こころの読書教室 の商品レビュー
旅(電車移動)のおともに、積読タワーでふと目についた文庫本を。 2006年に岩波書店から出た『心の扉を開く』は最晩年の一冊で、それを改題し、若干の修正・補足を加え文庫化されたのが2014年正月、そのときすぐ買ったらしいので十年も積んであったのだった。 読み始めたらするすると話に引...
旅(電車移動)のおともに、積読タワーでふと目についた文庫本を。 2006年に岩波書店から出た『心の扉を開く』は最晩年の一冊で、それを改題し、若干の修正・補足を加え文庫化されたのが2014年正月、そのときすぐ買ったらしいので十年も積んであったのだった。 読み始めたらするすると話に引き込まれ、一両日であっというまに読んでしまった。 この本は4回のセミナーの口述記録をもとにする形で、1回1テーマに付き5冊ずつの厳選おすすめ本(+さらに5冊の「もっと読んでみたい人のため」のおすすめ本)を紹介して、本をとっかかりに心の扉を開く(=無意識の世界へ入っていく)ことについても解き明かしており、それぞれの本が河合隼雄的にどこがどうおもしろいのかを熱心に語っているので、もう芋づる式に読むしかないという感じになってくる。絵本から『ユング自伝』まで並ぶ20冊は、児童文学や絵本はさいわいにしてもう読んでいるものが多いが、それでも、積読の山がさらに高くなる… 河合隼雄の本を読むというのは、それだけでも氏のカウンセリングを受けたような気分になれて、今自分が抱えている問題についてのヒントも得られたような読後感がある(はからずも、巻末の加藤典洋の解説にも同じようなことが綴られていた)。今回手に取ったのも、心身がそういう時間を欲していたのかなと思った。
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ユング派心理学の第一人者である河合隼雄氏の最晩年の著書。 著者が「読まなきゃ損」と考える書籍を紹介し、自分はどう読んだか、どんなメッセージを受け取ったかを語るという形式になっている。 一番読みたいと思ったのは「一組の男女の関係は6通りある」と語るエマ・ユングの『内なる異性ーアニム...
ユング派心理学の第一人者である河合隼雄氏の最晩年の著書。 著者が「読まなきゃ損」と考える書籍を紹介し、自分はどう読んだか、どんなメッセージを受け取ったかを語るという形式になっている。 一番読みたいと思ったのは「一組の男女の関係は6通りある」と語るエマ・ユングの『内なる異性ーアニムスとアニマ』。河合氏のような洞察は不可能にしても、実際の著作に触れてみます。
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【1回目】自分自身、精神科にかからなければならなくなったことから、一時期よく読んでいたが、最近はとんとお暇してしまっていた。一読目の感想は、やはり「こころ」というもの(?)の、わけの「わからなさ」である。極めて身近な存在であるだけに、わかっている「つもり」でいると、大やけどをする...
【1回目】自分自身、精神科にかからなければならなくなったことから、一時期よく読んでいたが、最近はとんとお暇してしまっていた。一読目の感想は、やはり「こころ」というもの(?)の、わけの「わからなさ」である。極めて身近な存在であるだけに、わかっている「つもり」でいると、大やけどをすることになる。河合さんは、取り上げた本に連ねられていることば達とともに、真っ直ぐ「こころ」の深みへと私たちを誘う。いや、「こころ」では足りてないのではないか。それは「いのち」の深みなのではないのか。
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心とはどういうものかということを、臨床心理学者であった河合隼雄さんのおすすめの文学作品をとりあげながら語られたもの。知識として、学問的に心を理解するのではなく、文学作品に触れながら、登場人物の心の働きについて一緒に感じてみようというねらいがある。 この本を読んで、物語というのは...
心とはどういうものかということを、臨床心理学者であった河合隼雄さんのおすすめの文学作品をとりあげながら語られたもの。知識として、学問的に心を理解するのではなく、文学作品に触れながら、登場人物の心の働きについて一緒に感じてみようというねらいがある。 この本を読んで、物語というのは知識や情報を並べるだけでは決して生まれないもので、作者が無意識をどんどん掘り下げながら創作しているものだから、読書することで読む側の無意識もまた自然と掘り下げられるのだということがよく分かった。そういう視点を忘れずに本に向かい合うと、本から得られるものというのは格段に広がっていくし、自分自身に向かい合うことに通じているのだと思った。 自分自身や、自分の人生に向かい合おう!と思って向かい合うことのできる人は少なくて、心の中の深い部分に向き合って悲しみや怒りや孤独といった感情を取り出してみるのはとても勇気のいること。なぜならそうした深いものと向かい合ったところで、自分のメリットになるとは思えないし、むしろ社会生活をまともに送る上では邪魔にすら思えてくるから。それを、目の前の本の物語を経由しながら、心の動きを見つめ、それによって物語だけでなく自分自身を理解するというのはとても大切なことだし、安全だと思った。きっと本当に触れたいのは、物語の中の登場人物の心ではなく、自分の心なのだと思う。 自己実現はself realizationと訳されるけれど、realizationという単語には理解という意味もあるというお話が面白かった。自分を理解するということが自分らしく生きるうえでとても大切なのだということ。 河合隼雄さんが真剣に選ばれた文学作品をこれから少しずつ読んでいきたいと思った。
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タイトルに惹かれて購入。著者が選んだ本を解説しつつ、人の心について解き明かした本。ここに紹介されるのはカフカ、ドストエフスキー、ユング、村上春樹、吉本ばなな、児童文学から絵本まで幅広い。私が読んだことがある作品も取り上げられていたけれど、全く読み方が違っていて、目からウロコが落ち...
タイトルに惹かれて購入。著者が選んだ本を解説しつつ、人の心について解き明かした本。ここに紹介されるのはカフカ、ドストエフスキー、ユング、村上春樹、吉本ばなな、児童文学から絵本まで幅広い。私が読んだことがある作品も取り上げられていたけれど、全く読み方が違っていて、目からウロコが落ちました。色々な読み方が出来るのは文学の楽しさだなと改めて思いました。読んでみたい本が増えたので探して読みます。「人間ていうのは、ほんとうに大事なことがわかるときは、絶対に大事なものを失わないと獲得できないのではないか」この河合隼雄さんの言葉が突き刺さる。
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魂とか深層心理の話とか、現実世界でどっぷり生きてるとなんか敬遠してしまったりするところを、河井隼雄さんの言葉だとまんざらでもなく引き込まれる。知らないことがたくさん。読むたい本が増えました。理解できない小説とかの視点のヒントももらった感じ。 2016.5.15 河合先生はあま...
魂とか深層心理の話とか、現実世界でどっぷり生きてるとなんか敬遠してしまったりするところを、河井隼雄さんの言葉だとまんざらでもなく引き込まれる。知らないことがたくさん。読むたい本が増えました。理解できない小説とかの視点のヒントももらった感じ。 2016.5.15 河合先生はあまり本を読まないといわれるが、その読解力というのか物語を味わう力がすごい。こんなに深く本を読めたら読書が楽しいだろうな。自分の尊敬する人が推薦する本を読む、という。 2024.7.8
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20冊の本をテーマに心の扉を開く話。膨大な量の中から読む本を選ぶか?書評を参考にするか、尊敬する人の推薦するものは必ず読むとのこと。尊敬する人を増やすには、尊敬できるような人と数多く接する必要がある。対談集を数多く出してる著者や司馬遼太郎さんがすごいのはこういうところにありそうだ...
20冊の本をテーマに心の扉を開く話。膨大な量の中から読む本を選ぶか?書評を参考にするか、尊敬する人の推薦するものは必ず読むとのこと。尊敬する人を増やすには、尊敬できるような人と数多く接する必要がある。対談集を数多く出してる著者や司馬遼太郎さんがすごいのはこういうところにありそうだ。もちろん、今回お薦めの本は読んでいくつもりだ。2015.5.24
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河合隼雄さんの読書に関する講演を文字に起こしたもの。河合隼雄という名前は村上春樹関連でちらちら聞いたことがあるだけで正直何故この本を購入したのかも思い出せないんだけど、思いのほか実り多い読書となった。河合隼雄さんは臨床心理学者であり、ユング派学者であり、臨床経験も豊富。タイトルだ...
河合隼雄さんの読書に関する講演を文字に起こしたもの。河合隼雄という名前は村上春樹関連でちらちら聞いたことがあるだけで正直何故この本を購入したのかも思い出せないんだけど、思いのほか実り多い読書となった。河合隼雄さんは臨床心理学者であり、ユング派学者であり、臨床経験も豊富。タイトルだけ聞いたらありがちな自己啓発系読書本なのだが、文字通り、「こころ」の働きから本を読み解こうというテーマ。つまり、「自我」「エス」「アニマ」「悪」とか。いろいろ。中でも第一章「私とそれ」、第三章「内なる異性」の夏目漱石の、異性、魂についてとか、すごく目から鱗でした。自分がこれまで本を読んできて、何に引っかかりを覚えていたのかが明確になった。
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心についてはわからないことだらけで、 不確かなことばかりだけれども それでいいのだと。 正しいとか正しくないとかは 結局は、「社会的にみて」であり、 生きていくことに正しさも間違いもないのだなと気付かされました。 河合さんの対談本はいつもそれを気づかせてくれます。 呼んでいるとほ...
心についてはわからないことだらけで、 不確かなことばかりだけれども それでいいのだと。 正しいとか正しくないとかは 結局は、「社会的にみて」であり、 生きていくことに正しさも間違いもないのだなと気付かされました。 河合さんの対談本はいつもそれを気づかせてくれます。 呼んでいるとほっと肩の荷がおりて、安心できます。 紹介されている本は読んだことがないがないばかりですが、いずれ読んでみたいと思います。
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潜在意識が、「それ」という存在として、昔から様々な文筆家に扱われてきたこと、ユングが探究してきたことを理解する糸口になる厳選された図書が紹介されている。残念ながら、どれもまだ読んだことがない。
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