たしなみについて の商品レビュー
669 白洲正子 1910~1998。評論家・随筆家。日本の古典・芸能・美術・工芸などを研究。祖父は海軍大将樺山資紀、父は貴族院議員愛輔、夫は白洲次郎。著書に『かくれ里』『近江山河抄』『明恵上人』『西行』『日本のたくみ』『お能の見方』など多数。 たしなみについて 新装版 by...
669 白洲正子 1910~1998。評論家・随筆家。日本の古典・芸能・美術・工芸などを研究。祖父は海軍大将樺山資紀、父は貴族院議員愛輔、夫は白洲次郎。著書に『かくれ里』『近江山河抄』『明恵上人』『西行』『日本のたくみ』『お能の見方』など多数。 たしなみについて 新装版 by 白洲正子 竹取物語は、美というものを、最も単純にしかも解りやすく説明すると思います。大そう複雑なようでも、実は非常に単純なものが美であります。よく「素樸な美しさ」などと言いますが、世の中に複雑な美というものは有り得ないのです。 「人をにくまず罪をにくめ」と言いますが、では、「人を愛さず美術を愛せ」という事も出来る筈です。事実そういう事を地で行っている人達もある様です。人間が嫌いな為に美しい物を愛するという、…………私達女もその中にたまには入るのかも知れませんが。 人間はいくら嫌っても嫌いたりない程いやな物です。
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1948年2月刊行とあるから、白州正子が38歳前に書いたもの。 私はこれまで、彼女のことを“白州次郎の妻”としてしか知ることが無かったが、この年齢で世の中の本質をこのように見つめていたことを考えると、能を通して馴染み、触れた時間の厚みを感じ、想像せざるを得ない。 最近、この時...
1948年2月刊行とあるから、白州正子が38歳前に書いたもの。 私はこれまで、彼女のことを“白州次郎の妻”としてしか知ることが無かったが、この年齢で世の中の本質をこのように見つめていたことを考えると、能を通して馴染み、触れた時間の厚みを感じ、想像せざるを得ない。 最近、この時代の作家たちの作品を読むことがあるのだが、そこに描かれる登場人物たちの、溢れんばかりの教養やそれを踏まえての世の中への眼差しを感じさせられる。 たしかにそこに描かれているのは、裕福な環境に育った者たちが多いこともあるが、それにしても、現代の私たちとは大きく違う世界像が描かれている。彼らの育んでいた豊かな教養や智慧といったものが、こんなに短期間に、日本という国から失われているのかと愕然とする思いがする。 そうは言っても、つい最近まで自分も“失わせしめている”側にいたことに気が付かなかったわけだけれど。 これは“時代の変化”、“科学の発展”といったことでその分“置き去りになった人間”として片付けることはできないところまで来ている。 『社会が傷めば、人が輝く』というが、まだまだ、この社会の劣化は底を打たずに、堕ち続けるのか、輝きを取り戻すにはもっと深い闇を見ないと再生できないのか。 と感慨が深い。
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ごくごく短いエッセーが57編。初出は1948年、白洲氏40歳前、ごく初期の頃の随筆です。本格的な執筆活動はこの20年後。まだ、初々しさが感じられる文章ですが、格言めいた言葉の連なりや古典や美術に通じた話題が後年の著作を彷彿とさせます。
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きっと一回読んで何かが身につくとかそんな簡単なものではないんだよなぁ白洲さんの文章は。 何度も繰り返し読んで咀嚼したい。
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