近代以前 の商品レビュー
日本の文学は慶長五年(1600年)を境にして30年から60年間完全に空白であった。 日本文化を中国文化の外縁に位置する一つの変種としてとらえようとする欧米や中国の学者の思潮の中で、日本語という言語に由来する日本独特の文学の存在をみる。記・紀・万葉集以来の日本文学の背後にはある特性...
日本の文学は慶長五年(1600年)を境にして30年から60年間完全に空白であった。 日本文化を中国文化の外縁に位置する一つの変種としてとらえようとする欧米や中国の学者の思潮の中で、日本語という言語に由来する日本独特の文学の存在をみる。記・紀・万葉集以来の日本文学の背後にはある特性がひそんでいる。 藤原惺窩による
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江藤淳 「 近代以前 」 江戸文学史の本。儒学(藤原惺窩、林羅山)→近松門左衛門→井原西鶴→上田秋成 の流れから 江戸文学を2系列に分けて 整理 日本文学の特性 *記紀、万葉の日本文学の背後にある特性=日本語との結びつき *おろかに未練なるもの=日本の物語の女性的、情緒的性格...
江藤淳 「 近代以前 」 江戸文学史の本。儒学(藤原惺窩、林羅山)→近松門左衛門→井原西鶴→上田秋成 の流れから 江戸文学を2系列に分けて 整理 日本文学の特性 *記紀、万葉の日本文学の背後にある特性=日本語との結びつき *おろかに未練なるもの=日本の物語の女性的、情緒的性格→日本語という柔軟で 強靭な言葉に内在する発語のリズム 藤原惺窩(せいか) *仏教から儒学への転向者 *歌学から儒学へ、現実の外から現実への 価値転換 *人を損じることなく生きるのは いかに難しいか *利を求める人間本年の欲望を直視する→その上で 利を共にすることが可能だと信じる=理を信じる 朱子学と陸学の違い *朱子学=理を性に存するものとみる→人間の心の本体を性として、その作用を情とみる *陸学=理を心そのものにみる *朱子学は 万物すべて=形の上にある理+物の形である気 近松門左衛門と井原西鶴の比較がとても面白い 近松門左衛門 *隠者の視線〜隠者に身を落として 積極的に秩序から離脱 *傾城反魂香は 土俗に裏付けられた文学 *国性爺合戦〜国家意識の高揚→儒、仏、神の範疇にぞくさないものは畜生という秩序感覚 *熊野=宗教敵彼岸性→記紀の常世 *人間の内部に食い入っていく関心→リアリズム *古典主義的秩序を引き受けることによる 人間のロマン的破滅の美しさ 井原西鶴 *意図的な浅薄さ→人間への無関心 *西鶴の文体の空虚さ→儒学的秩序の破壊→解放力 *自己中心的な解放衝動
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【日本文学の源を探る】日本文学の特性とは何か? 藤原惺窩、近松門左衛門、井原西鶴、上田秋成などの江戸文藝を丹念に読み、その問いに答える。初文庫化。
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江戸時代の思想と文学について、詳細な資料を元に考察がなされています。 仏教を離れ、大陸の新たな思想を取り入れながら社会体制を変えるまでに至った儒学者たち。 浄瑠璃や小説に各々の理想を投影していった文芸家たち。 この本で紹介されているのは、日本史や国語の授業で名前を覚えさせ...
江戸時代の思想と文学について、詳細な資料を元に考察がなされています。 仏教を離れ、大陸の新たな思想を取り入れながら社会体制を変えるまでに至った儒学者たち。 浄瑠璃や小説に各々の理想を投影していった文芸家たち。 この本で紹介されているのは、日本史や国語の授業で名前を覚えさせられるような、「知らない人はいない」レベルの人達です。ですが、はたしてここまで詳細に、彼らの心の奥底にまで肉薄するような解釈がなされている教科書があるでしょうか? とにかく手に取って読んでみるのが一番です。日本文学史の、より一層ディープな世界に誘われること請け合いです。
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