役人の生理学 の商品レビュー
役人とはいうものの、今日組織からお金をもらって働いている多くの人が、こんな人いるいる、と共感できるとともに、クスッと笑える内容となっている。
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141101 中央図書館 19世紀前半のパリの役人たち・・のカリカチュアを、大文豪バルザックが描くのだから、面白くないわけがないが、特に重要な洞察や機知が含まれているということでもない。 組織の中で生きるヒトというのは、今もかわらないということを納得するには、最高のガイドブックか...
141101 中央図書館 19世紀前半のパリの役人たち・・のカリカチュアを、大文豪バルザックが描くのだから、面白くないわけがないが、特に重要な洞察や機知が含まれているということでもない。 組織の中で生きるヒトというのは、今もかわらないということを納得するには、最高のガイドブックか。
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オノレ・ド・バルザックのシニカルに満ちた役人論エッセイです。王政から民主政への過渡期の時代において、必然的に導入されることになった官僚制について、いち早くその本質を見極め、滑稽に描写したものになっています。 訳者の鹿島茂の指摘通り、官僚機構が非効率で無駄が多い理由として、バルザッ...
オノレ・ド・バルザックのシニカルに満ちた役人論エッセイです。王政から民主政への過渡期の時代において、必然的に導入されることになった官僚制について、いち早くその本質を見極め、滑稽に描写したものになっています。 訳者の鹿島茂の指摘通り、官僚機構が非効率で無駄が多い理由として、バルザックは間接選挙で支配者が決まる民主国家そのものの構造にあるとしていて、「賞罰を心得た君主に仕える」のではなく、民主国家に仕えるということは、「すべての人びと」が主人である国家に仕えるということであり、それは「『だれにも』仕えないというに等しい」のであって、報酬と名誉が満たされない以上、だれだって真面目に働こうという気持ちにはならない、としていてその草創期において早くも卓見な見解をしめすに至っています。 内容としては一般大衆向けに役人の「生態」をこれでもかと笑い飛ばす軽い読み物なので、少し可哀そうなところもあるのですが、こうした本質をつく鋭い洞察力により今日でも活きている部分があるのと同時に、鹿島茂によれば現代ではサラリーマン社会全体に適用されるものだということで、そう言われてみれば身に滲みる部分もかなりあるなあという気にもなってきました。(笑)そういう意味ではむしろ併録のモーパッサンの『役人』の方がより身に滲みたかな。(笑) キャッチコピーのいう「抱腹絶倒のスーパー・エッセイ」といわれると、さすがに現代にはマッチしない部分や当時のフランス社会を風刺している部分などはわからないので、そこまで抱腹はできませんでしたが(笑)、バルザックの鋭い観察眼に接するだけでも楽しめたかなと思います。 その他の併録としては、バルザックの小説『役人』の概要と、フローベルの『博物学の一講義・書記属』で、フローベルの方はバルザックに負けじとシニカルな文章です。 『役人の生理学』の「退職者」の章では、ああ早く定年にならないかなあと待っているという話でしたが、自分も図星をつかれたようで、これまた「公理」ですね。(笑)
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フランス七月王政期あたり、フランスが近代国家の形を成しはじめた頃の、役人の生態を描くエッセイ。付録にバルザックの小説抄訳とフロベール・モーパッサンのエッセイがついている。それらの時代背景等については、巻末の訳者解説223頁~229頁に実にうまくまとめられている。現代のサラリーマン...
フランス七月王政期あたり、フランスが近代国家の形を成しはじめた頃の、役人の生態を描くエッセイ。付録にバルザックの小説抄訳とフロベール・モーパッサンのエッセイがついている。それらの時代背景等については、巻末の訳者解説223頁~229頁に実にうまくまとめられている。現代のサラリーマン的な生活様式が、たしかに200年近く前に生まれたことが、同時代を生きた筆者たちの筆により確認できる。月並みだが、本当に今の役人・サラリーマンと変わらないと思った。またバルザックの抄訳小説では、「小さな政府」論が展開されており、そうした論が近代的な政府の成立とほぼ同時に生まれていたことに驚きもした。
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