あなたはボノボ、それともチンパンジー? の商品レビュー
非常に読みやすく そうして面白かった ボノボ、チンパンジー、ヒトの比較がわかりやすくなされていて特に性行動については詳しく書かれていて興味深かった 最後に警鐘が効果的な形で書かれていたのも人間という問題を考えさせられてためになった
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※このレビューにはネタバレを含みます
面白かった!人類が含まれる類人猿の仲間。ボノボとチンパンジーは似ている外観からは想像できないほどの性格の違い。それは、男社会なのか、女社会なのか。力至上主義なのか、互いに歩み寄る社会優先主義なのか。セックスが子孫を残すことだけに止まらず、触れ合うことで性交せずとも、互いの緊張関係をほぐし平和な集団を存続させることを優先させる手段として使われるボノボの社会。不思議だ〜〜〜〜
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図書館で見かけ、ボノボは穏やかでチンパンジーは凶暴、実はボノボの方がかしこいと聞くけれどどうなのかな〜と手にすると、たまたま開いたページにヒトのネオテニーについての言及があり、興味が湧いて借りてみた。 著者はアフリカでボノボやチンパンジーの群れを観察、その徹底比較を研究をしてい...
図書館で見かけ、ボノボは穏やかでチンパンジーは凶暴、実はボノボの方がかしこいと聞くけれどどうなのかな〜と手にすると、たまたま開いたページにヒトのネオテニーについての言及があり、興味が湧いて借りてみた。 著者はアフリカでボノボやチンパンジーの群れを観察、その徹底比較を研究をしている人物。 本書を読むに、賢さで言ったら必ずしもボノボの方がかしこいということでもなさそうだ。ボノボは滅多に道具は使わないらしい。ちょっと意外な感じ。 性進化と社会的集団の在り方の関連を、チンパンジーとボノボそれぞれの行動から分析してみせるあたりはなかなか説得力がある。また、ヒト独自の、核家族という集団の中のサブ集団という形をとったその理由もまた興味深い。 そして、チンパンジーとボノボの生態を、示唆あるものとしてヒトへの警鐘とするあたりのまとめもうまい。 著者の観察事例がいくつも具体的に取り上げられ、写真も豊富、非常にコンパクトで文章も平易でわかりやすいので、動物行動学や生物の進化などに興味がある人はもちろん、単に動物が好きというだけでもそれなりに楽しめるのではないだろうか。
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以前テレビでボノボを追ったドキュメンタリーを見た際に、その独特の行動様式に釘づけになったことがある。 ホカホカと呼ばれるオスメスを問わない性行動で、争いごとを避けるためのコミュニケーションの一種だ。 このホカホカが象徴するようにボノボはいたって平和的で争いごとを好まない。 この社...
以前テレビでボノボを追ったドキュメンタリーを見た際に、その独特の行動様式に釘づけになったことがある。 ホカホカと呼ばれるオスメスを問わない性行動で、争いごとを避けるためのコミュニケーションの一種だ。 このホカホカが象徴するようにボノボはいたって平和的で争いごとを好まない。 この社会性はチンパンジーと全く異なる部分だ。 本書では興味深いトピックが盛りだくさんで、素人にも非常に分かりやすくチンパンジーとボノボの違いを解説している。 オス優位社会のチンパンジーは集団の中の順位が重要視され、メスをめぐっての攻防も激しく常に緊張感が漂うある意味ストレスフルな社会だ。 一方、メス優位社会のボノボではメスをめぐっての争いは見られない。メスがその気にならなければ交尾することもままならない。 この違いはメスの発情が大きな理由となっている。 チンパンジーのメスは子育て期間が終わらない限り発情しない。よって、一頭のメスは5~6年発情しないために、集団内で発情しているメスが極端に少なくなる。そのためにオス同士の争いが激しくなる。 ボノボはこの争いごとをメスのニセ発情によって解決する。実際は妊娠の可能性がない妊娠中も授乳中も発情する。 そのために集団内で複数のメスが発情していることになり、オスの交尾のチャンスは圧倒的に増える。結果的にオス同士の争いも減ると言うわけだ。 ではヒトでは?この答えも非常に興味深い。 また、ニホンザルを例に挙げて“オスメス間の親和性と性行動の拮抗性”が解説されている。 簡単に言ってしまうと、親しくなればなるほど交尾をしなくなるというもの。 サルはそのために群れを飛び出し新たな相手を探しに行くのだ。 このサルが大人へと成長するのに要する年月の4年間と、人間の離婚率が最も高いのが結婚4年目だと言う奇妙な一致が真偽はともかく興味深い。 さらに著者は最強の類人猿であるヒトについて厳しく言及する。 同じ種を殺すのはチンパンジーとヒトしかいない。 ヒトもチンパンジーも未来を予測する力を持った。 そのために将来不利益となりえる集団外のオスを排除しようとするのだ。 しかもヒトの残虐性は歴史をふりかえってもチンパンジーの比ではない。 ではボノボのように、メス中心社会を形成すれば平和が訪れるのか。 話はそんなに簡単な事ではない。 我々にはボノボ的社会を築くために多くの犠牲を強いる。大きな覚悟もいる。 なにしろ、我々はボノボでもチンパンジーでもなくヒトなのだから。 タイトルも装丁も実に愉快で可愛らしい。 ボノボについてもっと知りたいと単純な好奇心で手に取った。 ところが予想をいい意味で裏切り中身の濃い深く考えさせられる内容だった。 ヒトと最も近いとされる生物、チンパンジーとボノボを通して自らを振り返る。 たくさんの人に薦めたい一冊だ。
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ボノボって知らなかった。見た目はチンパンジーにそっくりだけど、性格は穏やか。どちらもヒトに近いパン属で、ヒトと別れてからそれぞれに進化を続けてきたんだって。その、ボノボとチンパンジーを対比しながら、ヒトの中にボノボ的要素とチンパンジー的要素を見つけ、これからの人類の未来のあり方、...
ボノボって知らなかった。見た目はチンパンジーにそっくりだけど、性格は穏やか。どちらもヒトに近いパン属で、ヒトと別れてからそれぞれに進化を続けてきたんだって。その、ボノボとチンパンジーを対比しながら、ヒトの中にボノボ的要素とチンパンジー的要素を見つけ、これからの人類の未来のあり方、融和の知恵を探る、非常に面白い本でした。長年の緻密なフィールドワークを土台に、著者の知性と良心を感じました。
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