太陽強奪 の商品レビュー
星間パトロールの5編を収めた短篇集。 80年前に書かれたお話で、今となっては読む価値もない。 ある意味、スペースオペラに対して言われていることが当てはまる。 話が類型的。登場人物が描けていない、科学的にデタラメ云々。 太陽系(または銀河系)に危機が迫る! 星間パトロール出撃! ...
星間パトロールの5編を収めた短篇集。 80年前に書かれたお話で、今となっては読む価値もない。 ある意味、スペースオペラに対して言われていることが当てはまる。 話が類型的。登場人物が描けていない、科学的にデタラメ云々。 太陽系(または銀河系)に危機が迫る! 星間パトロール出撃! 気味の悪い宇宙人に囚えられる。 脱出! 宇宙人の設備を破壊して宇宙人は全滅。 星間パトロール偉い! 正義と友情と自己犠牲、その他etc。 同じような内容を5話も読まされる身にもなってくれと言いたいものだけど、 時代(または編集者)の要請でこうなっているのか、それともこの時点でのエドモンド・ハミルトンの力量なのかは分からない。 この時代は小説で、テレビができたらアニメで、媒体を変えて国を変えてこの手の話は大量に作られ、忘れられていくのだろう。 最後の2編は、銀河系外から接近する巨大彗星(!)とその中に住む宇宙人の銀河系侵攻をくい止める話、暗黒星雲に潜む宇宙人の銀河系征服の企みを挫く話。といことで、字面だけ読むとなんだか宇宙戦艦ヤマトを思い出すんですけど、企画した人は、これ読んでる?(当然話の内容は違います)
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ウルトラマンである 地球人を主役として、異星人との組み合わせによる銀河系のパトロール部隊が、これまた別の異星人を倒すという短編集の単純ストーリー。まったくの偶然性により正義は必ずというウルトラマン・ストーリーである。 その中でも本書は我が太陽が奪われるという題材を中心に描...
ウルトラマンである 地球人を主役として、異星人との組み合わせによる銀河系のパトロール部隊が、これまた別の異星人を倒すという短編集の単純ストーリー。まったくの偶然性により正義は必ずというウルトラマン・ストーリーである。 その中でも本書は我が太陽が奪われるという題材を中心に描いている。もちろん、描写は細かいし、それなりに楽しめるストーリー展開であるが、所詮はウルトラマンなのである。艦隊のスピードは針が示し、灯りは電球である。しかも宇宙にはエーテルが満ちあふれている・・・。まったくつまらない・・・。 エーテル。17世紀に、ニュートンは光は粒子であると説いた。対するホイヘンスは光は波動であると説いた。劣勢のホイヘンスは、波動を伝える媒体として架空の物質「エーテル」を考え出し、ニュートンを負かそうとした。実にこのエーテルはホイヘンス本人が気づかない間にアインシュタインの頃までだまし続ける世界最大の嘘となった。 太陽強奪は、なんとこの嘘がまかり通る時代に発表されている。時に1929年。これは大いに驚きである。この時代に、スピカやアルクトゥルス星人が登場するストーリーをここまで豊かに書けたのかともうと感動すら覚える。スターウォーズの原型もここにあるのではないか? スペースオペラの原型はすでにここに完成されていたのではないか? こう思うほどの作品だと気づいた。 おもしろくない本だった。でも、その時代を考えると、今の作家たちがここまで想像力に富むのかどうか疑問にも思えてくる。当時ネビュラ賞があったら受賞していただろうな。
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