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箱館奉行所始末 の商品レビュー

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2018/07/26

 幕末、元治・慶応年間の箱館(函館)を舞台とするミステリ時代小説。切れ者の奉行(実在の小出秀実)の下、昼行灯の旗本役人が外国人居留地に絡む事件を次々と解決していくという通俗的内容(テレビ時代劇みたいな)だが、基本的に「異人」が「わるもの」という単純な構図は、排外的ヘイトスピーチ・...

 幕末、元治・慶応年間の箱館(函館)を舞台とするミステリ時代小説。切れ者の奉行(実在の小出秀実)の下、昼行灯の旗本役人が外国人居留地に絡む事件を次々と解決していくという通俗的内容(テレビ時代劇みたいな)だが、基本的に「異人」が「わるもの」という単純な構図は、排外的ヘイトスピーチ・ヘイトクライムが幅を利かす現在の時勢に迎合しているようで、決して愉快ではない(「肉食」の「異人」は日本人と根本的に異なるという差別言辞さえある)。なお、作中でしばしば「七飯村」(現在の七飯町)が登場するが、「七重」と「飯田」が合併して「七飯」となるのは明治も10年以上過ぎてからで、幕末の時点ではまだ存在しない。地元育ちの過信による不勉強であろう。

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2014/08/01

森真沙子さんの日本橋物語シリーズで、蜻蛉屋女将お瑛さんも良かったけど、今回の、函館を中心とする物語の支倉幸四郎も、とても面白い。 小出大和守秀実奉行の采配も素晴らしい。 5話からなる話で、最後の「盗まれた人骨」は、アイヌの墓荒らしに、英国領事館との丁々発止のやり取りをする所、日...

森真沙子さんの日本橋物語シリーズで、蜻蛉屋女将お瑛さんも良かったけど、今回の、函館を中心とする物語の支倉幸四郎も、とても面白い。 小出大和守秀実奉行の采配も素晴らしい。 5話からなる話で、最後の「盗まれた人骨」は、アイヌの墓荒らしに、英国領事館との丁々発止のやり取りをする所、日本人の小出奉行も負けていないで、次から次へと、せめて行くところが良い。 新島敬幹が、本当の名前で、箱館から、アメリカに密航して、襄と、名前を変えたのも知らなかった。 同志社大の創立者として、妻の八重を主人公として、朝のドラマで、放映していたけど、、、 この時代を、駆け抜けた人達は、凄く勉強もしたことだろうと思う。 今のようにすぐに検索できる状態でなく、物事を、見て確かめるのに、どんなに時間を費やして、調べたのだろうと、感心する。 又、箱館奉行所は、ロシア語、英語、堪能でないと、いけないのに、実践で、覚えたのだろうか? いやはや、少し前の日本の話なのに、不思議な感覚である。 この奉行所の最後の杉浦兵庫頭まで、物語は、続くのであろうか? 今までにない、時代小説のように思われる。

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2014/05/11

幕末の函館を舞台とした時代小説。 当時、異人たちが闊歩する箱館で日本人のプライドを胸に熱く持ちながら働く箱館奉行所の人々を描いたもの。 若くして箱館奉行に抜擢された小出秀実は実在する人物であり、当時の幕臣が外国領事と丁々発止で交渉している姿を史実として知ることも意義がある。 (薩...

幕末の函館を舞台とした時代小説。 当時、異人たちが闊歩する箱館で日本人のプライドを胸に熱く持ちながら働く箱館奉行所の人々を描いたもの。 若くして箱館奉行に抜擢された小出秀実は実在する人物であり、当時の幕臣が外国領事と丁々発止で交渉している姿を史実として知ることも意義がある。 (薩長史観として余り脚光が浴びない部分であるので) 小出秀実は明治に入り直ぐに逝去したが、明治新政府にもその精神は引き継がれているように思える。 筆者が函館出身であり、当時の函館の様子が詳細に描かれている。私自身、登場する場所、地名に馴染みがあり、リアリズムを愉しめた。

Posted byブクログ