男の一生(下) の商品レビュー
川並衆であった前野将右衛門は、秀吉の側近となり、ついには但馬十一万石の大名へと出世した。天下人となっていくにつれて、人たらしの秀吉は変貌していく。 茶々についてどのように考えて生きていったのか諸説ある。確かに母お市の方を死に追いやった秀吉一門を仇とみて、浅井の血を残そうと画策した...
川並衆であった前野将右衛門は、秀吉の側近となり、ついには但馬十一万石の大名へと出世した。天下人となっていくにつれて、人たらしの秀吉は変貌していく。 茶々についてどのように考えて生きていったのか諸説ある。確かに母お市の方を死に追いやった秀吉一門を仇とみて、浅井の血を残そうと画策したのは、納得できる展開。 ただし、秀次など、他の豊臣衆がそのまま存命であれば、徳川家康の天下取りも、どうなったことか。もしかして首都は大坂だったのだろうか。
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前野将衛門という人物はよく知らなかった。蜂須賀子六と同じように秀吉との縁で大名に取り立てられるサクセスストリーかと思いきや、何んともつらい最期であったか?そしてさらに不幸はその子孫にまで及ぶ。若い頃遠藤周作の本はよく読んだが、最晩年のこの作品は読んでなかった。
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天下を取った秀吉が、上巻では農民への思慮深さがあったのだが、下巻では権力への執着が如実に描写されている。前野は秀吉に仕えて果たして幸福だったのかという自問をする場面が多くなる。 秀次事件で最後は自決するのだが、それまでに、自分の幸福とは何かと自問をし、故郷木曽川への思いを馳せ、そ...
天下を取った秀吉が、上巻では農民への思慮深さがあったのだが、下巻では権力への執着が如実に描写されている。前野は秀吉に仕えて果たして幸福だったのかという自問をする場面が多くなる。 秀次事件で最後は自決するのだが、それまでに、自分の幸福とは何かと自問をし、故郷木曽川への思いを馳せ、そしてそこに魂が帰依するという感情の変化は感慨深い。 自分にとって幸福とは何か、考えさせられる作品だった。
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