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白樫の樹の下で の商品レビュー

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17件のお客様レビュー

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2024/06/05

江戸の、時代の過渡期で武士という立場に悩み翻弄される「佐和山道場」の村上登、青木昇平、仁志兵輔の三人の武士たち。 その一人、本作の主人公である村上登がある商人から名刀を預けられるところから物語が動き出す。 昇平が小普請を抜け出世し、出世は二の次とした剣に生きる風の登。間に挟まれ...

江戸の、時代の過渡期で武士という立場に悩み翻弄される「佐和山道場」の村上登、青木昇平、仁志兵輔の三人の武士たち。 その一人、本作の主人公である村上登がある商人から名刀を預けられるところから物語が動き出す。 昇平が小普請を抜け出世し、出世は二の次とした剣に生きる風の登。間に挟まれた兵輔。そんな中、町で無惨な辻斬りが頻発する。 それを打ち取り出世を目指す兵輔が動きだし、三人の人生の歯車が少しずつ違えていくさまは本当に切なかった。 時代を扱うものなので読みにくい字もあれど文章が読みやすくページ数もちょうどよいと感じた。 様々な背景を読みときながら楽しめますし、誰が辻斬りだのを推測しながらも読めたりして、懐の広い作品に感じました。

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2024/05/28

 大きな白樫の木の下にある佐和山正則が開いた道場に通い、剣術を磨き友情を培った「小普請組」である三人の若者(青木昇平、村上登、仁志兵輔)の物語が、村上登の目線で描かれている、  平穏の世を送る江戸期にあって、”剣術”によって己を律して行かなければならない『武士』の生き辛さが、とて...

 大きな白樫の木の下にある佐和山正則が開いた道場に通い、剣術を磨き友情を培った「小普請組」である三人の若者(青木昇平、村上登、仁志兵輔)の物語が、村上登の目線で描かれている、  平穏の世を送る江戸期にあって、”剣術”によって己を律して行かなければならない『武士』の生き辛さが、とても切なく感じられた。

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2024/04/29

青山文平の出世作である。 ある武士の生き方、剣の道を通して、武士とは、そして人間とは何かを考えさせられる。 結末は、複雑なメソッドが絡み合ってファイナルに向かう。手の込んだ小説である。

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2024/04/25

254頁を薄いとみるか、厚いとみるか。 筆者作品は「妻をめとらば」から惚れ込んで読んできただけに、文体、内容、着地は文句ない。 が、しいて言えば人間性の書き込みがあっさりしすぎか。 松本清張賞という冠に疑問を抱いたが、次々と殺されて行く江戸の社会と舞台の中州で蠢く邪念疑念のウソ...

254頁を薄いとみるか、厚いとみるか。 筆者作品は「妻をめとらば」から惚れ込んで読んできただけに、文体、内容、着地は文句ない。 が、しいて言えば人間性の書き込みがあっさりしすぎか。 松本清張賞という冠に疑問を抱いたが、次々と殺されて行く江戸の社会と舞台の中州で蠢く邪念疑念のウソ寒さ・・若者を取り巻く息苦しさに加えて圧倒的な貧困と先の見えない人生の道程。 見方を変えれば種々の面白さが見えるだろうが、全く五里霧中の筋と捉える向きがいても驚かぬ・・終始流れる霧の様な。。 私はあえてそこをミステリーの醍醐味と思い、筆者ならではの語彙の美しさも楽しんだ。

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2024/01/28
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「やっと訪れた春に」がオモシロかった青山文平を追っかけてみようとデビュー作(別ペンネームでは既刊ありらしい)を読んでみた。 リズムに乗らず若干読みづらさもあるが、物語の構成は天才的。無差別辻切りの犯人捜しミステリーとしても、剣豪小説としても、青春友情譚としても、十分に読ませて熱量もあって、良くこのページ数できっちり治めたものだと思う。 登場人物の死亡フラグからの退場がとんでもない早さでとまどったが、なるほどジラさず進めることで物語のテンポを作る手法もあるんだなと。そのテンポは熱を帯びるし、解説曰くの「成長譚ではない」主人公の変化を読み取らせやすくしているんだなと、いやテクい上手い。 ただ、友人彼女知り合いの多くが死んでいく主人公の境遇は、さすがに可哀そう度が高すぎて、小説とはいえもうちょっと手加減したってよ…とは思った。

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2023/03/09
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出だしに長い竹刀を持った道場破りが出てきた。津本陽の書いた千葉周作に槍のように長い竹刀を使う大石種次に対し、樽の鍔がわりにして応じたという話が出てくるので、そういう種類の剣豪ものかと読み始めたが、なかなかに複雑なストーリーだった。青山文平の登場人物の描き方はいつも通り手が混んでいて、物語は二転三転し、謎解きも簡単ではなく、最後まではらはらしながら読み進むことができた。

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2021/12/25

ミステリー仕立てでなかなか面白かった。しかしヒロインも脇役も唐突にあっさり死に過ぎ。江戸の頃は箱崎のあたりに中洲なんてのがあったんだねえ。

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2021/03/02

内容(「BOOK」データベースより) いまならば斬れる! 人を斬ったことのない貧乏御家人が刀を抜く時、なにかが起きる――。 幕府開闢から180年余りが過ぎた天明の時代。江戸では、賄賂まみれだった田沼意次の時代から、清廉潔白な松平定信の時代に移り始めた頃。二本差しが大手を振って歩...

内容(「BOOK」データベースより) いまならば斬れる! 人を斬ったことのない貧乏御家人が刀を抜く時、なにかが起きる――。 幕府開闢から180年余りが過ぎた天明の時代。江戸では、賄賂まみれだった田沼意次の時代から、清廉潔白な松平定信の時代に移り始めた頃。二本差しが大手を振って歩けたのも今は昔。貧乏御家人の村上登は、小普請組の幼馴染とともに、竹刀剣法花盛りのご時勢柄に反し、いまだに木刀を使う古風な道場に通っている。他道場の助っ人で小金を稼いだり、道場仲間と希望のない鬱屈した無為の日々を過ごしていた。ある日、江戸市中で辻斬りが発生。江戸城内で田沼意知を切った一振りの名刀を手にしたことから、3人の運命は大きく動き始める。 令和3年2月26日~3月2日

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2020/03/21
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※このレビューにはネタバレを含みます

ミステリとしては素直。主人公の迷いも誠実で、重たい荷物を負うことにはなったが、読後感は重苦しくはない。

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2019/04/11

剣の道に生きることで未来を切り開いて行こうとする 幼馴染の貧乏御家人3人 その純粋さゆえに壊れてゆく。 1本の刀と出会ったことで転がりだす過酷な運命 青年たちの必死さと純粋さがヒリヒリとする1冊

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