ifの幕末 の商品レビュー
「清水義範」による長篇時代小説『ifの幕末(『幕末裏返史』を改題)』を読みました。 「池波正太郎」の『人斬り半次郎 幕末編』、『新装版 幕末新選組』に続き、幕末を舞台にした作品です… 「清水義範」作品は、6年前に読んだ新解釈世界史エンターテインメント作品『シミズ式目からウロコの...
「清水義範」による長篇時代小説『ifの幕末(『幕末裏返史』を改題)』を読みました。 「池波正太郎」の『人斬り半次郎 幕末編』、『新装版 幕末新選組』に続き、幕末を舞台にした作品です… 「清水義範」作品は、6年前に読んだ新解釈世界史エンターテインメント作品『シミズ式目からウロコの世界史物語』以来なので久しぶりですね。 -----story------------- 十九世紀半ば、ゴールド・ラッシュに沸くアメリカに、周囲の男たちから浮いた優雅な身なりの青年が。 金鉱を見物に来たフランス人の「シオン」は、帰国する船賃稼ぎ中の「ジョン万次郎」と出会い、日本への興味を深める。 数年後、「シオン」はオランダ人と偽って開国目前の長崎へ。 美しい顔立ちと行動力を武器に、幕府の大物たちに接近し、ついには―。 歴史の隙間に“もしも”を巧みにちりばめた傑作長編。 (解説/「金原瑞人」) ----------------------- 「もし、幕末の日本に、日本をこよなく愛する異国人が居たならば」という、仮定で描かれた物語… 史実に忠実な部分と、創作(虚構)部分との虚実入り混じった展開、、、 幕末史に詳しくない私にとっては、史実なのか、虚構なのか、よくわからない部分もありましたね… でも、それを含めてフィクションとして愉しめました。 ある美貌のフランス人が、日本の幕末史を変えた!? 大の日本贔屓のフランス人「アナトール・シオン」… 日本語を学び、国禁を犯して海を越え、憧れの日本にやってきた、、、 時は幕末、開国前夜… 「ジョン万次郎」、「勝海舟」、「坂本龍馬」、「西郷隆盛」、「近藤勇」、「孝明天皇」、「徳川慶喜」など大物たちと交流を深め、「シオン」は「愛する日本」のため、幕府の知恵袋となる。 昼は盛装して天皇に拝謁、夜は頭巾を被って尊王の志士を助けたり、不平等条約を結ぶところだった幕府を救ったり、遣米使節団に随行したり と大活躍… その働きが運命の歯車に不思議に作用し、ついに日本の歴史が「ひっくり返る」瞬間が、、、 生麦事件、池田家事件、桜田門外の変、「吉田松陰」の死の顛末、新撰組、公武合体、無血開城等の史実を巧く織り込んでありましたね… 幕末史をよく知っていると、もっともっと愉しめたんでしょうけどね、ちょーっと知識不足でしたね。
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清水さんのファンをやっているとよくあるのだけれど。ハードカバーで刊行された時と、それが文庫化された時で(内容は一緒で)書名が変わるトラップ… ええ、今回も気づかずにまた入手して読んでしまいましたw まぁ、清水さん大好きなのでいいのだけれど。というわけで本書は「幕末裏返史」の文庫...
清水さんのファンをやっているとよくあるのだけれど。ハードカバーで刊行された時と、それが文庫化された時で(内容は一緒で)書名が変わるトラップ… ええ、今回も気づかずにまた入手して読んでしまいましたw まぁ、清水さん大好きなのでいいのだけれど。というわけで本書は「幕末裏返史」の文庫化に際して書名が変わった長編小説です。2章あたりまで読んで気づきました。 清水節炸裂ですな。
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※このレビューにはネタバレを含みます
単行本『幕末裏返史』の改題・文庫化。 日本愛あふれるフランス青年アナトール・シオンという架空人物を関わらせることで幕末の史実の隙間に思いがけない「if」を散りばめた物語。歴史の分かれ道で別の道筋をたどりはしても、最終的には開国・新政府への移行という史実に着地するというのは、SFとしては物足りないかもしれないが、説得力がある展開ともいえる。 異人ながら日本の美点をこよなく愛し、それが踏みにじられることがないように深慮遠謀をめぐらし尽力するシオンがたのもしく、日本人以上の日本人にみえる。そして、現代の日本人の多くも長い鎖国で外国恐怖症だった幕末の日本人からたいして進歩がないのではないかと思えてならない。シオンが今の日本社会をみたらその変わらなさにおどろくだろうな。
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幕末もしもワールド、と言うべきでしょうか。でも、もしかしたら本当にそうだったかも、と思わせる何かがあるのです。 フランス人青年、アナトール・シオンがゴールドラッシュに沸くカリフォルニアでジョン万次郎に出会うところから、物語は始まります。日本が大好きなシオンはオランダ人として日本へ...
幕末もしもワールド、と言うべきでしょうか。でも、もしかしたら本当にそうだったかも、と思わせる何かがあるのです。 フランス人青年、アナトール・シオンがゴールドラッシュに沸くカリフォルニアでジョン万次郎に出会うところから、物語は始まります。日本が大好きなシオンはオランダ人として日本へやってきて、日本のために働きます。アメリカと結んだ条約が不平等きわまりないと修正をせまったり、勝海舟に幕府への意見書を出させたりと大活躍。すべて日本を愛すればこそです。 こんな風に日本を愛する外国人が大勢いたのかもしれません。彼らのおかげで日本は幕末の激動期を乗り切ることができた、と考えるのは行きすぎでしょうか。日本はシオンのようなファンを、世界でもっと増やさなくてはいけないと思いました。
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オリジナルの『幕末裏返史』というタイトルのほうが断然清水さんらしくていいのに、なぜこんな改題を???……と訝ったけれど、読んで納得。万人にわかるようにフィクションですよ、と銘打っておかないと、清水さんのことをよく知らずに読み始めた歴史ファンが大真面目に怒っちゃうかも。それくらい...
オリジナルの『幕末裏返史』というタイトルのほうが断然清水さんらしくていいのに、なぜこんな改題を???……と訝ったけれど、読んで納得。万人にわかるようにフィクションですよ、と銘打っておかないと、清水さんのことをよく知らずに読み始めた歴史ファンが大真面目に怒っちゃうかも。それくらい、明らかな大嘘以外の部分の歴史的ディテールがまことしやかに描き込まれている。 久しぶりに清水さんらしいエンターテイメントを読めて嬉しかったけれど、やはり昔の勢いが失われつつあるのが残念。
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もし幕末の日本に、日本びいきで日本語も堪能なフランス人が渡来し、密かに幕府に協力していたら....という歴史の「if」を描いた小説。 時代考証や実際の人物像との整合性等、細かなことを気にしながら読むような種類の小説ではないので、架空の設定を活かした荒唐無稽なストーリー展開を期待し...
もし幕末の日本に、日本びいきで日本語も堪能なフランス人が渡来し、密かに幕府に協力していたら....という歴史の「if」を描いた小説。 時代考証や実際の人物像との整合性等、細かなことを気にしながら読むような種類の小説ではないので、架空の設定を活かした荒唐無稽なストーリー展開を期待したが、今ひとつハジケ具合が足りず、正直物足りなさが読後残った。 娯楽小説なのだから、もっとハチャメチャな「if」(例えば主人公の活躍により大政奉還が行われず、江戸幕府が現在まで存続する等々)を描いた方が、痛快で面白くなったような気がする。
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