櫻の園(完全版) の商品レビュー
毎年春の創立祭にチェーホフの『櫻の園』を上演するのが伝統になっている桜華学園演劇部の女の子達の恋の悩み、自分の女性性への戸惑いや罪悪感、女の子同士の友情が絶妙に描かれています。ヘアスタイルや会話の内容が昭和の女の子達で懐かしさを感じました。私も女子高だったこともあって雰囲気がよく...
毎年春の創立祭にチェーホフの『櫻の園』を上演するのが伝統になっている桜華学園演劇部の女の子達の恋の悩み、自分の女性性への戸惑いや罪悪感、女の子同士の友情が絶妙に描かれています。ヘアスタイルや会話の内容が昭和の女の子達で懐かしさを感じました。私も女子高だったこともあって雰囲気がよくわかります。体は急激に大人の女性になっていくのに心は繊細で脆くて揺れ動きやすくて、ほんとうにこんな大変な時期に進路を考えたり勉学に励まなくてはならないなんて、女子高生は過酷だなぁ。でもだからこそ、その後も一生忘れられない宝が残るんでしょうね。
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移ろいゆく季節の少女たちの短編が4編。留保された女性性と否応なしに向かい合わせれなければいけない思春期を見事な言葉で切り取っているのはやはり吉田秋生の真骨頂と言えるのではないでしょうか。何度読んでも私が一番好きなのは「花冷え」である。これほどセックスとの少女の向き合いを真剣に描いたものは見たことがない。初めての夜のあと、彼氏がカップラーメンくうか?と聞いてきたのに対して、「食う食う!あたししょうゆ味!」と笑顔で返す。優しい彼氏は作ってくるから待ってな、と言って部屋を出て行くのだけれど、そのあとに、ひとりで静かに涙を流している。この分裂した感情の描き方があまりに素晴らしくて、このシーンを読むために何度も何度も、この漫画を読み返してしまう。
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90年版のDVDを観たら読みたくなり手に取りました。 昔の少女マンガだし、古くさい絵柄なんだろうな、と予想していましたが予想外にシンプルな人物画に背景と驚きです。 台詞回しもシンプルだけど、共感できる言葉もいくつかあり、女子高生時代が懐かしく思えます。 90年版映画とマンガが最高...
90年版のDVDを観たら読みたくなり手に取りました。 昔の少女マンガだし、古くさい絵柄なんだろうな、と予想していましたが予想外にシンプルな人物画に背景と驚きです。 台詞回しもシンプルだけど、共感できる言葉もいくつかあり、女子高生時代が懐かしく思えます。 90年版映画とマンガが最高作品だと言われるのが理解出来ました。 面白かったです。
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名作も、名作。 中高生の頃、他の子と少しでも違ったりしたら恥ずかしかったし、 「なんで?」と思うことを当たり前にやってのける(ように見えただけかもしれないけど)女の子たちに、憧れと嫌悪感とがごっちゃになった複雑なものを抱いていたこともある。 そして、やっぱり“同じ”になると安心...
名作も、名作。 中高生の頃、他の子と少しでも違ったりしたら恥ずかしかったし、 「なんで?」と思うことを当たり前にやってのける(ように見えただけかもしれないけど)女の子たちに、憧れと嫌悪感とがごっちゃになった複雑なものを抱いていたこともある。 そして、やっぱり“同じ”になると安心する。 (そういうところは、今も変わらないかもしれない) そういうのに引っ張られない、ここでいう志水さんのような存在は格好良かったな...。 きっとそういう子たちも他の子と変わらなかったんだろうな、と今では思う。 すっかり遠くなってしまったきらめきを、冷凍保存(笑)してくれた作品。 疲れきった夜に読んで、ギュンッとなりたい。
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ここ最近読んだ4冊。 やまだ紫の「ゆらりうす色」「しんきらり」 田辺聖子の「風をください」 そして、吉田秋生の「櫻の園」 どれも女性の内面を細やかに描いたものばかりだ。 あたしは、当たり前のことに気づいた。 そして、気づいたと同時に自分がすごく思い上がっていたなと思った。 ...
ここ最近読んだ4冊。 やまだ紫の「ゆらりうす色」「しんきらり」 田辺聖子の「風をください」 そして、吉田秋生の「櫻の園」 どれも女性の内面を細やかに描いたものばかりだ。 あたしは、当たり前のことに気づいた。 そして、気づいたと同時に自分がすごく思い上がっていたなと思った。 人は、何歳になっても、 こんなにもたくさんのことを感じ、考えているのだ。 私は、自分が感じやすい方だと思っていたし、 それが自分の良いところだとも思っていたような気がする。 でも、当たり前の話だけど、私だけじゃない。 どの人もみんな、たくさんのことを考えて、感じて、 そうやって手探りで生きている。 そう思ったら、急に自分の周りで息をして生活をしている、 あの人もこの人も、 ぐにゃぐにゃとした心を身体の中に持った、 血の通った人間だと、泣きたい心を抱えた人なのだと、 すっとしみ込んできて、自分が泣きたくなった。 私は、毎日自分が色々感じて、考えて苦しいものだから、 いつか人間というものが完成される日がくると、 どこかで信じていたような気がする。 安定して、落ち着いて、自分の人生を自分で手玉に取るような気分。 でも、個々最近読んだ本たちは、 そんなことは金輪際あり得ないことを教えてくれた。 そして、それしか正しい生き方も無いことも。 だめなんだ、自分が完成した何て思っちゃ。 いや、違うな。 あたしは完成している。 ただ、不完全なまま、完成しているのだ。 それを受け入れることなんだ。 こんなに生みたいな心は、なんだかレバーの用な触感で色だろうと思う。
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すごく良かったのだけど、なんでかうまく感想が出てこない。なんというか、あの頃の、言葉にできない不安やモヤモヤを思い出した。今も昔も、『女子』って変わらないんだろうなー。ちょっと残酷で、排他的。笑 かわいたような線と、シンプルなコマ割りで進む物語は、静かで、でも不思議な余韻が残る。
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最初のA5版の本を手放したので、完全版だしカラー扉入ってるしーと思って買って、あとで文庫版も持ってたことに気がついたというね。そこまで思い入れのある話。 改めてまた読み返したら、読み返しても?4人の気持ちはすごくよくわかる。昔以上によくわかりすぎて泣けてくる。 彼氏が大好きなアツコ。不良と呼ばれる杉山。しっかりした子と呼ばれる志水さん。男っぽいと呼ばれるチヨ。 みんなどこにでもいる女子高校生。普通の可愛い女の子たちです。
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福田沙紀ちゃん主演の映画「櫻の園」が思いのほか良かったので原作も読んでみた感じ。 映画と違ってこちらは百合要素少ないのね…としょんぼり。 でもまぁ良かった。女子校というものが好きなので。 いろんな女の子たちが出てくるので楽しい。若いゆえの悩み、純情。十代ならではの苦しみとかもろも...
福田沙紀ちゃん主演の映画「櫻の園」が思いのほか良かったので原作も読んでみた感じ。 映画と違ってこちらは百合要素少ないのね…としょんぼり。 でもまぁ良かった。女子校というものが好きなので。 いろんな女の子たちが出てくるので楽しい。若いゆえの悩み、純情。十代ならではの苦しみとかもろもろ。
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文庫版を持ってるけどお布施の意味も込めて購入。こうして完全版が出て新たに読むひとが増えるんだろうなと思うと嬉しい。カバーの菫色が綺麗に発色しているし、本棚に挿すと背表紙が素敵。
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吉田秋生の初期の名作。中原昌也で映画化されてるみたいだけど、そちらは観ていない。 桜の木に囲まれた女子高でチェーホフの「桜の園」の上演を目指す演劇部員たちの連作集。吉田秋生は「BANANA FISH」や「吉祥天女」のような比較的派手なアクション・サスペンス系の作品と、「海街Dia...
吉田秋生の初期の名作。中原昌也で映画化されてるみたいだけど、そちらは観ていない。 桜の木に囲まれた女子高でチェーホフの「桜の園」の上演を目指す演劇部員たちの連作集。吉田秋生は「BANANA FISH」や「吉祥天女」のような比較的派手なアクション・サスペンス系の作品と、「海街Diary」などの青春群像系の作品とがあるが、こちらは後者。有名なのは前者だけど、吉田秋生の良さがでているのはやっぱり後者だと思う。 とくにこの作品では女子高、あるいは演劇部という箱庭的空間が効果的に機能して、閉鎖的な(だが部分的には外部と接続している)関係性が絶妙な緊張感を与えている。
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