科学の解釈学 の商品レビュー
講義の中で科学史とかあったけど、科学論そのものへの歴史負荷性とか全く考えたことがなかった。たぶん、これまでずっと科学史関連は薄っぺらなモノしか私の周りにはなかったのだろう。私自身の意識も、教授/教諭と呼ばれる人たちの教え方も。実際、本書を読んでみてようやく「方法序説」の凄さが分か...
講義の中で科学史とかあったけど、科学論そのものへの歴史負荷性とか全く考えたことがなかった。たぶん、これまでずっと科学史関連は薄っぺらなモノしか私の周りにはなかったのだろう。私自身の意識も、教授/教諭と呼ばれる人たちの教え方も。実際、本書を読んでみてようやく「方法序説」の凄さが分かった気がする。「科学革命の構造」も読んでおくべきだったかも。
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20世紀の科学哲学の基礎を少しだけ学んだ後に、もう少し踏み込んだ議論を眺めてみたいと思って手に取りました。野家先生の80-90年代の論文をいくつか纏めた内容となっていますが、クーンのパラダイム論、クワインのホーリズムからネオ・プラグマティズム、はたまたサイエンス・ウォーズの話まで...
20世紀の科学哲学の基礎を少しだけ学んだ後に、もう少し踏み込んだ議論を眺めてみたいと思って手に取りました。野家先生の80-90年代の論文をいくつか纏めた内容となっていますが、クーンのパラダイム論、クワインのホーリズムからネオ・プラグマティズム、はたまたサイエンス・ウォーズの話まで、入門的な本より少し踏み込んだ議論を平易な文章で読むことができます。 ウィトゲンシュタインのアスペクト論に関する話は少し難しく感じます。
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収録されている論文自体の初出が80年代、90年代であり、 ハンソンの「観察の理論負荷性」クーンの「パラダイム論」 クワインの「知識の全体論」ウィトゲンシュタインの 「アスペクト知覚論」と扱っている主題もやや古さを感じ ざるを得ない内容ではあるが、科学哲学について知ろう、 学ぼうと...
収録されている論文自体の初出が80年代、90年代であり、 ハンソンの「観察の理論負荷性」クーンの「パラダイム論」 クワインの「知識の全体論」ウィトゲンシュタインの 「アスペクト知覚論」と扱っている主題もやや古さを感じ ざるを得ない内容ではあるが、科学哲学について知ろう、 学ぼうという者にとっては一度通っておいた方がいい書籍 だろうと門外漢の私でもそう思う、充実した内容であった。 もちろん、これまでの予習があったからこそ、そう思うの だろうが。 内容が見事にまとめられているので、読むのを悩んでいる 人はまえがきを一読することをお勧めしたい。
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野家啓一『科学の解釈学』講談社学術文庫、読了。科学は果たして万能か。信仰にも似た科学へ信頼は諸学の隷属化すら招いている。本書は、その対極の反科学主義を排しながら、「科学を御神体として後生大事に抱え込む哲学的傾向に見られるこうした『俗悪さ』に対して反措定を提出」一冊。 科学的知識の現状は「究極の真理」として「聖化」され「知のヒエラルキー」と化している。「科学は人間の自己理解に奉仕すべきものであはあっても、その逆ではない」。科学の自己理解の更新を促す本書は、その権威を解体し、「科学的理性批判」を回復する試みともいえよう。 第一部では、ハンソンの「観察の理論負荷性テーゼ」とクーンの「パラダイム論」を軸に科学哲学の構造転換を論じ、「科学の解釈学」の骨格を明らかにする。第二部では、クワインの「知識の全体論」から、科学主義の逸脱としての「自然化された認識論」への批判を試みる。 第三部では、ハンソンの「観察の理論負荷性テーゼ」の源泉をウィトゲンシュタインの「アスペクト知覚論」に見いだし、その哲学的意義を明らかにする。アスペクト盲から隠喩的想像力と換喩的想像力にヒントを見いだすのは著者ならでは。 初版(新曜社、1993年)からちくま学芸文庫収録(2006年、3論文追加)を経て学術文庫化。「仙台市若林区に住む私自身が、思いがけず『罹災証明書』を交付される被災者の一人となった」と震災を記す(あとがき)。科学の専制から知の共和制へ。刺激的論考に満ちた一冊。
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