ラヴ・レター の商品レビュー
作品紹介・あらすじ 単行本未収録の短篇9つを収める。いまなお多くの作家たちに影響を与える、唯一無二の、文学世界。最晩年の短篇集。 ***** なんでしょうね、これは。虚実入り混じっているのか、あるいは実だけなのか。人によっては「こんなの小説ではない!」と怒りだす人もいるかも...
作品紹介・あらすじ 単行本未収録の短篇9つを収める。いまなお多くの作家たちに影響を与える、唯一無二の、文学世界。最晩年の短篇集。 ***** なんでしょうね、これは。虚実入り混じっているのか、あるいは実だけなのか。人によっては「こんなの小説ではない!」と怒りだす人もいるかも知れないし、そういう人の気持ちも分かるような気がする。 某作家はこの作品を「認知症になった人が書いた」あるいは「認知症になったふりをして書いた」と評していた(結論としてはこの作品を絶賛している)。そう言われればそんな気もしなくもない。 小島信夫の作品を読むのは、かなり前に「アメリカン・スクール」を読んで以来。その「アメリカン・スクール」はとても面白かった記憶がある。ここのレビューでも「人によっては『下手な文章だなぁ』と思われるかもしれない。そんな文章がこれほどに心に響いてくるものとは」なんてことを書いていた。そうか、その頃から「下手な文章だなぁ」と思っていたんだ。 時々文法がおかしくなるところや、視点が不自然に変化してしまうところや、おかしな箇所で終わってしまうところがあるのだけれど、もはやそんなことはどうでもいいや、と思わせてくれる何かがある。その「何か」が僕には分からない。もしかしたらあまりにもピュアで無防備な文章のせいかもしれない。何の盛り上がりもない内容を、何の混じり気のない文章で紡いでいく。それが不思議と読んでいる僕の中にスススっと抵抗なく入って来る。時々泣き出したくなるほどに感傷的にもなる。これが小島信夫の特徴なのかも知れない。だとしたら僕は好きです。
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読んでいる最中も読了後も、本当に小島信夫はいいなあ、と思いました。 中盤に収められている「ラヴ・レター」を読んでいるときに、なぜか涙が止まらなかった。たぶん、一文字一文字追うのが本当に嬉しかったのではないかと。 今まで「アメリカン・スクール」と翻訳された「レンブラントの帽子」しか...
読んでいる最中も読了後も、本当に小島信夫はいいなあ、と思いました。 中盤に収められている「ラヴ・レター」を読んでいるときに、なぜか涙が止まらなかった。たぶん、一文字一文字追うのが本当に嬉しかったのではないかと。 今まで「アメリカン・スクール」と翻訳された「レンブラントの帽子」しか読んだことがないのでもっと読んでからまた読み直したいです。
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