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2017/05/14

著者は文藝春秋で、「司馬担当編集者」を30年も続けた名物編集者。 「週刊朝日」2006年から続く連載「週刊司馬遼太郎」のコラム「余談の余談」111回分を文庫化したもので、タイトル通り司馬遼太郎に纏わる肩の凝らない軽い読み物だが、書き手の和田氏の軽妙な文章がこれに拍車をかける。...

著者は文藝春秋で、「司馬担当編集者」を30年も続けた名物編集者。 「週刊朝日」2006年から続く連載「週刊司馬遼太郎」のコラム「余談の余談」111回分を文庫化したもので、タイトル通り司馬遼太郎に纏わる肩の凝らない軽い読み物だが、書き手の和田氏の軽妙な文章がこれに拍車をかける。 例を上げると、 「余談24・胡蝶の夢」から 江戸の地所は武家屋敷と寺社で85%を占め、残りに町人がひしめくから、多くは長屋住まい。10平方米ばかりでは土間にかまどを据えれば、あとはノミ・シラミの棲む六畳一間きり。便所は共同、風呂は銭湯。混浴だったが、残念なことに暗くてなにも見えない・・・(略)・・・夜は長いがすることがない。出歩こうにも町木戸が閉まっている。出たところで物騒で、治安といえば目明しの半七も平次も芝居では恰好いいが、実態はごろつきに近い。 (暫し閑話休題 以下私の感想) そういえば、明治の初めに来日したイザベラ・バードの「日本奥地紀行」(1887年)に「蚤の大群が襲来したために、私は携帯用の寝台に退却しなければならなかった」と書いてあったのを思い出した。 芭蕉の句にも皆さんご存知のように以下のものがある。 「蚤をふるいに起きる暁」 「蚤虱馬の尿する枕もと」 その日本が今や世界一清潔な国になっているのが不思議。 「余談25・胡蝶の夢」から 新入りに古株がちょっとした意地悪をする、というのは世界に類のない日本の文化である。と司馬さんはたびたび指摘した・・・(略)・・・古株の方だって気を付けねばならぬ。近頃では根に持たれて何をされるか分からない。いや、昨今に限らないか。ほんの意地悪のつもりが、相手が逆上して殿中で斬りつけてきたばかりか、その家来どもが47人も束になって首を取りにきたという例もあるから、ほどほどにしないといけません。 意地悪を通り越して編集者をいじめるのが趣味と評判の作家がいたが、司馬さんは真逆で人付き合いの達人。一座を愉快にすることに心を砕く人であった。そのためにこの人はまぎれもない天才であったが、周りにそれを意識させなかった。座持ちのいい天才などいたためしがあろうか。 等々・・・寝る前に読むのに是非お勧めの一冊です。

Posted byブクログ

2014/09/10

【あの名作にまつわる、面白いエピソード満載】もと司馬さん担当編集者が描く、名作に絡む歴史、国民作家の意外なエピソードと興味深い考察満載の歴史痛快エッセイ111編!

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