介入するアメリカ の商品レビュー
最近の国際ニュースを考える上で極めて有用な著である。コソヴォ紛争以降のアメリカの対外政策を範囲とし、イラク戦争前後が中心となる。淡々と外交政策とその背景を分析するものではなく、その裏にあるであろう理念の分析が主である。(残念ながら著者の言う通り現実的対応が主の東アジア外交はあまり...
最近の国際ニュースを考える上で極めて有用な著である。コソヴォ紛争以降のアメリカの対外政策を範囲とし、イラク戦争前後が中心となる。淡々と外交政策とその背景を分析するものではなく、その裏にあるであろう理念の分析が主である。(残念ながら著者の言う通り現実的対応が主の東アジア外交はあまりこの本の良さが活きていないが)コソヴォ以降のアメリカ現代史の知識を前提とするが、時に歴史を遡りながら理念のバックボーンを示してくれるので、勉強になる。特に民主党タカ派(リベラルホーク)についての記述が多いが、参考となる本がなかなか見つからないので現代アメリカを考察する一つの視点として非常に役に立つ。また、細かく文献がついているので、多少知識があればここからどんどん掘り進められる。
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アフガン戦争が終息に向かうとアメリカは、対テロ戦争をどのようにして継続するかという問題に直面した。 アメリカが自国を頂点とする単極秩序に自信を強めるい一方で、国際社会ではかつてないほど反米感情が高まった。 19世紀から冷戦期に至るまでは「国境策定能力」が重要であったのと同様に、ポ...
アフガン戦争が終息に向かうとアメリカは、対テロ戦争をどのようにして継続するかという問題に直面した。 アメリカが自国を頂点とする単極秩序に自信を強めるい一方で、国際社会ではかつてないほど反米感情が高まった。 19世紀から冷戦期に至るまでは「国境策定能力」が重要であったのと同様に、ポスト冷戦期以降の国際政治においては、「規範形成能力」が重要なパワーの構成要素になっている。 イラク戦争が顕在化させたのはポスト冷戦時代の新たな非派遣的秩序形成を志向するヨーロッパとポスト冷戦時代という歴史の小休止の時期が終わり、新たな歴史的闘争の時期に入ったとするアメリカの世界観の相違だった。 国際政治におけるパワーのわかりやすい象徴である核兵器を中国が保有したことによって、一般のアメリカ人はの対中イメージは好意的にならなかったにせよ、その存在は認めるべきだという方向に動いた。
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