キャラクタードラマの誕生 の商品レビュー
脚本に注目してドラマを観ることが多い。この本に登場する脚本家たちも、もちろん入っている。作風の変化の分析には、「なるほど」と思う。
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岡田惠和 坂元裕二 具体的な商品名や地名といった明確なものは、人の心という曖昧で捉えがたいものを描くために必要な地盤 遊川和彦 スーパーキャラ cf. GTO、女王の教室 人間芝居 vs. キャラクター芝居 「作者の反映としての私」は存在せず、「キャラクター」という生身では...
岡田惠和 坂元裕二 具体的な商品名や地名といった明確なものは、人の心という曖昧で捉えがたいものを描くために必要な地盤 遊川和彦 スーパーキャラ cf. GTO、女王の教室 人間芝居 vs. キャラクター芝居 「作者の反映としての私」は存在せず、「キャラクター」という生身ではないものに「私」が宿っている(大塚英志) 宮藤官九郎 IWGP 場所的にリアルであって、でも、その中で、めちゃくちゃ虚構 虚構の世界にのめり込み、今度は物語の力で現実の自分を救っていくという市川森一作品の影響→タイガー&ドラゴン、あまちゃん 木皿泉 日常の中に異界の住人が紛れ込むファンタジーは、見えないものと向き合う時に最高の力を発揮する。木皿泉は、そんなファンタジーの力を誰よりも強く信じているのだと思う 古沢良太 シャドウ ハリウッド映画のシナリオでは、主人公が戦う相手は自分の中にある陰の部分、暗い欲望を反映した存在に設定されることが多い cf.ダークナイト
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
トレンディードラマの初期プロトタイプ的作品、山田太一「想い出作り」の演出を行った大山勝美は「つまらない人間のつまらない日常を、いかに面白くリアルに描くか、これがテレビドラマの役割なんです」という発言している。 昔のテレビドラマは、リアルな人間を描くドラマが主流だったが、次第にマンガ的、記号的なキャラクターを描くドラマが人気になっていく。リアルな日常の物語を見せる作品より、登場人物の個性的なキャラを魅せるドラマの方が人気となる。 次第に人々自体が日常で自分の本心を隠して、場面場面に応じてキャラを使い分けるのが当たり前になってくると、キャラを演じることの疲れ、ストレスをドラマが描くようにもなる、木皿泉「野ブタをプロデュース。」のように。 この本ではキャラクタードラマ時代の代表的脚本家として、「ちゅらさん」、「泣くな、はらちゃん」などの岡田惠和、「最高の離婚」、「Woman」などの坂元裕二、「家政婦のミタ」の遊川和彦、「あまちゃん」の宮藤官九郎、「すいか」の木皿泉、「リーガルハイ」の古沢良太という6人の脚本家を取り上げて評論している。 個人的には、遊川和彦さんのインタビューと古沢良太さん「リーガルハイ」の作品分析が面白かった。 遊川さんはドラマ作りにストイック。ドラマで取り上げるテーマについて、まずプロデューサーなどと哲学的に議論して、テーマを深めていく。放送されているドラマは全て見て、暇があれば映画を見に行くというドラマ界の求道者。 「リーガルハイ」は、フィクションが語ることを素直に信じるな、物語に騙されるなと警告しているという。毎回のエピソードラストで最終的な結論を提示しないで、全部詭弁でした!と舌を出してみせる「リーガルハイ」。ドラマの話をそのまま信じちゃだめだということを暗に語る。本当にドラマが好きだからこそ言える。面白い。
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