親衛隊士の日 の商品レビュー
主人公のコミャーガは、当初、体制に忠実なだけの人物として描かれている。 しかし、物語が進むにつれて彼の内面が徐々に見え隠れする。ロシアの未来を憂い、伯爵への合図を見落とし、皇后へ欲情し、いずれは隊長の地位に就きたいと野心を抱く。彼の本当の欲望が垣間見えたとき、私たちは彼が自分...
主人公のコミャーガは、当初、体制に忠実なだけの人物として描かれている。 しかし、物語が進むにつれて彼の内面が徐々に見え隠れする。ロシアの未来を憂い、伯爵への合図を見落とし、皇后へ欲情し、いずれは隊長の地位に就きたいと野心を抱く。彼の本当の欲望が垣間見えたとき、私たちは彼が自分たちと何も変わらない人間であることに気づかされる。 彼は、私たちの周りにもごく普通にいる人物なのだ。そして、彼に惹きつけられれば惹きつけられるほど、作中に登場する人物たちの欲望のすべてが、実は自分自身にも潜在的に存在するのではないかと、錯覚、あるいは確信めいたものを感じるのである。
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専制君主が支配するようになった近未来のロシアの親衛隊が主人公の話 主人公は君主を讃えたり、不穏分子を制圧したりしながら暴力セックスドラッグに満ちた暮らしをしている ソローキンの作品は解説読まないと全然わからないんだけど、ものすごく印象に残ってしばらく経つとまた読む気になる
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専制政治が復活した近未来のロシア、親衛隊の性と暴力に満ちた一日をユーモアたっぷりに描く。非常に露悪的で冒涜的な内容だが、風刺が効いておりロシア男性の精神性を喝破している。文学という言葉の想像力を駆使した芸術でこそ味わえる背徳的小説。
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皆今まで、ソローキンの世界に憧れ、陶酔してきたとは思うが、共感という意味では難しい物があって、コロナという殺人兵器がばらまかれ、人間の尊厳、命の重さなど、今まで日本人が軽視してきた物がせりあがり、ノンフィクションがフィクションの仮面を被り、何だか今の時代は、ソローキンの差し出して...
皆今まで、ソローキンの世界に憧れ、陶酔してきたとは思うが、共感という意味では難しい物があって、コロナという殺人兵器がばらまかれ、人間の尊厳、命の重さなど、今まで日本人が軽視してきた物がせりあがり、ノンフィクションがフィクションの仮面を被り、何だか今の時代は、ソローキンの差し出している見えていなかった部品が、ありかだけでも見えてきたように思う。その正体は宇宙人と闘うための能力なのかなー。
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はじめてのソローキン。印象としては日本国内で言うと町田康「パンク侍、斬られて候」や村上龍「昭和歌謡大全集」のような感じかな。近未来のロシア親衛隊士の様子を描いていて多くは、皮肉や揶揄、諷刺なのだろうけれど外国人には、そうなのだろうなと思う程度でそこの会心性は非現代ロシア人にはわか...
はじめてのソローキン。印象としては日本国内で言うと町田康「パンク侍、斬られて候」や村上龍「昭和歌謡大全集」のような感じかな。近未来のロシア親衛隊士の様子を描いていて多くは、皮肉や揶揄、諷刺なのだろうけれど外国人には、そうなのだろうなと思う程度でそこの会心性は非現代ロシア人にはわかりにくい。が、それを抜いても面白い。ノーマルな範疇に退屈を感じてきた人向けだけどこれはこれで面白いと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
語り手すなわち主人公に据えられるのがエエモンかワルイモンかといえば、決してエエモンではない。 また好きになれるか嫌悪してしまうかといえば、好きになれるとはいえない。 しかし「時計じかけのオレンジ」のアレックスにどうしても肩入れしてしまうように、いつの間にか引き込まれている。 (ほかに連想されるのは「1984年」「華氏451」「未来世紀ブラジル」など。) ストーリー云々いう作品ではないだろう。ただオプリーチニクの代表的な一日を追うだけだから。 着信音が鞭打ちと叫びの録音、車には犬の首をくくりつけて、チョウザメの泳ぐ幻覚薬、 といったガジェットの面白さ。 そしてホモソーシャルな仲間の連帯、が、本当に肉体もつながってしまう蒸し風呂の場面! といった人のあり方の面白さ。 語り手は女性蔑視が強いが、自宅に住まわせる愛人へも、お后へも、愛憎入り混じっている様子。 このあたりを振り返りながら再読してもいいかも。 それにしてもロシアの作家って、「ロシア的人物を描く」のが好きだね。
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ニュースを見聞きする度に予想はしていたことだけれど、『青い脂』から7年、ソローキンにある意味これだけ直截的な作品を書かせるほどロシアは大変な事になっているのかというのが一読後の正直な感想。
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これがソローキン?......思ったより、普通? もうちょい歩み寄ってくれてもええんやでとーもいながら、これといった到達点もなく、バウムクーヘンみたいに均一な、ある意味律儀さがつづく世界に、ずぶずぶと。(背景がいまひとつわかっていない分よけい)途中ちょっと飽きてきた感じもありつつ...
これがソローキン?......思ったより、普通? もうちょい歩み寄ってくれてもええんやでとーもいながら、これといった到達点もなく、バウムクーヘンみたいに均一な、ある意味律儀さがつづく世界に、ずぶずぶと。(背景がいまひとつわかっていない分よけい)途中ちょっと飽きてきた感じもありつつ、A:「牛の乳は飲んではならん。牛の脂だけを食べよ。なぜかわかるか?」B:わかるわけないだろうが、くそったれ……。の会話が、妙にツボにはまってしまった初めてのソローキン。他の作品がどうなっているのか気になる。
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現代ロシアの小説は初めて読んだ。かなり独特な読書感。柳下毅一郎氏がしたためた帯には「燃えろ、陰嚢!光れ、玉茎!ソローキン、四界に敵なし!」とある。 舞台は2028年のロシア、復活した帝国に仕える親衛隊士〈オプリーチニク〉たちの物語。 ロシアのさまざまな作家の作品や詩を示唆する作...
現代ロシアの小説は初めて読んだ。かなり独特な読書感。柳下毅一郎氏がしたためた帯には「燃えろ、陰嚢!光れ、玉茎!ソローキン、四界に敵なし!」とある。 舞台は2028年のロシア、復活した帝国に仕える親衛隊士〈オプリーチニク〉たちの物語。 ロシアのさまざまな作家の作品や詩を示唆する作中作が登場し、いかつい男同士の集団トリップが描かれ、折に触れて登場する中国。 何と言うか、身も蓋もない言い方をすれば、わからないけど面白い。 ソローキンはという作家はTwitter文学賞を獲得した『青い脂』で知って、今回本作を買ってみた。『青い脂』は未読なので、文章ににじむ怪しい雰囲気に親しもうかと。
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あれ?なんだか読みやすい。「青い脂」をウンウン唸りながら読んだのに比べると、ではあるけれど。天の邪鬼だなあとは思うが、こうなるとかえってありがたみが減るような…。
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