伊勢新九郎 の商品レビュー
【後北条氏部分はさほど問題ない、むしろ意欲作】 【残念ながら関東室町争乱部分に誤りが幾つか・旧説が多い】 後北条氏部分は各自治体史、また、出世年に関しては新説を取り入れた上に、一般書ならではの著者の推理(ちゃんと事実と分けられて述べられている)もなかなか鋭い。この部分のみなら★...
【後北条氏部分はさほど問題ない、むしろ意欲作】 【残念ながら関東室町争乱部分に誤りが幾つか・旧説が多い】 後北条氏部分は各自治体史、また、出世年に関しては新説を取り入れた上に、一般書ならではの著者の推理(ちゃんと事実と分けられて述べられている)もなかなか鋭い。この部分のみなら★5つ。 尤も後述する今川家督相続問題(竜王丸6歳の時)に父上(伊勢宗瑞)が絡んでいたような記述は微妙だが… しかしながらこの本に限らず、一般向けの後北条氏本に見られる傾向なのだが、所謂「北条早雲(伊勢宗瑞)」以前の関東、関東管領上杉氏の部分が非常に甘い。 タイトルに「新説による」と入れてあるのにも関わらず上杉・今川部分は旧説だらけ。上杉・今川についてはここ数年で何冊も出ているのにも関わらず、参考文献に専門書・研究書がほとんど無かったので、企画側の問題とも伺える。2013年末の出版でこれは手痛い。 関東中世史には別途「古河公方と伊勢宗瑞」などを合わせ読みすると良いだろう。(これも一部他と合わせ読みすべき部分が有るが) 一つ致命的な点を訂正しておくと、私(氏綱)の従兄弟で父・早雲(伊勢新九郎)の甥である今川氏親殿が幼少期に巻き込まれた家督争い。 介入したのは「犬懸上杉政憲」であって、本文中の「山内上杉政憲」ではない。 これは堀越公方と関東上杉氏との関わりについて載っている本を幾つか比べ読みすると解りやすいだろう (おそらく、筆者のミスではなく、引用元の誤りの可能性が高いのだが)
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