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失われた名前 の商品レビュー

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22件のお客様レビュー

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2024/03/31

5才くらいから10才くらいまでサルと暮らし、その後人間社会に戻って家庭を持って幸せに暮らしている女性が娘と一緒に書いた本があると聞き、早速読んでみた。サルだったときに世界を、人間を、どう見て、どう感じてたのかが知りたかったのである。 最初の100ページはサル時代の話だ。5才の女...

5才くらいから10才くらいまでサルと暮らし、その後人間社会に戻って家庭を持って幸せに暮らしている女性が娘と一緒に書いた本があると聞き、早速読んでみた。サルだったときに世界を、人間を、どう見て、どう感じてたのかが知りたかったのである。 最初の100ページはサル時代の話だ。5才の女の子が誘拐されジャングルに捨てられ、サルに受け入れられてサルたちと暮らすのだ。その暮らしぶりは興味深い。しかし世界は言葉でできている。サルが見る世界も、人間の頭で理解してその言葉で読み物にしてしまうと、ごく普通の人間の見る世界と同じになってしまうのだ。まして当人のマリーナは50年以上前の記憶をほりおこしながら語る。それは仕方のないことだ。記憶は上書きされるものだ。人語も話せない子どもが人間のような感情と思考回路で理解し感じたかのように書かれている。当時の見方ではなく、後天的に脳内で解釈されてストーリーがつくられているように感じてしまった。つまりはリアルに思えない。 しかしマリーナの波乱万丈の人生はここから始まる。ハンターに捕まり、街の売春宿に連れて行かれる。そこを脱走して路上生活するストリートチルドレンへ。そこを抜け出しギャングの家へ。またそこから逃げ出し修道院へ。さらに脱出して、新しい家族と出会い、自分の名前を生まれて初めて自分で付ける。それがマリーナ、14才(くらい)の時。 ジャングルというのは危険も多いが、おおらかで恵みに溢れている。毎日働かないと生きていけない現代の人間社会がバカらしいほどだ。そして危険という意味でもジャングルのルールがわかればそれほど怖くない。しかし人間社会の人間は時に攻撃的で歪んだ人も多く怖い。100ページ以降でマリーナは嫌な思いを沢山する。彼女の理想はジャングルでのサルたちとの穏やかで温かい家族との生活なのだ。ジャングル育ちだから束縛を嫌うところはあるけれど、その暮らしが嫌なら脱走する。困難にぶつかっても逃げちゃいけないと根拠なく言いたがる現代社会とは違い、脱走して次のチャンスをつかむ積極的な若さとワイルドな逞しさは嬉しくなるくらい。そして逃げるだけじゃなく何より次のチャンスを自ら掴みに行くことが大事なのだ。 あとがきによると、続編も準備中らしいが、今の彼女は2人の娘と5人の孫がいてロンドンに住んでいる。波乱万丈の前半生だけで十分満足。

Posted byブクログ

2023/05/07

この間読んだ小川糸さんのエッセイに出てきたので、気になって読んでみた。 なんて辛いんだろう。 こんな事があるなんて。 何度もチャンスはあるのにその度に意図せず辛い環境に身を置く事になってしまう。 でも彼女の凄いところは絶対に絶望しなかったところだろうか。 その度に手を差し伸べてく...

この間読んだ小川糸さんのエッセイに出てきたので、気になって読んでみた。 なんて辛いんだろう。 こんな事があるなんて。 何度もチャンスはあるのにその度に意図せず辛い環境に身を置く事になってしまう。 でも彼女の凄いところは絶対に絶望しなかったところだろうか。 その度に手を差し伸べてくれる人がいたからだろうか。 本当に強い。 これが物語だったらと何度思っただろう。 それ位に衝撃的な本だった。 後編?があるのかな。調べてみよう。

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2023/04/09

感想 人間社会を外から眺める。外部の存在にどれだけ不寛容か知り愕然した。それでも諦めることなく自分の足で歩き続ける女性の凛とした姿。

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2021/04/07

サルに育てられた少女のノンフィクション。「これは本当にあった事?!」と都度都度驚くほど、壮大で信じられないような話の数々。 コロンビアの家の近くで誰かに攫われ、ジャングルに置き去りにされサルと共に育ち、その後人間界に戻り色々な場所を転々とするもひどい仕打ちばかり受け、そしてようや...

サルに育てられた少女のノンフィクション。「これは本当にあった事?!」と都度都度驚くほど、壮大で信じられないような話の数々。 コロンビアの家の近くで誰かに攫われ、ジャングルに置き去りにされサルと共に育ち、その後人間界に戻り色々な場所を転々とするもひどい仕打ちばかり受け、そしてようやく家族として大事にしてくれ人間らしく暮らせる場所を見つけるまで。 コロンビアの子供や人々を取り巻く想像を絶する状況や、人間の冷徹さ、サルの感情豊かで慈悲深い様、など読んでいて胸に迫ってくるものがあった。 これは、環境や野生動物などに対する人間の仕打ちに関して、「サルの視点」で書かれた物凄く貴重なものだと思う(少女はサルと共に日々暮らし、コミュニケーションしあい、愛情を感じ合っていたので「サルの視点」と言っていいと思う)。 自分と家族の危険も顧みず、人間界で彼女を救い出してくれたマルハはとても素晴らしい。あまりにもひどいことばかり起こる少女にも救いがあってよかった。 これは前編らしいので、後編も是非読んでみたいけどまだ出ていない模様。

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2020/01/09

​​​​​​小川糸さんの本に書いてあって、 感動した旨。 図書館にあったので、借りてみました。 子供の頃、親とはぐれて狼に育てられた、、、とか 猿に育てられた、、、とか。 今までも、何例もありますが、 この主人公マリーナは、 4〜5歳ごろ、子供を誘拐する組織に誘拐され、年齢...

​​​​​​小川糸さんの本に書いてあって、 感動した旨。 図書館にあったので、借りてみました。 子供の頃、親とはぐれて狼に育てられた、、、とか 猿に育てられた、、、とか。 今までも、何例もありますが、 この主人公マリーナは、 4〜5歳ごろ、子供を誘拐する組織に誘拐され、年齢なのかジャングルに置き去りにされた少女。 その彼女の娘が母親の物語を残さなければ、と決心し実際に現地まで赴き、取材を敢行し、作り上げたノンフィクション。 物語を読むとわかるのだが、ナキガオオマキザルの群に、付かず離れずして生き延びるが、ある日人間を垣間見て、人間の里に降りてゆくのだが。。。 これでもかというほど、彼女には暴力などの危機に晒され続けるのです。 人間と再び生活を始めるのが11〜2歳。 なので、人間社会に戻れた。 多くの例では、動物の社会に長くいすぎて、人間社会への対応ができなかった例がほとんどだ。 実に克明で、ジャングルの中の猿との生活の箇所は秀逸。機会があれば読んで欲しい1冊です。

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2019/10/13

森の中に捨てられ、普通なら死ぬところを何度も生き伸びた。 森から拾われて淫売宿に売られて逃げ、ストリートチルドレンからマフィアの家族に拾われて家政婦として働いた後逃げて、修道院へ逃げ、親切な元隣人に助けてもらい、生き延びた女性の話。 猿と家族のような生活を送り、動物や自然の生活を...

森の中に捨てられ、普通なら死ぬところを何度も生き伸びた。 森から拾われて淫売宿に売られて逃げ、ストリートチルドレンからマフィアの家族に拾われて家政婦として働いた後逃げて、修道院へ逃げ、親切な元隣人に助けてもらい、生き延びた女性の話。 猿と家族のような生活を送り、動物や自然の生活を愛していたが、人間である自覚が否応にも出てきてしまった。 森から森にいたままの方が幸せだったのか、と思うような出来事がたくさん起こる。 1950年代のコロンビアは犯罪、貧困、麻薬だらけ。 小説などではなく本当に猿に育てられた少女の話がすごく面白かった。オオカミに育てられたオオカミ少女の話は昔ガラスの仮面に出てきたが、原作についてノンフィクションなのか定かじゃない。 サルとして見た人間の生活がいかに奇妙に見えるか、確かにと思わせられる。

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2019/03/05

コロンビアでジャングルに捨てられ、サルに育てられた少女の 波乱万丈の物語。 映画化したら面白そうだ。

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2017/12/30

実話を元にしていながら、ライターさんが手を加えているので小説のような感覚で読める。ご本人の記憶が薄れてきているということなので、多少の脚色や想像はあるとしても、「事実は小説よりも奇なり」という言葉を思い浮かべざるを得ない。信じがたいことが次々起こる。特にジャングルでの生活は凄まじ...

実話を元にしていながら、ライターさんが手を加えているので小説のような感覚で読める。ご本人の記憶が薄れてきているということなので、多少の脚色や想像はあるとしても、「事実は小説よりも奇なり」という言葉を思い浮かべざるを得ない。信じがたいことが次々起こる。特にジャングルでの生活は凄まじい。年端もいかない少女が、孤独と恐怖の中で正気を保ったまま生き残るのは奇蹟に近い。私なら人と話せないこと、虫にたかられることだけで気が狂いそう。 ジャングルを脱出した後も、大人に裏切られたり助けられたり、波瀾万丈。せっかく職を得たレストランをすぐ辞めてストリートチルドレンに戻ってしまったのは納得しがたかったけど、幼い頃から社会と断絶され、毎日学校に通ったり宿題をしたりといった生活習慣が身についていなければ仕方ないことなのかもしれない。 ようやく安定した生活を得られそうなところで話は終わる。そこから結婚し、子どもに恵まれる幸せにどうやってたどり着いたのか。続きが出るようなことを後書きで言っていたので期待したい。

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2016/11/17

ジャングルに捨てられた子供。なにから始めるか。それは、食べること。 猿たちとの間でも意思疎通できるようになる。生きるということが秘める力、恐るべし!

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2016/01/28

幼い頃に誘拐されてジャングルに捨てられ、サルと共に暮らした少女。後に人間に拾われ、人間社会の中で暮らし始めますが、森で育った彼女にとって、「人間の生活」とは理解することすら難しいものでした。行く先々で何度も名前を変えられた彼女が「自分の名前」を得るまでの、ノンフィクションのお話で...

幼い頃に誘拐されてジャングルに捨てられ、サルと共に暮らした少女。後に人間に拾われ、人間社会の中で暮らし始めますが、森で育った彼女にとって、「人間の生活」とは理解することすら難しいものでした。行く先々で何度も名前を変えられた彼女が「自分の名前」を得るまでの、ノンフィクションのお話です。

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