が薄いような。 アレックスはレナの中に他の人たちにはない自由を見たのだろうけど、レナはただイケメンにちやほやされて恋しちゃったってかんじ。...
SF嫌いなんだけど、これは面白かった。 設定も細いし入りやすい。 ただ、恋に落ちるまでの経緯が唐突すぎたのは残念。ページ数あるのに前半は内容が薄いような。 アレックスはレナの中に他の人たちにはない自由を見たのだろうけど、レナはただイケメンにちやほやされて恋しちゃったってかんじ。 まあきっかけはそれとして、 次第に内面や生い立ちを含めた彼自身に惹かれているのでちゃんと愛と呼べるのかもしれないけど。 友達や姉との対比はよかった。 レナのその後が気になるところだけど、続き読めるのだろうか。。
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愛が病と認定されてる世界、っていう設定が面白いと思ったけど・・・自分が高校生ぐらいのときに読んだらもっと違う読後感だったろうけど、今の私には「若いっていいねぇ」って感じだなあ。レナがこのあとサラ・コナーみたいになったら面白いね。
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恋に落ちたふたりにキュンとしてしまいます。 恋だけじゃない、人を慈しむ愛も禁じられている近未来。 アレックスの最後の行為が究極の愛の形かもしれません。 泣けたけど、泣けるラストが終着点のはずがない。 続編を期待します。次のステージでは、世界を変える戦う女になってほしい。
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うーん、、、 愛することが禁止されている世界の話でしたが、ラストはサクサクと終わってしまった印象を持ちました。 情景の描写が細かく、想像はしやすかったかな。
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いい小説です。考え方などが変わるかもしれないし、大切なものをもう一度噛みしめることができる小説です。
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主人公の視線で語られていて、とてもカラフルなイメージを持った。 ラストは、思わず泣いてしまった。 恋わずらいという言葉もあるけど、恋、愛の力ってすごいな。禁止じゃなくて利用する方向で考えればいいのに。どうだろう。
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