アイアンマン:ホーンテッド の商品レビュー
いわゆるヒーローコミック離れして、本格派犯罪スリラーの文脈でアイアンマンを描いた力作。シリアスで重いラ・トーレの画の下、トニーの手持ちのカードで何とかする苦闘がリアルで逆転劇が痛快。巻末のアニュアルは一転肩の力が抜けた娯楽作で後味もいい。
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S.H.I.E.L.D.の指揮官に就任した後のアイアンマン個人誌の初邦訳。あらすじもタイトルも「HAUNTED(呪われた)」という点を前面に押し出しているものの、本作の本質はそういう部分ではない気がする。事実、あらすじで「謎」と語られているその要素は中盤簡単に説明されてしまう。 ...
S.H.I.E.L.D.の指揮官に就任した後のアイアンマン個人誌の初邦訳。あらすじもタイトルも「HAUNTED(呪われた)」という点を前面に押し出しているものの、本作の本質はそういう部分ではない気がする。事実、あらすじで「謎」と語られているその要素は中盤簡単に説明されてしまう。 本作の魅力は、「シビル・ウォー」以来、体制側の責任を負い冷酷なまでに自分の信じる正義を推し進めてきた「アイアンマン=トニー・スターク」の「一人のヒーロー」としての姿を描きなおす、という点だろう。 作中のトニーは『エクストリミス』で得た特有の能力を一時的に失ってしまう。『エクストリミス』において、「アーマーがあればだれでもアイアンマンなのではない、トニーこそがアイアンマンである」という点を描くきっかけとなったエクストリミス自体を封じることになるのだ。このことによって、「エクストリミスがなければトニーはまた『代替可能』なのか?」という問い直しを図っているのだ。 さらには、「シビル・ウォー」以来立っていた体制側が「HAUNTED(呪われた)」という要素を活かしてトニーの障害に様変わりするギミックまである。おかげで読者は余計なしがらみにとらわれず、むしろそこに反抗して宿敵と戦うトニー・スタークを見ることができるのだ。 アベンジャーズのストーリーラインでアイアンマンに不満を持ったすべての人に読んでほしい一冊だ。宿敵であるヴィランとの対決を通して、単純に魅力的なヒーローを見ることができるだろう。 なお、同時に掲載されているANNUALでS.H.I.E.L.D.指揮官らしい魅力を出しているのもポイントだ。部下の美女たちを連れながら、指揮官らしく活躍するトニーはこれはこれでトニーらしい。
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