ピース の商品レビュー
こりゃ奇妙奇天烈系ではないか。 大体において解説に数ページも必要な本というのは好きではないのだ。 と言いつつも全く分からんので解説を読んでいるうちに、ふーんなるほどとか思ったりもしたわけで。謎が謎を呼ぶというか、そもそも投げっぱなしなのも多いんだけど、まぁ振り返ってみると挿入され...
こりゃ奇妙奇天烈系ではないか。 大体において解説に数ページも必要な本というのは好きではないのだ。 と言いつつも全く分からんので解説を読んでいるうちに、ふーんなるほどとか思ったりもしたわけで。謎が謎を呼ぶというか、そもそも投げっぱなしなのも多いんだけど、まぁ振り返ってみると挿入されるそれぞれの逸話はそれなりに面白かったなぁと思いつつあるわけで。それらが繋がってるのかどうかは分からんというか理解できなかったけど、総じて実は楽しめたんかもしれんです。
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「ウィア老人の回顧録」のように私には思えた。でも、感じ方は人それぞれだろう。そもそもウィア氏が年老いているという結論に辿り着くまでにも時間がかかった。そこへもってメインストーリーの途中で、なんの脈絡もなく突然、お気に入りのナイフの思い出が挿入されたり、読んだ本の内容が語られたり、...
「ウィア老人の回顧録」のように私には思えた。でも、感じ方は人それぞれだろう。そもそもウィア氏が年老いているという結論に辿り着くまでにも時間がかかった。そこへもってメインストーリーの途中で、なんの脈絡もなく突然、お気に入りのナイフの思い出が挿入されたり、読んだ本の内容が語られたり、他人視点での話があったり、時間と空間を飛び越えて物語が入り乱れる。訳が分からない。でも嫌いじゃない、むしろ好き。まさに終わることのない物語、読み始めるときはいつも初めての気持ちになれる、そんな作品。時間を置いてまた読みたい。
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メインストリームだと思って読んでいた。 あとがきではそうではない可能性もあるということだった。 メインストリーム、SF、ファンタジー、そういうくくりはどうでもよくて、 著者がいうようにただ“記憶と物語に関する作品”として受け入れればいいのでは。 ジーン・ウルフは大好きだけれど...
メインストリームだと思って読んでいた。 あとがきではそうではない可能性もあるということだった。 メインストリーム、SF、ファンタジー、そういうくくりはどうでもよくて、 著者がいうようにただ“記憶と物語に関する作品”として受け入れればいいのでは。 ジーン・ウルフは大好きだけれど、 アメリカという国に興味がないから、歴史・私小説的でいまひとつだった。
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老人ウィアは回想し、語る。子供のころの不思議な出来事を、情景を、夢を、想像を、見聞きしたすべての物語を。現在語られている場所がどこなのかわからない。語り手は死んでいるのか、生きているのかも定かではない。隠喩と連想に満ちた話しの中で物語だけが紡がれていく。何が嘘なのか、真相はいった...
老人ウィアは回想し、語る。子供のころの不思議な出来事を、情景を、夢を、想像を、見聞きしたすべての物語を。現在語られている場所がどこなのかわからない。語り手は死んでいるのか、生きているのかも定かではない。隠喩と連想に満ちた話しの中で物語だけが紡がれていく。何が嘘なのか、真相はいったい何なのか、おぼろげながらウィアの語る内容から推察できるが、たしかなことは言えない。「記憶と物語、についての物語」。 解説を読むに、ウィアが嘘をついて、何かを隠している可能性もある。いろんなところで、何かがつながっているようだ。作中の寓話は作中の何かの別のことの暗示であるのかもしれない。再読しないとよくわからない。何度も読むに耐えるスルメ本であることは間違いないようだ。 オレンジ風味のジュースはジャガイモからできているらしい。わかりにくい。
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時間があちらこちらに移動し,回想かと思えばいつの間にか現代へ,そして,常に「肝心なことが隠されている」ような記述と,結末が曖昧なままにされるエピソードの数々. 何だかよく分からないけれども「これが文学だなあ」という読後感に浸っていると,訳者の解説で与えられるヒントに頷かされる.再...
時間があちらこちらに移動し,回想かと思えばいつの間にか現代へ,そして,常に「肝心なことが隠されている」ような記述と,結末が曖昧なままにされるエピソードの数々. 何だかよく分からないけれども「これが文学だなあ」という読後感に浸っていると,訳者の解説で与えられるヒントに頷かされる.再読せねば.
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とても不思議で、本の迷宮、神話の中に取り込まれてしまうような感覚になる。古い小説だとは思えないくらい斬新。時制と主人公とリアルとファンタジーとがコロコロと変わっていく。それは人の思考は一貫していないからだろうか。急に昔読んだ物語が差し込まれ、しかもそれは最後まで完結せず、ただ後に...
とても不思議で、本の迷宮、神話の中に取り込まれてしまうような感覚になる。古い小説だとは思えないくらい斬新。時制と主人公とリアルとファンタジーとがコロコロと変わっていく。それは人の思考は一貫していないからだろうか。急に昔読んだ物語が差し込まれ、しかもそれは最後まで完結せず、ただ後になって比喩であったことがわかったり、そのような展開が最初から最後まで続く。全くつかみどころがなく、それがゆえにスケールが大きい。
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主人公が過去を回想する。章ごとに異なる物語が語られる。 「オールデン・デニス・ウィア」:祖父の家で過ごすクリスマス。プレゼントのナイフ。 「オリヴィア」:叔母と求婚者たち。磁器の卵。 「錬金術師」:スマートが語る。不気味な薬局の店主。サーカスの一座。 「ゴールド」:図書館司書の女...
主人公が過去を回想する。章ごとに異なる物語が語られる。 「オールデン・デニス・ウィア」:祖父の家で過ごすクリスマス。プレゼントのナイフ。 「オリヴィア」:叔母と求婚者たち。磁器の卵。 「錬金術師」:スマートが語る。不気味な薬局の店主。サーカスの一座。 「ゴールド」:図書館司書の女性。古書に秘められた謎。 「社長」:工場を取材に来た記者。かつての死亡事故と幽霊。
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アメリカ中西部の町に住む老人ウィアは静かに回想する、自分の半生を、過去の不思議な出来事を、説明のつかない奇妙な事件を……時間と空間を錯綜して語られる、魅惑と謎に満ちた物語の数々。邯鄲の夢と幽霊の館、千夜一夜物語とアイルランド神話、死者を縛める書と聖ブレンダンと猫と鼠の王、腕のない...
アメリカ中西部の町に住む老人ウィアは静かに回想する、自分の半生を、過去の不思議な出来事を、説明のつかない奇妙な事件を……時間と空間を錯綜して語られる、魅惑と謎に満ちた物語の数々。邯鄲の夢と幽霊の館、千夜一夜物語とアイルランド神話、死者を縛める書と聖ブレンダンと猫と鼠の王、腕のない女と石化する薬剤師――『ケルベロス第五の首』『デス博士の島その他の物語』の巨匠、ウルフが魔術的技巧で綴る究極の幻想文学が約40年の時を経てついに邦訳。
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邯鄲の枕が出て来るまでもなく、本当はまだ子供であったはずのデンの予知夢なのかもしれないが、見かけは過去を懐かしむ老人の思い出語りか、あるいは妄想か、、?現在(があるとして)が過去(あるいは未来)に浸食され、誰が生者で死者かも混然とし、場所も建物もあやふやな中で、語り手の記憶ははっ...
邯鄲の枕が出て来るまでもなく、本当はまだ子供であったはずのデンの予知夢なのかもしれないが、見かけは過去を懐かしむ老人の思い出語りか、あるいは妄想か、、?現在(があるとして)が過去(あるいは未来)に浸食され、誰が生者で死者かも混然とし、場所も建物もあやふやな中で、語り手の記憶ははっきりとしていて、支離滅裂で、結末の無いたくさんの物語が、珠玉の宝石を敷き詰めたように広がっている閉ざされた世界。美しいといえる読後感。
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次から次と謎が出現し読めば読むほど謎が深まる。しかしハッキリしないことに対する気持ち悪さはあまり感じず、むしろ心地良く感じるのは何故だろう。 解説に<記憶と物語に関する作品>とある。この記憶には、主人公の経験した出来事だけでは無く、主人公が読んできた本の内容や他の人から聞いた話...
次から次と謎が出現し読めば読むほど謎が深まる。しかしハッキリしないことに対する気持ち悪さはあまり感じず、むしろ心地良く感じるのは何故だろう。 解説に<記憶と物語に関する作品>とある。この記憶には、主人公の経験した出来事だけでは無く、主人公が読んできた本の内容や他の人から聞いた話なども含まれる。私だけかも知れないが、主人公の脳内の膨大な記憶の中から、次から次と意識に浮び上る時空が錯綜した記憶の断片を、主人公の脳の片隅で観察しているような読書感覚だった。意識に浮び上る記憶の断片には、混乱や書き換えが起きているのではと思える箇所もあるので油断することが出来ない。不穏さや不可解な謎に満ちた話なのに、この他人の頭の中を覗いて観察しているような読書感覚はとても心地良い(あくまでも私だけが感じる感覚かも知れませんが...)。 しかしまあ、解説の<Ⅱキャシオンズヴィル案内 -読み終えた読者のために>を読んで自分の読み落としが如何に多いか気付いた。この素晴らしい解説を手掛かりに少し期間を置いて再読したい。 小説の内容とは関係なく話は飛ぶが、読んでいるとふと思い出したのが、以前読んだガルシア=マルケスの『生きて、語り伝える』の冒頭にある以下の文章。『生きて、語り伝える』は小説では無いが、この文章にはどこか重なるものを感じる。 「人の生涯とは、人が何を生きたかよりも、何を記憶しているか、どのように記憶して語るかである。」
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