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流氷の世界 の商品レビュー

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2022/07/24

あまりに暑いので、読む本くらいは涼しいのを、というつもりで手に取ったら(表紙アザラシの子どもだし)、これがガチの科学書、というか教科書だった。素人相手の啓蒙書ではなく、数式が手加減なしにバンバン出てくる。流氷に数式?と思うかもしれないが(ぼくも思った)、観測対象を眺めて「おー、来...

あまりに暑いので、読む本くらいは涼しいのを、というつもりで手に取ったら(表紙アザラシの子どもだし)、これがガチの科学書、というか教科書だった。素人相手の啓蒙書ではなく、数式が手加減なしにバンバン出てくる。流氷に数式?と思うかもしれないが(ぼくも思った)、観測対象を眺めて「おー、来た来た」「こりゃ大きいな」とか言っているうちは科学ではない。現象をモデル化して、可能なら数式で表現し、そのモデル化が正しいのかどうか観測や実験で確かめ、確立したモデルや理論を対応や予測に役立てる、というのが研究者、科学者の仕事なんだな。そういう執念のようなものを感じた。 流氷の研究者が日本に何人いるのか知らないが、学生時代にこういう本を読んだうちの何人かが、やがて著者のあとを継いでいくのかもしれない。もしそうなったら、本書の刊行前に亡くなったという著者も本望だろう。

Posted byブクログ