歌集 あかゑあをゑ の商品レビュー
馬場あき子さんの歌集ですね。 馬場あき子さん(1928ー)東京生まれ。歌人、評論家、能作家、教育者。 平成21年から平成24年までに詠まれた短歌の歌集です。平成23年の東日本大震災をのおりに「圧倒的な現実の前に作歌も中断しがちな衝撃を受ける。」とあとがきに記されています。また、「...
馬場あき子さんの歌集ですね。 馬場あき子さん(1928ー)東京生まれ。歌人、評論家、能作家、教育者。 平成21年から平成24年までに詠まれた短歌の歌集です。平成23年の東日本大震災をのおりに「圧倒的な現実の前に作歌も中断しがちな衝撃を受ける。」とあとがきに記されています。また、「この歌集は、三・一一の大災害と遭遇するところで終わっている。そのことが私の大きな節目になっている。ともかく、前歌集の『鶴かへらず』につづく二十四冊目の歌集がまとめられたことに感慨を覚えている。」とも語られています。 昔のひとのやうなわたしと 花のやうな桜と出会って静か どしゃぶりの雨の中から駆け込んで 新鮮なからだ珈琲を飲む すくりすくりと鉛筆を削り学びしは 涼風の冷ゆる夜にてありしか ミルクの香に嬰児(みどりご)と溶けあって ゐるやうな若き母のせひるでんしやゆく 一筋の糸として垂れしんみりと 冷たき花に触れしめてさくら ぬば玉のまよのまんなかともされて 繭のやうなるこころ繕ふ 津波あとに帰り住む顔の力なり 父在らば同じき みちのくの顔 うつむきて咲くえごの花しろしろと 盛り過ぎゆく日々の道あり いたどりはもつとも強き足をもて つなみの大地つかみ倒れず おぼおぼと朝霧深き里川の 草生にぬれて真葛なりわれ 霧らひつつ山を降りきて野をひたす 湿れる重き時間みえくる 馬場さんの歌集は、これが初読みなのですが、なぜか懐かしさにあふれました。 こころに染みてくる感情の発露をしみじみと共感できますね。なんとなく親しさを味わえました。
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