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タックス・プランニングを理解する国際租税戦略の実務入門 の商品レビュー

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2016/10/28

国際的な租税回避行為を防止するための税制として主に移転価格税制、タックス・ヘイブン対策税制を解説。具体的な事例をもとに解説されており理解が進んだ。ただ内容的に手薄なので他の書籍で補完することをお勧めする。 P59 国外関連者の寄附金で更正処分された場合は、租税条約の相互協議の対象...

国際的な租税回避行為を防止するための税制として主に移転価格税制、タックス・ヘイブン対策税制を解説。具体的な事例をもとに解説されており理解が進んだ。ただ内容的に手薄なので他の書籍で補完することをお勧めする。 P59 国外関連者の寄附金で更正処分された場合は、租税条約の相互協議の対象とはならない可能性があります(たとえば、商船三井のケース)。そこで、納税者としては移転価格税制による課税か、国外関連者への寄附金による課税かで、大きく救済方法が異なるともいえますので注意が必要です。 P72 移転価格税制の特徴に加えて国家間の税金戦争と言われるように、相互協議までを視野に入れた場合には、独立企業間価格というものが科学的に確立されるものではなく、国家間の妥協の産物であるとも考えられます。そこで、移転価格税制において言われるのが、「移転価格は科学ではなく、芸術である」というものです。 P94 たとえば、日本親会社が人件費の安いベトナムに製造子会社を設け、その製品を日本の親会社を経由してアメリカへ販売していたとします(物流はベトナム子会社からアメリカに直送されていた)。このような場合は、ベトナム子会社は日本親会社の製造技術で製品を製造しており、日本の無形資産(技術)を利用していますので、その対価(使用料又は無形資産の譲渡代金)を支払う必要があります。ただ、移転価格税制上、日本親会社からベトナム子会社への技術指導(無形資産の移転)の対価は認識しなくてもよいとも考えられます。これは、もし当該対価を認識すれば日本親会社のベトナム子会社からの製品仕入価格がその分増加し、結局日本親会社の所得は当該対価を認識しない場合と同じになるとも考えられるからです。しかし、このベトナム子会社での製造が軌道に乗った段階で当該製品をベトナム子会社から日本親会社を通さずに直接アメリカに販売するように、このビジネスの取引形態を変更したとします。このような事業形態の変更があれば、日本親会社がベトナム子会社に移転した製造技術(無形資産)を認識して、その対価を回収しないとその分日本親会社からベトナム子会社に所得移転してしまいますので、移転価格の問題として無形資産取引の認識とその評価が必要とされる場合もあります。 P109 税務調査で課税対象外と考えていた外国子会社が合算課税の対象とされ、また、適用除外としていた外国子会社が適用除外基準を満たさない場合には、それらの外国子会社の所得をベースに内国法人が合算課税の更正処分を受けることになります。このような場合に企業グループとしては、当該外国子会社の所得に対して日本の税率と現地国の低税率の差額が追加課税になってしまいます。この場合に、内国法人に合算された所得は当該子会社からの回収は義務付けられていません(社外流出)。なお、内国法人とタックス・ヘイブン子会社との取引が移転価格税制で是正の対象となった場合には、まず当該取引を独立企業間価格に修正し、その後タックス・ヘイブン対策税制を適用することになります(措令39の15①)。

Posted byブクログ