マルクス資本論の思考 の商品レビュー
【由来】 ・たまたま図書館で目にとまった。熊野先生の本。 【期待したもの】 ・700ページというとてつもないボリューム!だが意外と読みやすそう。「資本論」を読む時のガイドブックになってくれそう。 【要約】 ・ 【ノート】 ・ 【目次】
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『資本論』の構成に沿って、その内容を読み解いている本です。レヴィナスやヘーゲルを論じ、カントやハイデガーを翻訳する哲学者・熊野純彦が、マルクスの『資本論』を改めて考察するに当たって、どのような角度をつけて読み解いているのか、関心を持って読み進めていったのですが、どちらかと言えば解...
『資本論』の構成に沿って、その内容を読み解いている本です。レヴィナスやヘーゲルを論じ、カントやハイデガーを翻訳する哲学者・熊野純彦が、マルクスの『資本論』を改めて考察するに当たって、どのような角度をつけて読み解いているのか、関心を持って読み進めていったのですが、どちらかと言えば解説書的な叙述に終始しているような印象でした。 とはいえ、そこかしこに著者独自の哲学的洞察が垣間見えます。流通過程論を扱っている箇所では、「可能性自体が現実化されている状態」というアリストテレスの「運動」理解にまで遡り、資本の運動過程の意味を考えなおすとともに、総資本の錯綜した運動体が内部化していく世界市場に批判的に斬り込もうとしているように感じました。また、マルクスの再生産表式とケネーの経済表との比較という古典的な問題を扱っている箇所では、マルクスの構想が静的な均衡の分析をめざしていたのではなく、資本の運動過程の把握を通じて均衡を破壊させる可能性の条件を明らかにするものであったという主張がなされています。 そのほか、転形問題論争について分かりやすい解説がなされており、勉強になりました。置塩信雄と森嶋通夫の仕事の意義と、高橋洋児に代表されるマルクス主義陣営からの反論について、ざっくりした見通しを得ることができたように思います。 それはそれとして、四六判で700ページ超という体裁は、どうにかならなかったのでしょうか。
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