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幸せの残像 の商品レビュー

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2件のお客様レビュー

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2019/03/05

イランの女性、とひとくくりにすることの危険性は承知しているが、人生を通じて彼女たちが何と何のために闘ってきたのか、その様子が目をそむけたくなるほどストレートに描かれている。自分の家族、兄弟、そして、自分を取り巻く社会、体制。その関係の中で自らの権利を無視され続ける主人公。日本語版...

イランの女性、とひとくくりにすることの危険性は承知しているが、人生を通じて彼女たちが何と何のために闘ってきたのか、その様子が目をそむけたくなるほどストレートに描かれている。自分の家族、兄弟、そして、自分を取り巻く社会、体制。その関係の中で自らの権利を無視され続ける主人公。日本語版は550頁以上の大作だが、一気に読み切ることができた。 現体制批判ともとれる描写もあり、イランで発行禁止処分を受けるのもうなずける。 内容、装丁ともに申し分ないだけに、註及び固有名詞の日本語表記のクオリティーが低いことが非常にもったいない。回りのイラン専門家に確認を依頼すればたちどころに解決できることばかりなのに。例えば文中に「コルデスターン」とある単語の註は、イランの州名としてのコルデスターンの説明と、そこからクルド問題の説明が混在している。両者はもちろん関係があるものの、別の事象である。 2013年に初版が発行されてから増刷はされていない模様だが、とても読みごたえがある内容だけに、仮に増刷される場合は、ぜひ上記問題を解決して発行してほしい。 なお、原題の"sahme man"を直訳すれば、「私の取り分/権利」といったところになる。訳者がそのあとがきで記したとおり、日本語版は出版社の中で議論がなされたのち、「幸せの残像」となっている。日本語のタイトルでも内容を表していると思われるが、原題を生かす方向の方が、女性たちの心の叫びをより直接的に表すことができる気がする。

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2018/11/01

1950年代からイスラム革命を経て現代に至るまで、イランで生きる一人の女性の半生を描いた小説。当時のイラン国内の様子がどんなものだったのかが臨場感を持って描かれている。それだけでなく、普遍的なテーマも随所に見られ、読むたびに違った感想を抱かせてくれる作品。

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