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ジェイン・エア(上) の商品レビュー

4.4

11件のお客様レビュー

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2023/12/04

表紙絵は本作のために書かれたものではなく、ヴィクトリア朝時代の画家の作品らしいが、本編のエピソードによく合っていると思う。物語の本筋は現代ではよく見るものだが、ここに源流があると考えると、当時はだいぶセンセーショナルだったのだろう。人物描写が細かく、冷静な語り口。飽きずに先へ先へ...

表紙絵は本作のために書かれたものではなく、ヴィクトリア朝時代の画家の作品らしいが、本編のエピソードによく合っていると思う。物語の本筋は現代ではよく見るものだが、ここに源流があると考えると、当時はだいぶセンセーショナルだったのだろう。人物描写が細かく、冷静な語り口。飽きずに先へ先へと読み進められる。

Posted byブクログ

2023/09/26

 ジェインは孤児。母方の叔父に引き取られたが、叔父は亡くなり、伯母と従姉妹たちにまるで「キャンディ・キャンディ」のようにいじめられる辛い日々。唯一の味方は女中のベッシーと体調が悪い時に来てくれた薬剤師さん。  薬剤師さんの薦めもあって、叔母はジェインを「厄介払い」のために学校に入...

 ジェインは孤児。母方の叔父に引き取られたが、叔父は亡くなり、伯母と従姉妹たちにまるで「キャンディ・キャンディ」のようにいじめられる辛い日々。唯一の味方は女中のベッシーと体調が悪い時に来てくれた薬剤師さん。  薬剤師さんの薦めもあって、叔母はジェインを「厄介払い」のために学校に入れる。  その学校というのは、孤児院で、「贅沢はさせるべきでない」という尊大な経営者のために、食事は食べられないほど不味いものが僅かだけ出されたり、天然パーマの子が「忌まわしい巻き毛」と言われたり、ジェインの叔母から「ジェインはどうしようもない嘘つき」と吹き込まれたことを皆の前で公表されたりという酷いところだった。  しかし、そんな中で、テンプル先生という美しく優しく聡明な校長先生やヘレンという崇高な精神を持った友人との出会いがあり、ジェインは心を強く持って、勉強に励み、何処へ出ても恥ずかしくない教養を身につけた。  孤児院(「ローウッド」)も改善されてゆき、居心地のよい場所になり、やがてジェインは教師になったが、テンプル先生が結婚退職したことを機に、「もっと広い世界を見てみたい」という衝動に駆られた。そして、こっそり家庭教師の広告を出すと、ソーンフィールドという場所にある、由緒正しいお屋敷に雇われた。  10歳まで、虐げられながら過ごした叔母のお屋敷とその後8年間過ごした孤児院以外の初めての場所にジェインは自分の力で踏み出したのだ。 (抜粋) 自分の運命に無言の反抗をする人も無数にいる。政治的な反乱以外に、人々の間に燃え立っては消される反乱がいかにたくさんあることだろう。一般的に女性は穏やかだと思われているが、女にも男と同じ感情がある。能力を発揮し、努力の成果を生かす場を、男性同様に必要としている。  ジェインは男女の固定観念が強い時代に不遇な子供時代を送ったにも関わらず、自分の足でしっかり歩いて行くことを選ぶことが出来た知的な女性だ。  ソーンフィールドのお屋敷に普段、ご主人は不在だが、ある時帰ってきたご主人は、見かけがいかつくて、性格も偏屈な感じだった。だけど、ジェインに対し、ユーモアや皮肉を交えながらもまっすぐな気持ちをぶつけてくれるご主人、ロチェスター様にジェインは惹かれていく。そして、ロチェスター様のほうも社交界のチャラい女性達よりも美しくはないが知的で誠実なジェインに惹かれていく。  子供の頃にみたアニメのシリーズ「日曜名作劇場」のようにワクワクする。だけど、男の子の冒険物語とは違い、ジェインという女の子の物語は小さな「自分の世界」を自分の力で少しずつ少しずつ勇気を出して広げていく、精神的な冒険物語だ。  もう一つの魅力は“イギリスらしさ“だ。どんよりして凍てつく冬の厳しさの描写。それに対してさまざまな花がさく美しい春の自然の描写。  また、イギリスらしく、お屋敷には「幽霊」!ではないのだが、幽霊と同じくらい不気味な謎の人間が住んでいるようなのだが、実態が分からない。  ミステリー要素も含め、下巻が楽しみ。

Posted byブクログ

2023/01/16

ヘレン・バーンズは、ジェインとはまた異なる強い意志を持っているが、どちらも決して消えない火であるのは、それを燃やし続けているのが自らの手によるからだ。 ロチェスターの意外な告白で上巻が終わり、下巻を手に取らずにはいられない。

Posted byブクログ

2021/12/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2021.12.03.上を読了。 じつはル・グウィンの創作教室『文体の舵をとれ』に紹介されていたのに惹かれてたどり着いた。いまのところ、ジェインが「どの時点」から書いているのか、まだわからないからどきどきしている。 かの女の幼少期の記憶は精密で、ここからなにが語られるのか興味を抱くとともにかなしい。また某人物については、時折このイカサマがと怒りたいような気もするくらい、内心がみえない。ジェインの揺れる様子が描写されるのに、覆い隠されているのだろうか。だとしたらレイヤーを重ねて組み直すように、完成形から物語を作っていったことになるのだろうか。ジェインの行く末ももちろんだけれど、描き方の妙を知るのも楽しみ。

Posted byブクログ

2021/06/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ジェイン・エアに試練は続く。 親の死、引き取り手のいじめ、すれ違う愛。 なかでも最後は、切なすぎる。

Posted byブクログ

2017/04/02

ヘレンとの別れが悲しかった。小さな子どもなのに年上としてジェインをしっかり導く姿に感心する。子どもだけど十分、大人だ。ジェインがヘレンを抱いたまま、最後の時を過ごす場面はひどくもの悲しかった。 ロチェスターとの関係、ジェインに幸せが訪れることを期待して上巻を読み終えた。

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2016/10/27

★SIST読書マラソン2016推薦図書★ 【所在・貸出状況を見る】 http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=11330240 本を...

★SIST読書マラソン2016推薦図書★ 【所在・貸出状況を見る】 http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=11330240 本を読んで読書マラソンに参加しよう! 開催期間10/27~12/7 (記録カードの提出締切12/14)

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2020/03/03

今でも違和感なく読める。 ジェインの誠実たろうとする態度は、そのまっすぐさは『獣の奏者』を思い出させた。が、実際のところ、誠実さはキリスト教の育む卓越性の筆頭に他ならない。特定の宗教的文脈抜きには読めず、そして特定の階級的現実抜きにも読めない。 上巻でジェインは様々な危機に直面...

今でも違和感なく読める。 ジェインの誠実たろうとする態度は、そのまっすぐさは『獣の奏者』を思い出させた。が、実際のところ、誠実さはキリスト教の育む卓越性の筆頭に他ならない。特定の宗教的文脈抜きには読めず、そして特定の階級的現実抜きにも読めない。 上巻でジェインは様々な危機に直面するが、その克服の仕方に着目すると面白い。彼女はそのほとんどを偶然によって、しかも外からやってくる偶然によって克服している。いずれもが、瑕疵なき幸福な克服とはいえない。上巻は、ゲイツヘッドにせよ学校にせよ、大切な友人との別れを伴っていた。 このことの意味は考えるに足る。

Posted byブクログ

2014/09/26

海外ロマンスを読んでいると、かなりの割合で目にすることのある『ジェイン・エア』 ロマンチストなヒロインのために、『ジェイン・エア』の革装丁の本をクリスマスプレゼントにしたり…(こはく色の夢) というわけで、ロマンス好きなら一度は読んでおきたい作品。 http://books117...

海外ロマンスを読んでいると、かなりの割合で目にすることのある『ジェイン・エア』 ロマンチストなヒロインのために、『ジェイン・エア』の革装丁の本をクリスマスプレゼントにしたり…(こはく色の夢) というわけで、ロマンス好きなら一度は読んでおきたい作品。 http://books117117.blog110.fc2.com/blog-entry-3922.html

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2013/11/14

身よりもなく、ひきとられた叔母の家から始まるジェイン・エアの話。 古典として名前は知っていて、いつか読んでみようか…まぁでも急ぐこともないし…と忘れていた一作。いやはや面白かった。筋としてはきっと単純で、まぁきっと主人公は幸せになるんでしょ?と思っていたけれど、下巻が始まってす...

身よりもなく、ひきとられた叔母の家から始まるジェイン・エアの話。 古典として名前は知っていて、いつか読んでみようか…まぁでも急ぐこともないし…と忘れていた一作。いやはや面白かった。筋としてはきっと単純で、まぁきっと主人公は幸せになるんでしょ?と思っていたけれど、下巻が始まってすぐその展開で、これ一体どう決着着けるわけ?と先が気になって仕方がなかった。ジェイン・エアの「この人と私は対等だ、議論しても良いのだ」という分析と行動の仕方が好き。 この周り道さえ、きっと二人には必要だったんだねと妙に甘いことを考えてしまう。いやぁ、二人とも良かったねー!と思う読後。

Posted byブクログ