かわいい江戸絵画 の商品レビュー
2013年に府中美術館で開催された「かわいい絵画展」の図録を書籍化したもの。江戸期の日本画を「かわいい」をキーワードに読み解くというもの。 図版も豊富で見ているだけで楽しい本だが、それ以上に解説が充実しており、単にかわいい絵を羅列するだけではなく「かわいい」とは何か?「かわいい」...
2013年に府中美術館で開催された「かわいい絵画展」の図録を書籍化したもの。江戸期の日本画を「かわいい」をキーワードに読み解くというもの。 図版も豊富で見ているだけで楽しい本だが、それ以上に解説が充実しており、単にかわいい絵を羅列するだけではなく「かわいい」とは何か?「かわいい」には型があるか?など切り口も興味深い。
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かわいいとは、どういう感情なのだろう。 まずは言葉の成り立ちから、当時の絵画を読み解く。 自分はこういった画集で文字など読めない面倒臭がりな性質だが、「かわいさ」にスポットをあてているからだろうか、文章が穏やかで読みやすく、ついつい最後まで一気に読んでしまった。 金子氏、音氏の...
かわいいとは、どういう感情なのだろう。 まずは言葉の成り立ちから、当時の絵画を読み解く。 自分はこういった画集で文字など読めない面倒臭がりな性質だが、「かわいさ」にスポットをあてているからだろうか、文章が穏やかで読みやすく、ついつい最後まで一気に読んでしまった。 金子氏、音氏の2名が本書を執筆していて、それぞれ文末に頭文字が添えられているが、最後まで読まなくてもどちらの文章かわかるようになってくる。 両者とも癖のない文体だが、音氏の解説は愛しさがにじみ出るようで特に親しみが持てたからだ。 紹介されている絵画は犬だけでなく、人、鳥、虎など範囲が広く、扱う画風も丸に点を描いたゆるいものからおどろおどろしいものまで幅広い。 ぱっと見の可愛さだけでなく、たくさんの発見があった。 円山応挙の犬の可愛さ、岸竹堂や鈴木松年、岸駒の描写力、四睡図のまったりとした面白さ、柴田是真「雛図」のデザイン力、長沢芦雪も妙で… 巻末には布袋の物語と、各絵師の簡単な解説が載っている。 それにしても伊年印のトラはドラえもんに似ているし、宋紫山のトラはディズニーアニメに出演していても違和感ないコミカルさだ。 江戸の当時は実物の虎が見られなかったそうだから、応挙や岸駒などは輸入された虎皮を写生して想像を膨らませたらしい。 だいたい猫みたいなポーズをしている。
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日本人の『かわいい』感覚はこの頃から確立していたのだなぁと思える絵画集。 動物やもののけの可愛いこと。
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【所在・貸出状況を見る】 http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&category-book=all&category-mgz=all&m...
【所在・貸出状況を見る】 http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&category-book=all&category-mgz=all&materialid=11500821
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「かわいい」を切り口に近世の日本画を並べると、思いがけないほど新鮮な美の系譜が現れました。情熱ある解説で豊富な作品を分かりやすく教えてくれます。収録作の一部を切り取り、散らしたカットもセンスありますね。若冲の托鉢図は初見ですが、斬新でポップアートみたい!本書が教材になれば、美術史...
「かわいい」を切り口に近世の日本画を並べると、思いがけないほど新鮮な美の系譜が現れました。情熱ある解説で豊富な作品を分かりやすく教えてくれます。収録作の一部を切り取り、散らしたカットもセンスありますね。若冲の托鉢図は初見ですが、斬新でポップアートみたい!本書が教材になれば、美術史に親しむ人が増えそうです。本書を読んだのは、あゆぞうさんのレビューがきっかけです。ありがとうございました
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<かわいい絵にふにゃっと溶かされながら、「かわいいって何だろうか・・・?」とちょっと考えてみる> 今年の春に府中市美術館で「かわいい江戸絵画」と題された展覧会があったのだそうである。これが非常な人気で、図録も会期終了前に完売、美術館で買えなかった人の要望に応えるために書籍化さ...
<かわいい絵にふにゃっと溶かされながら、「かわいいって何だろうか・・・?」とちょっと考えてみる> 今年の春に府中市美術館で「かわいい江戸絵画」と題された展覧会があったのだそうである。これが非常な人気で、図録も会期終了前に完売、美術館で買えなかった人の要望に応えるために書籍化されたのが本書だという。 関西圏に住む自分はあいにくと展覧会自体には行っていないのだが、こうして眺めてみるになるほど楽しい展示だったことだろうと思う。 冒頭には、「かわいい」について考察する解説文が収録される。 「かわいい」と思う感情とはそもそもどういうものなのか。「かわいい」と思わせるのは「対象」自体なのか「形」なのか「描き方」なのか。 読みながら自分と照らし合わせて考えると、なかなか興味深い一文である。 「かわいい絵を見るぞ」と心の準備が出来たところで、実際に収録されている絵を見ていく。 「かわいい」という括りだが、端正で写実的なものから、必要最小限の線で描かれたシンプルなものまで、振れ幅は結構大きい。 前者では円山応挙や森狙仙、後者では与謝蕪村らの俳画や白隠・仙厓の禅画が印象的である。 応挙の虎は写実的なようでいて、どこか丸みを帯びて愛らしい。狙仙の猿はまじめくさった仕草が微笑ましい。 仙厓の絵は何だかすごいほどに「ゆるい」。しりあがり寿を思い出させるようなおかしさである。問答無用に背骨が溶けてしまう。たはっと笑ってしまいつつ、「いやこれ、禅画なんだよな」と思い直すと実は壮大に深いのかもしれん、と思いながら、また絵を眺めてふひゃっと笑ってしまう。 何かを見て「かわいい」と思えるってことは、実は「余裕」なのかもしれない。折り重なった心の襞に湯熨斗をあてるように、どこかが伸びていくようで心地よい。江戸の絵画たちに「まあそう焦んなさんな」と窘められているようでもある。 忙中閑あり。 慌ただしい年末、江戸のかわいいものにふにゃっと溶かされてしまうのも悪くない。 *表紙は応挙の「狗児図」。 *近所で「応挙」展開催中。ぜひ見に行こう~。
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逃してしまった展示だったので、 出版されてうれしいです。 すごくかわいかった。 欲しい!と思った絵がいくつもありました。 解説多し。
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2013年に府中市美術館でおこなわれた展示の図録が、あまりの好評のために売り切れ。買えなかった人のためにamazonでも販売が開始されたという異例の品。日本美術のかわいい子犬や猫がたくさん。かわいいとはなんぞやという話も読み応えがある。
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