感受体のおどり の商品レビュー

黒田夏子【著】

2014/11/24

黒田さんの作品を読むと苦しくて汚かったじぶんの子供時代と向き合うはめになり非常にくるしい。書かれているのはおもに踊りを習い実らない恋をしていた自分、作家を目指し、しかし書く時間を捻出するために貧しい暮らしを選択したことによる苦しさを背負った自分、作品を書いているときに共に作家を目指していた男や友人についてなど。何度も何度もぐるぐる回るように過去に帰る。パートははっきり別れているものの、自分を書く上でわけられない、別れられないものが立ちのぼる良い意味でしつこい作品だった。

2014/10/02

パラパラ読み。最初はなにがなんだか分からなかった。35編読んで、もしかして、と気付ければいいほう。
35篇ずつがその順番のまま10サイクル（つまり、1編の続きが36編・71編…316編）という構成が分かれば、時間に関して作者が避けたかったこと・したかったことも分かり楽しめる。

2014/09/10

【史上最高齢芥川賞受賞者、畢生の長編ロマン】『源氏物語』のような大河恋愛小説でもあり、『失われた時を求めて』のような記憶についての物語でもある、異色の本格小説。

2013/12/16

芥川賞受賞後第一作。
話題になった平仮名多用＋横書きは本作でも踏襲されているが、純粋に書かれた順番としては『abさんご』よりも前になるようだ。
何処か現実味のない作風は幻想小説にも通じるものがあり、読み終えるのが勿体なくなった。