ソムニジンの夢 の商品レビュー

七星哲(著者)

2014/03/23

がつんと、心と体に響いた物語でした。
読んでいる途中、体に反応が出てしまうくらいの衝撃でした。

アルコール依存性の患者さんたちを取り巻く精神科医療の物語で、「依存症」に陥った心と体の動き、「薬」がもたらす心と体の反応、そして医療スタッフの言動に、読みながら体がだんだん冷たくなってきました。

誰がいいとか、悪いとかではなくて、それぞれにそう考えるようになった経緯があり、表面に見えるものごとだけではうかがい知ることはできないことがあるのだということを、がつんと突きつけられて、心の闇を、そして光を見た思いでした。

現在の精神科医療は、この時とは全く異なっているだろうけれど、強く意識し続けていないと守れないものもあるのだろうなと、思いました。

学生さんや新人さんのエピソードに希望を感じたので、私も臨床現場は違いますが、「場」に慣れ過ぎないように、状況に流されないように、しっかりと自分を持って向き合っていきたいと思います。