千葉氏と妙見信仰 の商品レビュー

丸井敬司(著者)

2014/05/06

Lv【研究書】
・平良文、平将門の桓武平氏の血統を知っている
・千葉氏の鎌倉、室町、戦国辺りまでの流れを知っている
・宝治合戦(鎌倉)や享徳の乱(室町)を知っている
・千葉氏と言えば妙見信仰！と通じる

姿なき神、妙見——だが、本書を通じて千葉氏によって信仰された妙見は時代と共に、おおまかに4つの姿をとっていた事が伺える。

・千葉氏の祖、平良文を正当する「正直」の概念と、まちまちだった初期の像
・宝治合戦で滅亡の危機に瀕した千葉氏が、一族の建て直しを懸けて築いた妙見神話——武神としての姿。
・真武信仰と融合する妙見信仰——水天としての姿
・太子講と結びついた、みずら髪の童子としての姿

宝治合戦、享徳の乱といった、一族の分裂の危機で姿を変える妙見信仰の在り方の変遷が、当時の歴史と重ね合わせると非常に興味深い。