史記 武帝紀(五) の商品レビュー
司馬遷、蘇武、李陵、それぞれがそれぞれの場所でこれまでと違った輝きを放ち出す。 しかし、ついに出た。 中国史では必ず出てくるゾッとする刑罰。
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第5巻。武帝は在位45年を過ぎ、徐々に暴君のような行いが増えてくる。かつての将軍の孫である李稜は、匈奴の捕虜になってしまっただけでなく、武帝からあらぬ疑いを受け、一族を処刑されてしまう。司馬遷は正論を言った咎で、重い罰を受ける。使者とした匈奴に行った蘇武は北方の地に住まわされるが、極寒の地でサバイバルしていく。 史記の後半戦を彩る人物たちの転機を描く第5巻。前半の、漢の将軍たちの匈奴との戦いを描くくだりも面白かったが、ここにきて、リーダーとは、人間とは、人生とはを考えさせられるようなストーリーに転じてきた。著者の筆力がすさまじく、読ませます。
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想像を絶する不幸や災難、理不尽に直面してもなお、自分の中にある芯を貫いて生きていく男達のなんと格好良いことか……。 でも、これを成し遂げることがこの世に生をうけた意義なんだ、って信じられるものがあると、強くなれるんですよやっぱ。さて6巻。
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第五巻。 “理不尽”・・。この巻を表す言葉は、これに尽きるのでは?という程、過酷な不運が、李陵・司馬遷・蘇武を襲います。 そして、その運命を受け入れ、それぞれの生き方で再生していく3人の姿が、胸を打ちます。 長安では冴えなかった蘇武が、北方でサバイバルの才能を発揮して、生き生き(?)している感じが救われました。
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盛者必衰の理あり。 トップにというのはあれだが、長くトップに立ち続けてしまうと、国だろうが会社だろうが、疲弊してしまう。 そして、有能な人がどんどんと去っていってしまう。 漢は劉徹は今後どうなるのか…? 李陵、司馬遷、蘇武それぞれがそれぞれの思いを抱いて、生きていく。 彼らの生き...
盛者必衰の理あり。 トップにというのはあれだが、長くトップに立ち続けてしまうと、国だろうが会社だろうが、疲弊してしまう。 そして、有能な人がどんどんと去っていってしまう。 漢は劉徹は今後どうなるのか…? 李陵、司馬遷、蘇武それぞれがそれぞれの思いを抱いて、生きていく。 彼らの生きざまも注目していきたい。
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1~5の中で一番面白い巻。動きとしてはそんなに大きなものはないのだけど、司馬遷、李陵、蘇武、劉徹それぞれの闇が明らかになり、そしてそれぞれのやり方で許容・克服していく様が面白い。特に司馬遷の私見を混ぜず、私見を言わず、職業人として「歴史を記述すること」に徹する姿勢が逆に小気味よい...
1~5の中で一番面白い巻。動きとしてはそんなに大きなものはないのだけど、司馬遷、李陵、蘇武、劉徹それぞれの闇が明らかになり、そしてそれぞれのやり方で許容・克服していく様が面白い。特に司馬遷の私見を混ぜず、私見を言わず、職業人として「歴史を記述すること」に徹する姿勢が逆に小気味よい。
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久しぶりに、史記の続編を。 3.4巻がつまらなくなりつつあったので、しばらく間を空けてみたんだけど、5巻は持ち直した気がする。 前漢の中国。帝は、絶対的な王様として、腐った政治を行い続けている。即位した初めの頃は、部下の意見にも耳を傾けその上で判断をしていた帝も、時が経つにつれ...
久しぶりに、史記の続編を。 3.4巻がつまらなくなりつつあったので、しばらく間を空けてみたんだけど、5巻は持ち直した気がする。 前漢の中国。帝は、絶対的な王様として、腐った政治を行い続けている。即位した初めの頃は、部下の意見にも耳を傾けその上で判断をしていた帝も、時が経つにつれ、煩い者を退け、全てが思うままになってしまっている。 戦は負け続け、罰すべき人を罰せず、全く関係のない人を怒りに任せて処罰する。まさに、暴君。 一方で、漢の敵、匈奴は組織的な規律を身につけ、更に強くなりつつある。 国の大きさ、富、全てにおいて漢の力は強いけど、小さいながらも強い力でまとまった匈奴の勢いが今後は楽しみな気がする。
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あーあ漢を支えるものは何もなくなる。史記は初めて読んでいるが今後の展開が読みづらいです。でも何故か引き込まれる世界です、蘇武はどうなるのかも気になりますし。李陵、司馬遷も新たな境地に入るし、とりあえず6巻読もう。
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悲劇だらけの巻。 理不尽なことからの現状をひとしきり嘆いたあとは、その不遇の中で何か目的や意味を見出し行動する。うーん、【漢】だ。 でも司馬遷も、李陵も、蘇武も、不幸の発端は武帝だ。 それにしても何を飲もうかな。レベルで人の人生を左右する重大な決断をしないで欲しい…確かに国のト...
悲劇だらけの巻。 理不尽なことからの現状をひとしきり嘆いたあとは、その不遇の中で何か目的や意味を見出し行動する。うーん、【漢】だ。 でも司馬遷も、李陵も、蘇武も、不幸の発端は武帝だ。 それにしても何を飲もうかな。レベルで人の人生を左右する重大な決断をしないで欲しい…確かに国のトップの言っていることがコロコロ変わるのは、良くない。 でも間違えた、と思ったら迅速それを訂正、修正するのも必要なわけで。むー。 以前から李広利を過度に優遇する武帝に疑問を持っていたけれど、桑弘羊の言葉にああ、と思う。それだけではない、色々なものが絡まって、なのでしょうが。
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北方版「李陵」であることは公表されているので、そのつもりで読んでいる。だとすれば、この巻がクライマックスになるはずである。どうしてあとニ巻も残っているのか不思議なくらいである。 李陵は遂に匈奴と全面対決をして捕らえられ「族滅」(武帝の逆鱗に触れ一族皆殺し)を受けて、慟哭する。 ...
北方版「李陵」であることは公表されているので、そのつもりで読んでいる。だとすれば、この巻がクライマックスになるはずである。どうしてあとニ巻も残っているのか不思議なくらいである。 李陵は遂に匈奴と全面対決をして捕らえられ「族滅」(武帝の逆鱗に触れ一族皆殺し)を受けて、慟哭する。 司馬遷は李陵を擁言し宮刑(睾丸を抜き取られる刑)を受け、慟哭する。 匈奴に捕らえられた蘇武はバイカル湖の畔で哭くことなく独り三冬を越す。 漢(おとこ)は、それでも立ち上がる。どのように立ち上がるのか。それがこの小説の最大の見せ場である。 自分は生きている。漢の李陵は死んだが、匈奴の李陵として生きている。そして、男としての誇りも、失っていない。 男らしく生きたかっただけだ。そのために、幼いころから武技を磨き、軍人になった。もっとも男らしく生きられる場所は、そこだと思ったからだ。 戦に出るのは、死ぬことだ、と教えてくれたのは、祖父の李広だった。祖父は自裁というかたちで死んだが、それもまた戦だったのだ、と衛青は言った。 男らしく生きられる場所が、いまはもう、ここしかなくなった。(356p) 日々は過ぎていく。 なぜ死ねないのか、ということも、少しずつわかってきた。男ではなくされた。しかし、心の男まで失っていない。心の中の男は、志を持っていた。憤りの中で死んでいった、父から受け継いだ志である。 (略)父が記述したものを、再び読み返した。自分が記述したものも、読んだ。 なにかが、足りない。そう感じた。 それからは、足りないものがなにかを、見つけようとする日々になった。 もっと、いいものが、書ける。書けるはずだ。ただ記述すれば、人は感情に左右される。思いこみたい、という欲求もある。しかし、それは歴史の記述ではない。(184p) 「生き延びたのか、蘇武」 「ああ」 「羊も、食わなかったのだな?」 「食わない。あれが仔を産んだら、俺は帰れるのだから」 「雄が仔を産むかよ」 「産むさ、いつか」 捜牙支は、呆れたような顔をしていた。(略) それから捜牙支は穹盧の中を見回した。 「こりゃ、大したもんだ。これだけできるとはな。まあ、俺は望みはない、と思っていたんだが」 「運がよかった」 「運だけじゃねぇさ」(164p) そして、武帝は独り老いてゆくのである。 2014年1月20日読了
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