東京五輪1964 の商品レビュー
【さまざまな立場から経験した祝祭を描く】聖火ランナー、金メダリストから、初の衛星放送に挑んだNHKのスタッフ、選手村でヘーシンクの髪を刈った理容師までを訪ね歩いた。
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1964年の東京五輪、15日間を、様々な人物にフォーカスしながら描いていく一冊。金メダリストもいれば、選手村で理容師として働いた女性、陸上競技のスターターなど、裏側の面からも描いているのが面白い。基本的に「存命の方に話を伺う」というスタンスがあるからかもしれないけれど、必ずしも、当時注目されていた競技だけではないところも、そこにこそあの東京五輪の雰囲気がかもし出されているんじゃないかと思うのでした。バレーボールも、東洋の魔女と言われた女子チームではなく、男子を追いかけたり、マラソンも銅メダルをとった円谷ではなく(彼が亡くなっていることもあるけれど)寺澤徹選手に話を聞いていたり。 それにしても、あの時代の、あのオリンピックは、本当に特別だったんだ。日本の行事だったんだ、ということがしみじみと伝わってきます。メダルを期待された選手も、それぞれの役割を持った人も、競技や出番が終わった時に何よりもほっとしたと語っていることが印象的。金メダルを獲得した選手すら、嬉しいよりも安堵が先に立つ。期待された重圧というのはあるのだろうけれど、それがもう今以上のモノだったんだろうなと。 7年後のオリンピック、確かに楽しみなのだけれども、あの時ほどの“特別”にはならないだろうという確信と、残念さと、それを日本が成熟した証として、オリンピックをいいものにしたいと、自分を含めて期待を込めてみるのでした。
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選手達の心の動き、心情の描写が繊細で、飽きることなく読めました。男子バレーが銅メダルを取ったことはこの本で初めて知りました。それにしても、人気種目に報道が偏るのは、昔も今も変わらないなあ。
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