おためし艶妻 の商品レビュー

庵乃音人(著者)

庵乃音人的寝取り寝取られ物語

[ＤＳＫ]

久し振りにＮＴＲだョ！全員集合な作品ではなかろうか。２０歳の幼妻が中年オヤジ２人に上と下の口を塞がれ、最後には見たこともない恍惚な表情を夫に見せつけ、聞いたこともない叫びのような喘ぎを夫に聞かせる場面ががっつり出てくる。代わりに寝取りもあるのでこの夫たる主人公も結果的に同じ穴のムジナなのだが、こうした寝取り・寝取られの未知なる興奮に抗えなくなった男女の物語である。

【美貴】　かつての学園のアイドルながら卒業直後に主人公（教師）と結婚して今は２０歳の可憐で健気な幼妻。
【緒里枝】普段は規律を重んじる厳格な先輩人妻教師３４歳。クールな美貌とプロポーションで職場の高嶺の花。
【真優子】副理事長の妻で織里枝をも上回る学園の高嶺の花。麗しさの中に穏やかな優しさを兼ね備えた３８歳。

まず舞台を学校にしている点がニクい。これにより元生徒・教師・理事長（の妻）といった関係性を用いた人間模様を盛り込みつつ、男共が企む姦計へのアプローチが容易になっている。先述の『オヤジ２人』とは織里枝の夫（同僚教師）と真優子の夫（副理事長）なのだが、この２人が揃いも揃って在学中の美貴のファンだったという設定には「なるほど」と唸ってしまった。職場の上下関係もチラつかせつつ、織里枝と真優子を抱かせてやるから美貴を抱かせてくれと申し出るダメ男達である。しかも、「妻を抱いているところを見させてくれ」との条件を漏れなく付けるようなダメ過ぎる男達でもある。こうした形で巻き込まれていく主人公にも織里枝への憧れや、真優子への秘めた想いがあったために断り切れない部分もあって、やはり同類だったと言わねばなるまい。

序盤から中盤までで先に良い思いをした主人公が中盤以降で逆の立場となり、オヤジ２人ほどこの興奮を享楽に転化できなかったがために破滅の悲劇にも至る第六章（全８章立て）までは、未知の世界、未知の興奮を知ってしまった主人公の無軌道な猛進と、その見返りと、捨て鉢になってからのダメ押しといった形で、ハードではないながらも基本としては凌辱的な重さを湛えて進んでいく。落ちるところまで落ちた主人公を見るに自業自得とはいえ切なさも漂うが、最後の最後に人としての筋だけは通したおかげで訪れる第七章からの展開には何とも言えない色合いの風が吹き込んでくるようである。ここまでに懺悔とも言える時間を要して己の悔恨と心の移り変わりとその熟成を示しているのは秀逸であり、実はヒロイン達も小悪魔的「同じ穴のムジナ」なのである。

寝取り・寝取られの淫靡な官能を描く中で、冒頭の美貴との戯れから見た夢に始まり、ここで恥じらう美貴のその後の変化、そして織里枝の「本当の姿」から真優子へのアプローチとその後の顛末に至るまで、つまり、あるきっかけが次への伏線となり、それによってまた次の展開が訪れるという繋がりが最初から最後まで澱みなく繋がっている構成には舌を巻く。