地図で読み解く日本の戦争 の商品レビュー
タイトルから、戦国時代あたりの各戦場の陣容を地形図から考察する本かと思ったら、明治以降の日本軍で地図がどのように運用されたかを紹介する本だった。 所轄部署名から将官の名前から印刷された地図の枚数まで。詳細が記されているのは驚くべきことだが、考察はわずか。 過去日本軍において、...
タイトルから、戦国時代あたりの各戦場の陣容を地形図から考察する本かと思ったら、明治以降の日本軍で地図がどのように運用されたかを紹介する本だった。 所轄部署名から将官の名前から印刷された地図の枚数まで。詳細が記されているのは驚くべきことだが、考察はわずか。 過去日本軍において、地図の重要さが認識されていなかったり、うまいこと鹵獲できたこともあったり、測量に苦労したり、米国との圧倒的な差だったり。 『読む』分には事実は事実として受け止められるが、『読み解く』ほどの学びが得られるかというと、難しい。 もちろんこういった事実こそを求める人もいるだろうし、資料として十分に用立てることも可能だろうから、単に自分にそれだけの素養がなかったというだけのこと。 しかし、この本を楽しめるようになるまでには、長い道のりがありそうだ。
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地図もまた情報の一部であることから日本軍では軽視されていたことが分かった。 戦争が始まってから測量を始めたり、敵地で鹵獲した他国製の地図から翻訳・改縮して地図を作る泥縄。 日清戦争以降、戦地での測量が優先されたため国内の測量が後回しにされた。 平時に他国(仮想敵国)で秘密裏に行なう測量や、戦時に戦地で行なう測量では犠牲者が多かった。 米国は空撮したフィルムをもとに硫黄島や、関東平野の模型を作った。硫黄島の模型は作戦指揮に利用された。関東平野の模型上では、映画の特撮さながらにカメラで空爆コース上を撮影し、そのフィルムが実際の爆撃機搭乗員の教育に利用されたという。スケールがまったく違う。 やはり、日本は戦争なんて出来ない国だったのだと思わざるを得ない。
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日本近現代における地図の作成史と戦争との関わりを綴った大変興味深い本。第二次世界大戦集結まで400人ほどの殉職者を出した日本の地図製作の歴史をひもとくことは戦争史を語ることにもなった。
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