抗がん剤だけはやめなさい の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
プライベートな話ですみません。祖母は乳がん、祖父は皮膚がんの末に亡くなりました。母も乳がんを経験し、父は胃がんで胃の2/3を切除。自分は左の耳下腺(耳の下に位置する唾を出す器官)に腫瘤ができて耳下腺ごと切除しました(30歳ちょいすぎで)。 国立がん研究センターによると2019年時点で、生涯でがんで死亡するのは男性で26.7%, 女性で17.8%だそうです(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html)。つまり国民病といって過言ではありません。 本書は、そのようながん治療で使用されることが多い抗がん剤、逆に使用することで死を早めるというショッキングな内容。 私個人としては非常にためになる内容でした。 抗がん剤の欠点は端的に言えば、抗がん剤は腫瘍だけではなく正常細胞をも叩くからよくない、ということのようです。がんは正常細胞のDNAの一部が変異したものだということですが、誤解を恐れずに言えば「一部だけ異常な正常細胞」。ですから抗がん剤はほぼ確実に素の正常細胞をも殺すわけです。加えてがん細胞の方が増殖力が高く、抗がん剤の使用は当然のことながら正常に機能する身体臓器を壊滅的に叩き潰すことになります。 抗がん剤は欠点があるというばかりではなく、抗がん剤には効果がないとまで言います(延命効果・腫瘍の縮小効果ともになし)。筆者はこれを数多くのグラフとその形の歪さからデータの不正を指摘していますが、正直素人である私はイマイチわかりませんでした。ただ、リードタイム・バイアスなる統計上のからくりがグラフに仕組まれているというのは建付としては理解出来ました。 さらにさらに、抗がん剤がそもそも発がん性物質を含むらしいです。だとすると、なおのこと毒ですね。 こんな端々の情報だけですと、きっと眉唾と思う方も多いと思います。ただ、背景を考えると病巣は深刻で、また合点もいきます。 まずもって金の力。始めに製薬会社の社員が論文の執筆者になる。大学教授が研究補助費を貰う。そして共同執筆者になる。この時点で医学会も企業側にポジションを取っていることは否めません。ここから不正な論文が書かれる下地ができあがります。 次に腫瘍内科医の自己保存。仮に研究費をせしめる医師はほんの一部だとしても、その他多くの現場の医師に選択肢は少ない。例えば腫瘍内科医が40代50代になって、自分の治療は間違っていたと否定できるでしょうか(抗がん剤が本当に効かなくっても信じられないのでは?)。仮に自己否定できてそこから新たな専門を持とうとするでしょうか。また家庭を持ち相応の生活をしているなかでそのレベルを落とすかもしれない選択をやすやすと出来るでしょうか。加えて言えば、それまでのエリート然として扱われてきて自分もそう信じてきた中で、自分の信じてきたことが間違いだったと自己否定できるのでしょうか。どれも難しいのではないでしょうか。 しかしその妙なプライドのためにがん患者が殺され、製薬会社だけが儲かっているとしたら恐ろしい話ではないでしょうか。 頼るべき医師が信じられない中でどうするか。筆者は超弩級のストレートを投げ込んできました。それは、諦観です。そう、いずれ死ぬんですよ、だったら苦しまずに静かに死んだ方が得じゃないですか(意訳)と言っているようです。 「結局、よき人生を全うするためには、ある種の諦観が必要だとつくづく思います。がんにかかったというだけであきらめる必要はないけれど、子検眼の臓器転移であれば、腹をくくらなければならない。難しいことではありますが、それができないと、人生の最後に肉体的・精神的に苦しむことは確実ですし、命も恐らく縮みます」(位置NO.1955) いちいちごもっともではあるものの、素直に受け入れがたいのも真実。でもどうせ死ぬなら静かに死にたいし、そういう死をきちんと迎えるために、やるべきこと・やりたいことを今からそこそここなして、なるべく悔いなく死にたいものです。 ・・・ 本書は抗がん剤を全否定しているわけではありません。一部には有効とのことです。ただ、医師のいう事を鵜呑みにせず、がんになった時の対処法に至るまで事細かく描かれている点についても、諸々と非常に啓蒙的であると感じました。 改めて申し上げますが、信じるかどうかは読者次第です。ただ医師と製薬業界とが癒着しかねない状況であれば、私は街中の医師よりも筆者のほうを信じたいと思います。 ご家族やお近くの方をがんで亡くされた方、がんになるかもと心配された方は読んでみて悪くないと思います。病気の為と言うより死の間際まで自己決定権を失わないために読んで損はないと思います。
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「結局、抗がん剤が殺細胞薬である以上、正常細胞を殺すがゆえの毒性はなくならず、延命効果ならぬ縮命効果の発現は不可避です。(本書 まえがき)」からはじまる本書は、とても分かり易く、そして丁寧に、その理由を明らかにしてくれるため、一見刺激的なまえがきの言葉も、それらの理由を一つ一つ追...
「結局、抗がん剤が殺細胞薬である以上、正常細胞を殺すがゆえの毒性はなくならず、延命効果ならぬ縮命効果の発現は不可避です。(本書 まえがき)」からはじまる本書は、とても分かり易く、そして丁寧に、その理由を明らかにしてくれるため、一見刺激的なまえがきの言葉も、それらの理由を一つ一つ追っていくことで、自然な流れで理解することができる良書です。 本書後半では「今日、がんに限らず、高血圧や糖尿病等、種々の成人病の早期発見・早期治療が叫ばれています。しかしこれも、寿命を延ばすという根拠データがない。人間ドッグを律儀に受けて医者の言うことを守ると、逆に寿命が縮む可能性が高いのです。(本書抜粋)」ともしており、抗がん剤にとどまらず、広く医学界と患者への警鐘となっています。 本書の著者は慶応大学医学部放射線科の医師(執筆当時)です。2014年に定年で大学病院を去られるまで、その肩書は「講師」のままだったそうです。 この事実もまた、本書の価値を正確に教えてくれるものの一つであると感じました。
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【効かない抗がん剤、認可の裏にカラクリあり】亡くなった患者を生きているように見せかける、転移を隠して縮小効果をうたう、業界一丸となった抗がん剤認可の手口をすべて書く。
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