心の力 の商品レビュー
トーマス・マンや漱石は「心の病」が発見された時代を生き作品の中で「心」を発見した。『魔の山』のハンス、『こころ』の私の生き方を通しての2つの作品の考察、著者の『続・こころ』という『こころ』の続編を描いたものを興味深く読んだ。著者が「人生のある時期に「魔の山」のようなところで心を育...
トーマス・マンや漱石は「心の病」が発見された時代を生き作品の中で「心」を発見した。『魔の山』のハンス、『こころ』の私の生き方を通しての2つの作品の考察、著者の『続・こころ』という『こころ』の続編を描いたものを興味深く読んだ。著者が「人生のある時期に「魔の山」のようなところで心を育てることは有意義だ」(p146)と述べているが、そのような余裕やゆとりも重要なのかな、と感じた。ちょうど『こころ』を読んだところで、本書から『こころ』を読むにあたってのヒントを得られた。
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★SIST読書マラソン2015推薦図書★ 【所在・貸出状況を見る】 http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&category-book=all&category-mgz=all&materialid=11302040
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トーマス・マン 「魔の山」 夏目漱石 「こころ」 同じ時代に書かれた2つの小説の姜尚中的な、その後の物語。 幅のある選択肢の中から、もっとも最適なものを選択する。(本文より) 世間で言われている方程式に従ってたった一つの高い理想を描き、そこからはずれたらおしまいだなどと震え...
トーマス・マン 「魔の山」 夏目漱石 「こころ」 同じ時代に書かれた2つの小説の姜尚中的な、その後の物語。 幅のある選択肢の中から、もっとも最適なものを選択する。(本文より) 世間で言われている方程式に従ってたった一つの高い理想を描き、そこからはずれたらおしまいだなどと震え上がらないでくださいと。まずは自分自身がいいと思う道を進んで、それがダメだったらいくらでも図太く方向転換すればいいのです。心の豊かさとは、けっきょく自分の中に選択の幅を持っていることなのですから。(本文より)
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心の力とは? →心は人生に意味を与える物語においてのみ理解可能 人生に目標が見つからなくて立ち往生してるとき、時間を無駄にしているように感じるが、最終的には無駄ではない 心の豊かさとは、自分の中に選択の幅を持っていること
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グローバリゼーションが進み、多様化が進むどころか、むしろ人びととの価値観が画一化し、「代替案(オルタナティヴ)」というものを考えられなくなった。どのような生き方が賢くて、どのような働き方が尊敬されて、どのような生活スタイルがカッコいいのか。そうしたことについての価値観が異様なくら...
グローバリゼーションが進み、多様化が進むどころか、むしろ人びととの価値観が画一化し、「代替案(オルタナティヴ)」というものを考えられなくなった。どのような生き方が賢くて、どのような働き方が尊敬されて、どのような生活スタイルがカッコいいのか。そうしたことについての価値観が異様なくらい画一的になっていて、それ以外のものを思いめぐらす想像力がないのです。一つの価値観しか持っていないと、それが崩れたときに逃げ場がないという恐ろしさがあります。 心の豊かさとは、究極のところ複数の選択肢を考えられる柔軟性があるということなのです。現実はいま目の前にあるものだけではないとして、もう一つの現実を思い浮かべることのできる想像力のことなのです。 まずは自分自身がいいと思う道を進んで、それがダメだったらいくらでも図太く方向転換すればいいのです。心の豊かさとは、けっきょく自分中に選択の幅を持っていることなのですから。
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凡庸といっても、ただの平凡ではなく、ハンス・カストルプ的な幅と深みと余裕のある偉大なる平凡の話が面白い。 「こうでなくても、あれがある。あれでなくても、これがある。」というようにオルタナティブ(代替案)が生きていく上で大切であることも知る。 この話とは別に著者の名前の尚中にはドイ...
凡庸といっても、ただの平凡ではなく、ハンス・カストルプ的な幅と深みと余裕のある偉大なる平凡の話が面白い。 「こうでなくても、あれがある。あれでなくても、これがある。」というようにオルタナティブ(代替案)が生きていく上で大切であることも知る。 この話とは別に著者の名前の尚中にはドイツ語で「偉大なる真ん中」という意味があるらしく、日本名の「鉄男」よりも気に入っているようだ。 夏目漱石の「こころ」とトーマス・マンの「魔の山」。 改めて読んでみたい。
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[ 内容 ] ミリオンセラー『悩む力』と長編小説『心』の著者が、夏目漱石が一〇〇年前に書き残した最大の問題作に挑む。 登場人物“先生”の長大な遺書を収めた漱石の『こころ』は、なぜ多くの読者の感情を揺さぶってきたのか。 それは、この世に生きる者がみな、誰かに先立たれた存在だからだ。...
[ 内容 ] ミリオンセラー『悩む力』と長編小説『心』の著者が、夏目漱石が一〇〇年前に書き残した最大の問題作に挑む。 登場人物“先生”の長大な遺書を収めた漱石の『こころ』は、なぜ多くの読者の感情を揺さぶってきたのか。 それは、この世に生きる者がみな、誰かに先立たれた存在だからだ。 「死にゆく人々は、みんな先生」という認識から見えてくるものとは? 漱石『こころ』とトーマス・マン『魔の山』の後日談を描いた実験的な小説も収録。 心の実質を太くする生き方を提唱した、新しいスタイルの物語人生論。 [ 目次 ] 第1章 現代という武器なき戦場 第2章 なぜ生きづらいのか 第3章 「魔の山(イニシエーション)」の力 第4章 真ん中でいこう 第5章 「語り継ぐ」ということ 終章 いまこそ「心の力」 [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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夏目漱石とトーマス・マンの作品を土台に、心の病、大切な人に先立たれた人々がどうやって死に向き会うかなどが述べられています。 人間の在り方は社会と切り離すことができないというところが個人的になにか諦めるきっかけになりました。 中に真面目であるから悩み、悩む力が蓄えられる、それが心...
夏目漱石とトーマス・マンの作品を土台に、心の病、大切な人に先立たれた人々がどうやって死に向き会うかなどが述べられています。 人間の在り方は社会と切り離すことができないというところが個人的になにか諦めるきっかけになりました。 中に真面目であるから悩み、悩む力が蓄えられる、それが心の力の源流だと書いてありましたが、いつも何かを考え込む癖があるので、この言葉に救われた気がします。
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※このレビューにはネタバレを含みます
グローバリゼーションが進み、多様化が進むどころか、むしろ人びとの価値観が画一化し、「代替案」というものを考えられなくなったことです。(中略)たとえば、進学、就職、収入、社会活動、人間関係、恋愛、あるいは趣味や暮らし方……。どのような生き方が賢くて、どのような働き方が尊敬されて、どのような生活スタイルがカッコいいのおか。そうしたことについての価値観が異様なくらい画一的になっていて、それ以外のものを思いめぐらす想像力がないのです。一つの価値観しか持っていないと、それが崩れたときに逃げ場がないという恐ろしさがあります。(p.69) 語り継ぐということは、敷衍して言えば一人ひとりの死を無駄にしないこと、一つひとつの命をいとおしみ、あるいは、”隣人”の問題として考え。さらにその歴史をみなで共有することではないでしょうか。そうした態度が広がっていけば、いまの社会に蔓延している心の病や心の孤立、そして孤独な死のありようも変わっていくのではないでしょうか。(p.180)
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物質的に豊かでも心の貧しい国。 グローバル化が加速したことで、むしろ価値観の画一化が進んでいる。 それが、生き方の代替案(オルタナティヴ)を失わせる原因になっている。
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