バリア★ブレイク の商品レビュー
暴れたら大変なことになってしまう自閉症の翔矢。今や立派な大人。しかも筋骨隆々。初めての歯科医院でちゃんと適応できるのか。診察台に辿り着くことさえ危ぶまれたが、歯医者さんをはじめとして皆が劇団員となって取り組むことで果敢な挑戦は無事終わる。障がいのある子供を普通の小学校に通わせるた...
暴れたら大変なことになってしまう自閉症の翔矢。今や立派な大人。しかも筋骨隆々。初めての歯科医院でちゃんと適応できるのか。診察台に辿り着くことさえ危ぶまれたが、歯医者さんをはじめとして皆が劇団員となって取り組むことで果敢な挑戦は無事終わる。障がいのある子供を普通の小学校に通わせるために始まった教育委員会とのバトル。著者の進む道は常に挑戦。挑戦の連続であった。披荊斬棘の道ではあるが、挑戦は必ず変化をもたらしている。行動しなければ何も変わらない。改めて銘肝させられた。 「傷つきやすく、傷つけやすい。これは人のためになっているのか、他人を大切にするというのはどういうことなのか、子供が障がいを持って生まれてきたことは、生きていくための芯なのか、軸なのか、重石なのか、羽根なのか、答えは見つからないけど、間違いなく言えることは真っ暗闇が少しは明るくなったこと。」著者の言葉が心にしっとり沁みこんだ。
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『We』161号(売り切れ)で登場した、富山の宮袋季美さんの本。161号の特集タイトルは、宮袋さんがやってる「ふらっと」の活動理念「大いばりでいこう!」を使わせてもらった。宮袋さんのド金髪は、自閉症の息子がすぐわかるように。 富山型デイサービスといえば、「このゆびとーまれ」の...
『We』161号(売り切れ)で登場した、富山の宮袋季美さんの本。161号の特集タイトルは、宮袋さんがやってる「ふらっと」の活動理念「大いばりでいこう!」を使わせてもらった。宮袋さんのド金髪は、自閉症の息子がすぐわかるように。 富山型デイサービスといえば、「このゆびとーまれ」の惣万佳代子さんの本や、「にぎやか」の阪井由佳子さんの本は、もうだーいぶ前にいろいろと読んだことがあるが、ここに「ふらっと」の宮袋さんの本が加わって、"三大魔女"の本が揃った。 バリアフリーならぬ「バリア★ブレイク」を掲げ、サブタイトルのとおり"障がい者福祉の常識をブチ壊す金髪魔女"のことが縷々書かれている。 第3章「就学バトルの一部始終」は、息子が地元の学校へ行けるか養護学校へやられてしまうかの瀬戸際で、教育委員会やらとバトルした経験が書かれている。もうこんな古い話は、本に入れんでもええやろと思っていたら、どっこい、まだ今も、"障害がある"というと地元ではなくてトクベツ支援学校へと勝手にやられてしまうケースが少なからずあって、この経験も参考になるかもしれんということで、本に入った。"地域で生きる"をやってきた豊中のお母さんたちのこともちらっと出てくる。 ▼私は正直な気持ちをブチまけるのが精いっぱいだった。 県外施設研修で出会った大阪府豊中市の障がい児のお母さんたちの魂が乗り移ったように、私は、発達がなんだ、訓練がなんだとしゃべくり倒した。 「障がいが治らないのは百も承知です。それとも養護学校に行けば、治るとでもいうんですか? 近所の子どもたちといっしょに、同じ学校に行きたいというのは、そんなにおかしいことですか? 彼の一生の中で地域の仲間と接する機会は、地元の学校に通うときぐらいじゃないですか?」(p.76) そして、"居場所"だとか"地域がどうの"とか何とかいうのが、マジックワードのように思えたりもする私には、「居場所というなら来る人を選り好みするな」「扉はいつも開けて置かないとダメ」というのが、ぐっと印象に残った。 ▼私は「居場所」という言葉が好きじゃない。かゆくなる。私は「溜まり場」という表現が好き。クサい物や汚いものを寄せ付けてしまう力が「溜まり場」にはあると思う。… 本当に居場所なら、「あんたたち気を使わんで来られ」といって欲しい。だけど、実際はそうじゃないところが多いから。…人を選り好みするなら「居場所、居場所」と主張するなといいたい。 私の言葉でいえば「溜まり場」だ。… …「溜まり場」はもっとクサいところ、汚いところ。生きるってそういうことだ。そして扉はいつも開けて置かないとダメ。閉めるとそこにいる人だけの世界になる。新しい人が入って来ないと空気がよどむ。(pp.238-240) 「新しい人が入って来ないと空気がよどむ」、まさにそう思う。動く、入れかわる、出入りする、そういうのが必要だと思える。 (1/5了)
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