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軍隊を誘致せよ の商品レビュー

3.8

9件のお客様レビュー

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2023/10/30

戦前に多くの地方都市が行なった軍隊誘致運動や誘致が都市形成に与えた影響を、様々な事例から論じたもの。師団所在地の場合、それだけで人口が6,000人増えるのだそうだ。軍隊が、地方振興の有力手段として期待されていたことが分かる。

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2019/08/04

なるほどと思った。戦後教育を受けた我々は、軍部がひとり悪くて国民は、いやいや従っていたみたいな感覚を植え付けられてきたが、師団本部や連隊本部が来ると儲かるのである。 各自治体は、こぞって誘致した!儲かるから。 日本国を挙げて軍に協力したのである!儲かるから。 戦争は、日本国民全員...

なるほどと思った。戦後教育を受けた我々は、軍部がひとり悪くて国民は、いやいや従っていたみたいな感覚を植え付けられてきたが、師団本部や連隊本部が来ると儲かるのである。 各自治体は、こぞって誘致した!儲かるから。 日本国を挙げて軍に協力したのである!儲かるから。 戦争は、日本国民全員の責任!

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2018/11/23

考察や解釈を前面に出すよりも、各都市の事実を掘り起こし整理、並列することで、全体の見取り図を浮かび上がらせる研究。

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2018/03/04

大分県佐伯市に海軍の航空隊が誘致され、その隊舎がいよいよ稼働開始となった時、市民は三日三晩その開所の祝宴を続けたとのこと。 「軍隊は生産には寄与しないが、大量の消費を伴うので現地経済にとっては大きなメリットになる」という発想は今も同じような現象があるような気がする(大学の誘致とか...

大分県佐伯市に海軍の航空隊が誘致され、その隊舎がいよいよ稼働開始となった時、市民は三日三晩その開所の祝宴を続けたとのこと。 「軍隊は生産には寄与しないが、大量の消費を伴うので現地経済にとっては大きなメリットになる」という発想は今も同じような現象があるような気がする(大学の誘致とか)。 短期的な経済合理性を追求した結果、より大きな破綻を招く組織というのはよくある話。

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2015/10/29

なかなかおもしろい。 明治期の「軍隊誘致作戦」とそれが街に与えた影響について調べた本。 軍が来れば人が増える。人が増えれば経済的に潤う。軍のための鉄道や水道の整備で街のインフラ整備も進む。 極めてわかりやすい理由で「軍隊に来てほしい(できれば連隊よりも師団を!)」と手を挙げる街...

なかなかおもしろい。 明治期の「軍隊誘致作戦」とそれが街に与えた影響について調べた本。 軍が来れば人が増える。人が増えれば経済的に潤う。軍のための鉄道や水道の整備で街のインフラ整備も進む。 極めてわかりやすい理由で「軍隊に来てほしい(できれば連隊よりも師団を!)」と手を挙げる街。 軍施設を呼び寄せるためにそれぞれの街がどのような運動をしたのか、よくわかる。

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2018/10/19

151010 中央図書館 明治以降、地方都市の経済発展において、確実な資金投下と消費を行う「軍隊」師団の誘致は、重要なファクターであったことだろう。国家の装置は、現実の組織・インフラとして国土のどこかに設置されるのであるから、それが国土形成・発展の政策のタマとして使われるのは、現...

151010 中央図書館 明治以降、地方都市の経済発展において、確実な資金投下と消費を行う「軍隊」師団の誘致は、重要なファクターであったことだろう。国家の装置は、現実の組織・インフラとして国土のどこかに設置されるのであるから、それが国土形成・発展の政策のタマとして使われるのは、現代の新幹線や博物館も同じだ。

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2014/06/04

明治期における都市形成に軍隊が与えた影響を 陸軍側、都市側の双方から描く。 多様な事例を紹介しつつ、 特徴的な事例は詳細を解説しており、 誘致合戦に至っては狂想曲のような面白さも漂い とても興味深く読めた。 鉄道網や水道網などのインフラの形成についても 大変勉強になる。 著者の他...

明治期における都市形成に軍隊が与えた影響を 陸軍側、都市側の双方から描く。 多様な事例を紹介しつつ、 特徴的な事例は詳細を解説しており、 誘致合戦に至っては狂想曲のような面白さも漂い とても興味深く読めた。 鉄道網や水道網などのインフラの形成についても 大変勉強になる。 著者の他冊に関しても折に触れて手にしてみたい。

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2014/03/20

陸軍師団は、日清戦争までは6個、日清戦争後12個、日露戦争後18個、1920年台に4個削減、大正時代に2個朝鮮に配備。 歩兵連隊は1721人、これは3つの大隊、それぞれは4つの中隊、中隊は136人。 歩兵連隊2つが一個旅団を構成。 2個旅団と、騎兵大隊、砲兵大隊、工兵大隊、輜重...

陸軍師団は、日清戦争までは6個、日清戦争後12個、日露戦争後18個、1920年台に4個削減、大正時代に2個朝鮮に配備。 歩兵連隊は1721人、これは3つの大隊、それぞれは4つの中隊、中隊は136人。 歩兵連隊2つが一個旅団を構成。 2個旅団と、騎兵大隊、砲兵大隊、工兵大隊、輜重兵(しちょうへい)大隊で一個師団。司令部などを入れて9192人。 ただし、このうち一個旅団は、管内の別な地点に配置する。 そのほかに近衛師団も東京にあった。 大隊区(連隊区)は、徴兵事務を行う。 旧城郭から郊外へ。 経済効果がある。 旧城郭は払い下げ。まずは旧城主に。希望がなければ自治体に。さらに一般入札。 静岡、秋田など誘致活動。 鉄道のネットワークが求められた。 海沿いでないもの。奥羽本線など。 給養 金沢駅前はの平和町は軍隊駐屯地。 水道は軍用水道が先行した。 伝染病対策。 遊郭の設置。貸座敷と呼ばれた。 災害対策、争議対策などの軍隊の役割。 地震に備えて、横浜、神戸にも誘致論があった。 軍隊の跡地は、大学や学校に、旧城郭だったところは公園に。 日比谷練兵場は青山に移転して日比谷公園になった。

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2014/01/23

松下孝昭『軍隊を誘致せよ 陸海軍と都市形成』吉川弘文館、読了。近代国家の2つの骨格は官僚制と徴兵常備軍。前者が首都に集中するのに対し、後者は偏在する。本書は明治期において軍隊を誘致した経緯を概観し、軍隊と地域の都市形成を考察する好著。 http://www.yoshikawa-k...

松下孝昭『軍隊を誘致せよ 陸海軍と都市形成』吉川弘文館、読了。近代国家の2つの骨格は官僚制と徴兵常備軍。前者が首都に集中するのに対し、後者は偏在する。本書は明治期において軍隊を誘致した経緯を概観し、軍隊と地域の都市形成を考察する好著。 http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b128438.html 元々明治日本の軍隊(鎮台)は外洋戦を想定していない。ドイツ人軍事顧問メッケルの助力で鎮台から師団へ変貌する。軍が気にするのは移動(鉄道)の利便性と水の確保、加えて売春街の設置と健康維持。誘致による投下資本は都市隆盛へ連動する。 陸軍の師団規模は6千人。誘致に成功すれば人口が増え、インフラの整備が必然となる。日清日露の2つの戦争が加速させた。明治末期で全国では18師団が駐屯。通常、戦前、戦後の「分断」に私たちは注目しがちだが利権誘導の構造は変わらない。 師団設置は地政学的なものではないことには驚く。大正期の軍縮時代、軍事施設が都市計画の邪魔になったと指摘があるが、バーター利益誘導といういびつなカタチではない地域振興は、今も昔で喫緊の課題である。 私自身、11師団の設置された善通寺の出身だけど、戦後は自衛隊の根拠地へ。今なお増設こそ地域振興論は後を絶たない。17師団跡地は岡山大学へ吸収されるが、連続する負荷をどのように逓減させ、地域興隆を創造するのか。私たちの課題ですね。

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