さぶ の商品レビュー
- ネタバレ
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「小雨が靄のようにけぶる夕方、両国橋を西から東へ、さぶが泣きながら渡っていた。」 沢木耕太郎が、旅先で日本人と出会った時に交換した本。一行目を読んで涙が流れたと書いてあったのを記憶していて、何気なく手に取った本。 初めから終わりまで全部綺麗だった。 登場人物のこころも、山本周五郎の人の描き方も、情景描写も。 人足寄場に送られたときに復讐心、憎しみしか感じられなかった栄二に岡安が言った、金木犀の香りがする風を感じられるか、みたいな言葉が忘れられない 感じ取るこころがあれば、感じ取る意識・気持ちがあるかなんだよなぁ。 だんだん物事を別の方向から見られるようになって冷静さを取り戻していくところとか、実直に物事に向き合っていく姿とか、栄二から学ぶことが多かった。 こういう本を読まずに終わる人生もあったのかもしれない、、と考えると、上手く表現できないけれど胸にこみ上げてくるものがある。
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泣ける。栄吉の厳しい渡世の数々。その中で寄り添いがんばるさぶ。落語で言うなら、芝浜のようだし、いろいろドラマになっていると思うので、一つ一つ見たい。こういう話は、なかなか流行らないが、ウクライナを見ると、あるかも知れない。
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別に華々しいストーリー展開がある訳ではないのに、全編にわたる情愛のこもった長編小説で久しぶりに堪能させられた。
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