金子みすゞの110年 の商品レビュー
この春(2016年)萩に遊んだ折、妻の誘いで、バスで1時間余りの仙崎まで足を延ばした。ここは金子みすずのふるさとである。ぼくはみすずのことは多少は知っていたが、最初は鴎外のふるさと津和野行きを主張していたほどだ。それが仙崎へ行って、すっかりみすずにはまってしまった。それは仙崎にあ...
この春(2016年)萩に遊んだ折、妻の誘いで、バスで1時間余りの仙崎まで足を延ばした。ここは金子みすずのふるさとである。ぼくはみすずのことは多少は知っていたが、最初は鴎外のふるさと津和野行きを主張していたほどだ。それが仙崎へ行って、すっかりみすずにはまってしまった。それは仙崎にあるみすず記念館を訪れたからであるが、そこにあった本書を読むことですっかり夢中になってしまったのである。今でこそ金子みすずの名前を知らない人のほうが珍しいほどだが、今から30年余り前、矢崎節夫さんという詩人の発掘がなければ、みすずはごく一部の人にだけ知られ、そして埋もれていったかも知れなかったのである。ぼくは金子みすずの詩にも興味を引かれたが、それよりも金子みすゞの生涯、その生涯をよみがえらせた矢崎さんの情熱により興味を引かれた。本書は図版も多く、金子みすずの生涯を甦らせ、彼女の詩の伝道者を自負する矢崎さんの追跡を生き生きと伝えている。
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